フウリンブッソウゲとは?
フウリンブッソウゲ(風鈴仏桑花)は非耐寒性常緑低木です。東アフリカ原産で寒さに弱いため、日本で栽培する場合は、鉢植えが基本となります。九州南部~沖縄の温暖な地域なら、地植え栽培が可能です。特に沖縄では、フウリンブッソウゲが民家の庭先や公園などによく植えられています。南国の花らしい明るく鮮やかな花色と、風鈴を思わせる個性的な花形が愛されている花です。
フウリンブッソウゲの基本情報
学名 | Hibiscus schizopetalus |
科名・属名 | アオイ科・フヨウ(ハイビスカス)属 |
別名 | コーラル・ハイビスカス、ジャパニーズ・ランタン |
草丈・樹高 | 2m~3m |
原産地 | 東アフリカ |
開花時期 | 5月~10月 |
花色 | 赤、オレンジ |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
園芸分類 | 常緑低木 |
ハイビスカスとの関係
フウリンブッソウゲはハイビスカスの仲間です。植物学上の分類も、ハイビスカスと同じアオイ科フヨウ(ハイビスカス)属に分類されます。ブッソウゲの名前も、ハイビスカスの和名ブッソウゲ(仏桑花)からつけられました。「寒さに弱い」「開花時期が長い」など、共通点も多いです。
ハイビスカスとの違いは?
フウリンブッソウゲとハイビスカスの違いは花自体の寿命です。ハイビスカスは開花時期が5月~10月と、非常に長いことで知られていますが花自体の寿命は短く、1日でしぼんでしまいます。一方、フウリンブッソウゲの開花時期は、ハイビスカスと同じ5月~10月です。しかし花の寿命が違い、数日咲き続けます。
フウリンブッソウゲの特徴
特徴①垂れ下がって咲く
フウリンブッソウゲの大きな特徴は、ぶら下がるように咲く花です。南国の花というと、太陽に向かって上向きに咲くイメージが強いですが、フウリンブッソウゲは下向きに咲く特徴があります。とても個性的な花ですが、派手過ぎる印象がないのはこのためです。下向きに咲く花が、風でゆらゆらとゆれる様子は、独特の魅力に満ちています。
特徴②おしべが長い
長い雄しべもフウリンブッソウゲのわかりやすい特徴です。フウリンブッソウゲの雄しべは約9cm~10cm、下に垂れ下がった形状に加えて大きく反り返った花びらもあって、より長く見えます。垂れ下がった長い雄しべが風にゆれる様子は、風鈴につけられた短冊がゆれる様子とそっくりです。この独特の形状は、受粉しやすくするためという説が有力視されています。
特徴③反り返る花びら
大きく反り返って細かい切れ込みが入った花びらも、フウリンブッソウゲの個性を際立たせている特徴です。別名の「コーラル・ハイビスカス」も、花色と形がサンゴ(コーラル)に似ていることに由来しています。学名にあるschizopetalus(スキゾペタルス)も、「切れ込みのある花びら」を意味するラテン語です。
特徴④鮮やかな花色
フウリンブッソウゲの花色は赤またはオレンジ色と、明るく鮮やかな南国の花らしい色です。しかし下向きに咲く風鈴に似た独特の花姿とあいまって、個性的でありながら、派手過ぎず奥ゆかしい不思議な印象を見る人に与えます。沖縄では民家、公園などで見られるポピュラーな花がフウリンブッソウゲです。地元の人たちに、とても愛されている花なのでしょう。
特徴⑤寒さに弱い
フウリンブッソウゲは非常に寒さに弱い植物です。霜にも寒風にも耐えられません。この点はハイビスカスと共通です。日本で栽培する場合、九州~沖縄以外の地域は鉢植え栽培が基本です。春~夏は屋外でも大丈夫ですが、秋に入り気温が10℃~15℃くらいまで下がってきたら室内に移動させましょう。特に本州以北の冬場の寒さが厳しい地域は、室内栽培でも温度管理に注意が必要です。
フウリンブッソウゲの花言葉
