春植え球根とは
球根とは、植物の土中の器官(根茎)に、次の季節の養分が蓄えられて肥大したものの総称です。文字どおり球形の球根もあれば、棒状の球根もあります。春植え、夏植え、秋植えなどがあり、適切な季節に植えると育ちやすいです。球根植物は植えっぱなしでも大丈夫な花が多いため、ガーデニングビギナーにも扱いやすいといえるでしょう。
春植え球根の特徴
春植え球根は、南アフリカや中米などの暖かな地域原産の植物が多いです。ほとんどは真冬の寒さにやや弱い傾向があり、暖地では季節を通して植えっぱなしでよくても、寒冷地の場合、冬は掘りあげた方がよい植物もあります。春植えで夏咲き、秋咲き、冬咲き、春咲きする球根植物を、それぞれの季節ごとに見ていきましょう。
春植え球根①~⑤<夏咲き>
春植え球根①カラー
カラーの基本情報と特徴
名前 | カラー、オランダカイウ |
学名 | Zantedeschia |
科/属名 | サトイモ科ザンテデシア属(オランダカイウ属) |
原産地 | 南アフリカ |
植え付け時期 | 3月~5月 |
開花時期 | 6月~7月 |
カラーは南アフリカ原産のシンプルな花です。シスターの白い襟のような清らかな立ち姿からカラーと名付けられたといわれています。湿り気のある土壌を好む湿地性と畑地性の2種類があります。大切なものを包んでいるような花びらは、「苞」と呼ばれる変化した葉で、中にある黄色い部分が花です。
カラーの種類・品種
「エチオピカ」を原種とする湿地性カラーの人気品種は、結婚式などでよく使われる白い「ウエディングマーチ」、上の方が緑の「グリーンゴッデス」などです。一方、畑地性の種類には「モモイロカイウ」や「キバナカイウ」の原種から交配させた多くの品種、「フローレックスゴールド(黄色)」「ガーネットグロー(ピンク色)」などがあります。
「エチオピカ」はエチオピアの国花で、「リリー・オブ・ナイル」とも呼ばれてるんですよ。
春植え球根②アガパンサス
アガパンサスの基本情報と特徴
名前 | アガパンサス、紫君子蘭 |
学名 | Agapanthus |
科/属名 | ムラサキクンシラン科ムラサキクンシラン属 |
原産地 | 南アフリカ |
植え付け時期 | 3月~4月 |
開花時期 | 5月下旬~8月 |
アガパンサスは、梅雨の季節に清涼感を与えてくれる爽やかな青紫や水色の花です。長く伸びた花茎の先端にラッパ型の小さな花を放射状にたくさんつけます。茎にたっぷり水を貯え、株分けしたいとき以外は植えっぱなしでよく、ほとんど手のかからない植物です。
アガパンサスの種類・品種
日本でよく栽培されているのは「プラエコクス・オリエンタリス」と「アフリカヌス」の2種類とそれらの園芸品種といわれています。「リリプット(コンパクトな青紫色)」「シルバーベビー(白に青い縁)」などが人気品種です。
春植え球根③サンダーソニア
サンダーソニアの基本情報と特徴
名前 | サンダーソニア |
学名 | Sandersonia aurantiaca |
科/属名 | イヌサフラン科サンダーソニア属 |
原産地 | 南アフリカ |
植え付け時期 | 3月~5月 |
開花時期 | 6月~7月 |
サンダーソニアは南アフリカ原産で、日本にやってきたのはわりと新しく、約半世紀前です。橙色の提灯やランタンのようなかわいい花を、たくさん吊り下げたように咲かせます。球根はグロリオサの球根に似た二股に分かれたV字形で、誤って食すると有毒です。
サンダーソニアの種類・品種
サンダーソニアの種類は少なく、原種の「オーランティアカ」が主に流通しています。耐暑性、耐寒性ともにやや弱いので、植えっぱなしにせず秋ごろに掘りあげましょう。そのほかの品種としては、黄色い花を咲かせる「ルティ」があります。
春植え球根④グロリオサ
グロリオサの基本情報と特徴
名前 | グロリオサ、キツネユリ |
学名 | Gloriosa |
科/属名 | イヌサフラン科グロリオサ属 |
原産地 | アフリカなど熱帯地域 |
植え付け時期 | 4月~5月 |
開花時期 | 6月~8月 |
グロリオサはアフリカなどが原産の熱帯植物で、炎のような花びらと反り返った雄しべが個性的な花です。葉の先端が巻きヒゲになって近くにあるものにつかまって伸びます。山芋に似た球根には毒性があり、食べると危険です。
グロリオサの種類・品種
グロリオサは、原種の「ロスチャイルディアナ」を中心に様々な色の品種が開発されています。「ミサトレッド(赤)」「ルテア(黄色)」「ピンク(ピンク色)」「パールホワイト(白)」「ヴィレッセンス(淡いオレンジ色)」などが人気です。
春植え球根⑤クロコスミア(姫扇水仙)
クロコスミアの基本情報と特徴
名前 | クロコスミア、ヒメヒオウギズイセン、モントブレチア |
学名 | Crocosmia |
科/属名 | アヤメ科クロコスミア属 |
原産地 | 南アフリカ |
植え付け時期 | 3月~5月 |
開花時期 | 6月~8月 |
クロコスミアは暑さに強く、植えっぱなしで育つ丈夫な植物です。草丈は50cm前後ですが、1mを越える品種もあります。葉は細長い剣状葉で、花茎から穂状の花序が伸び、下から順に開花します。花色は赤やオレンジ色で、花色から「金魚草」と呼ばれることもありますが「キンギョソウ」とは別の花です。
クロコスミアの種類・品種
「クロコスミイフロラ」は、明治時代に観賞用として日本にやってきたときから「ヒメヒオウギズイセン」と呼ばれています。もっとも多くみられる種類で、野生化して繁殖しています。ほかに、黄色い花の「コロンブス」や草丈が高くなる赤花「ルシファー」などが人気品種です。
ボタニ子
繁殖しすぎて困ってる地域もあるみたいだね!
ボタニ子
次のページでは、夏から秋咲きの春植え球根をご紹介!
出典:写真AC