ウツギはとても種類が多い植物
ウツギはとても種類の多い植物で、およそ60種類~70種類あるといわれています。日本原産の種類もあれば、中国や台湾がルーツのものもあります。ウツギにはスイカズラ科やユキノシタ科、アジサイ科などがあり、樹木の中が空洞になっている種類が多いのが特徴です。ウツギの花は小さく、ベルやラッパのような形をしているものが多く、白、薄いピンク、濃いピンク、黄色や複色などがあります。
ウツギの種類【スイカズラ科13種】①~⑤
①ショウキウツギ(アケボノウツギ)
疫病除け神の名前が由来
ショウキウツギはスイカズラ科ショウキウツギ属です。最初、蕾はピンク色で5月~6月の開花とともに白くなります。ショウキウツギの花は1cm~2cmで、花の中に黄色い網の目のような模様があるのが特徴です。花後につくトゲだらけの実が、鐘馗(しょうき)という顔中ヒゲのはえた厄病除けの神様に似ているのが名前の由来です。樹木は低木で大株に成長するため、場所を確保しましょう。
②ウコンウツギ
淡い黄色から生薬の名前がついた
ウコンウツギはスイカズラ科タニウツギ属で、開花時期は6月~7月です。ウコンウツギの花は淡い黄色で3cm~4cmのラッパ状で、中央部分がふっくらしています。内部の濃い黄色い模様は受粉が終わると赤く変化し、虫に見えなくなるため自家受粉が防げるのが特徴です。ウコンウツギの樹木は1.5m以下の落葉低木で、枝の皮がよく剥がれます。
③オオベニウツギ
種類が豊富なオオベニウツギ
ウツギ自体も種類が豊富ですが、オオベニウツギの花はさらに種類が複数あります。オオベニウツギはスイカズラ科タニウツギ属で、開花時期は3月~6月や4月~7月と種類によって違うのも特徴です。葉が赤紫で花が濃いピンクの品種や、バリエガタという葉に斑が入る種類で花が濃いピンクから白へ変色する種類もあります。近年、矮性種の樹木も少ないながら流通し始めました。
④キバナウツギ
花柄も葉柄もないキバナウツギ
ピンクや白が多いウツギの花のなかで、キバナウツギは淡いクリーム色の花を咲かせます。開花時期は5月~6月で花の中にオレンジ色の模様があり、花が終わると咢(がく)もすぐに落ちてしまいます。キバナウツギはウコンウツギに似ていますが、キバナウツギには花柄や葉柄がありません。
⑤ケウツギ
日本固有種のケウツギ
ケウツギの花の蕾は花茎に毛が生えていますが、開花すると抜け落ちるのが特徴です。ケウツギの開花時期は5月~6月で、樹木は5mに育つものもあります。ケウツギは葉の付け根や短い枝に紅色の鮮やかな花を咲かせる日本固有種で、別名をヤブウツギといいます。
ウツギの種類【スイカズラ科13種】⑥~⑩
⑥タニウツギ
縁起が悪い別名を持つタニウツギ
タニウツギの花は淡いピンク~濃いピンクで、葉枝の付け根から2つ~3つずつ咲きます。タニウツギには葉の縁に斑の入るバリエガタ種もあります。タニウツギの開花時期は5月~6月で、樹木が2m~5mに成長するのが特徴です。花の色から別名をベニウツギといいますが、そのほかに「火事花」「葬式花」「死人花」といった縁起のよくない名前もあります。
⑦ニオイウツギ
伊豆七島の固有種
ニオイウツギは伊豆七島にのみ生息する固有種で、ハコネウツギの変種といわれています。開花時期は5月~6月で、開花直後は純白で咲きすすむとピンク色に変色します。ニオイウツギの樹高は3m~5mに達し、花の大きさはハコネウツギよりも柄が短く小さめです。白い花が咲くときによい香りがするため、ニオイウツギという名前がつけられました。
⑧ニシキウツギ
花色の変化が美しいニシキウツギ
ニシキウツギの花は、最初は淡い黄緑色をしており、咲き進むにつれ白、淡いピンク~濃い紫がかったピンクに変化します。開花時期は5月~6月で、花が最初から白のままの仲間をシロバナニシキウツギといい、濃いピンクのままのものをベニバナニシキウツギといいます。葉に細かい毛が生えているのが特徴です。

ボタニ子
⑨ハコネウツギ
ニシキウツギとよく似ている
ハコネウツギはスイカズラ科タニウツギ属の植物で、開花時期は5月~6月です。樹木は5mにまで達し、葉も10cmと大きくこんもりしたイメージの株に育ちます。ハコネウツギの花は、最初は白く徐々に淡いピンクに変化し、最終的には濃いピンクになるのが特徴です。ニシキウツギと似ていますが、両者の違いは自生地です。ハコネウツギは海岸線沿いに多く、ニシキウツギの自生地は山間部が多いです。

ボタニ子
ハコネウツギって名前なんだけれど、ハコネには自生していないそうよ。
⑩オオツクバネウツギ
ウツギの仲間ではとても大きな花
オオツクバネウツギの花はとても大きく、3cm~4cmになりますが、樹木は1m~2mと小さめです。オオツクバネウツギの花色は複数あり、白や淡いピンク、淡い黄色などです。花の中にはオレンジ色がかった黄色の網目模様があり、4月~5月に2つずつ花をつけます。
ウツギの種類【スイカズラ科13種】⑪~⑬
⑪コツクバネウツギ
ツクバネウツギより小さい
コツクバネウツギは、スイカズラ科ツクバネウツギ属の植物です。5月~6月に咲く花はツクバネウツギよりも小さいため、この名前がつきました。コツクバネウツギの樹木は1m~2mで、花の大きさは1cm~2cmです。一方のツクバネウツギの花は2cm~3cmとやや大きめです。どちらも花色は白や淡いピンク、黄色ですが、コツクバネウツギの咢は2つ、ツクバネウツギは5つあります。
⑫タイワンツバネウツギ
レッドデータリストに載っている!
タイワンツクバネウツギはスイカズラ科ツクバネウツギ属の植物で、2007年時点で絶滅危惧種1A類(CR)に指定されています。樹木は1m~2mでよく枝分かれし、その先に0.5cm~1cmの小さな白い花を密集して咲かせるのが特徴です。ほかのツクバネウツギは花の中にオレンジ色の網目模様がありますが、タイワンツクバネウツギにはありません。

ボタニ子
花からはよい香りがするよ!
⑬ハナゾノツクバネウツギ(アベリア)
大正時代に輸入された
ハナゾノツクバネウツギは中国原産のシナツクバネウツギとユニフローラの交雑種で、大正時代に輸入されたといわれています。別名をハナツクバネウツギやアベリアといい、開花時期が5月~11月と長いのが特徴です。樹高は1m~2m、1cm~2cmの花からはよい香りがします。
ニシキウツギは「錦」と「二色」って書くらしいわ。