フウリンブッソウゲの花言葉は「繊細な美」「常に新しい美」「勇敢」「新しい恋」「しとやかな愛」「私はあなたを信じます」です。「繊細な美」「しとやかな愛」は、フウリンブッソウゲが持つ華やかな花色と繊細な花形、派手過ぎない印象に由来しているのでしょう。「常に新しい美」「新しい恋」は、ハイビスカスの花言葉でもあります。
「常に新しい美」「新しい恋」は、1日でしぼんでしまうけれど、すぐに新しい花が咲くハイビスカスの性質が由来です。
フウリンブッソウゲの花は数日もつけど、ハイビスカスの仲間で開花時期も似てるから、同じ花言葉がついたんだろうね。
フウリンブッソウゲの栽培管理のポイント
ポイント①栽培環境
熱帯地域を原産とするフウリンブッソウゲは、光と温暖な気候が大好きです。育てるときは、日当たりがよい場所を確保しましょう。四季がある日本では、鉢植えにして秋~冬は室内管理が基本です。その場合も春~夏は、屋外でたっぷりと日光を浴びさせましょう。ただし真夏の直射日光や西日などの強い日差しは苦手なため、日当たりがよくても西日が当たらない場所がベターです。
用土
フウリンブッソウゲが好むのは、水はけがよく肥沃な土壌です。地植えの場合は、苗を植え付ける前に、庭土に腐葉土を混ぜ込んで水はけをよくしましょう。鉢植えの場合は、市販の園芸用培養土で十分です。水はけをよくするために、鉢底にネットと軽石を敷いておきましょう。
ポイント②植え付け・植え替え
フウリンブッソウゲの植え付け・植え替えの適期は4月~5月です。根についた古い土を軽く落とし、新しい土を使って植え付けます。フウリンブッソウゲは成長が早いため、鉢植えの植え替えるペースは1年~2年に1回が目安です。一回り~二回り大きな新しい鉢に植え替えます。
フウリンブッソウゲの苗の選び方
葉色が明るくツヤがあり、主幹がしっかりしているものが、フウリンブッソウゲのよい苗です。フウリンブッソウゲは植え付け後2年以降に開花します。開花までしっかり時間をかけて、立派な花木に育てあげましょう。
フウリンブッソウゲの苗は、ネット通販でも扱っていますが、原種ハイビスカスとして販売されている場合があります。
ポイント③水やり・肥料
フウリンブッソウゲの鉢植えは、鉢土の表面が乾いたら水やりします。鉢底から水が染み出すくらい、たっぷりと与えましょう。地植えの場合は、植え付けてから根付くまでは水やりしますが、根付いてからは必要ありません。ただし、日照りが続く時期など乾燥がひどいときは、株元に水を与えます。肥料は開花期間中に緩効性化成肥料を施すだけで十分です。
フウリンブッソウゲは真夏に入ると開花を休止することがあるんだ。その場合は施肥を控えよう。
ポイント④剪定・切り戻し
フウリンブッソウゲの剪定は、10月~11月が適期です。株全体を、1/3~1/2ほどの高さまで切り戻します。葉も数枚だけ残し、冬越しの準備に入りましょう。鉢植えなら室内に移動させ、日当たりのよい場所で管理します。冬場はほとんど生育しないため、水やりは乾燥気味に管理するのが基本です。
ポイント⑤病気・害虫
フウリンブッソウゲの栽培で、特に警戒すべき病気や害虫はありません。強いてあげるなら、初夏にアブラムシが発生することがあります。発見次第早急に捕殺しましょう。大量発生した場合は殺虫剤を散布します。真夏はハダニが発生することがあるため、念のためにハダニ用の殺虫剤も用意しておきましょう。
フウリンブッソウゲで南国気分を味わおう
フウリンブッソウゲは風鈴を思わせる独特の花形と、夏空によく映える花色が魅力的な南国の花です。涼し気な風鈴を軒下につけるのも風情がありますが、風鈴の代わりに鉢植えのフウリンブッソウゲを傍らに置いてみるのも面白いでしょう。鮮やかな南国の花を愛でながら夏を過ごすのも一興ですよ。
出典:写真AC