ウツボグサ(靭草)の効能
ウツボグサには利尿効果、消炎作用がある
ウツボグサには塩化カリウムやタンニンなどが成分として含まれ、利尿効果やむくみ取り、消炎作用があります。糖尿病、膀胱炎、腎臓炎、口内炎、喘息、扁桃炎などに薬効があるといわれます。
生薬として活用
漢方では「夏枯草散」や「止涙補肝湯」として処方
漢方ではウツボグサを当帰・玄参・芍薬などと配合して「夏枯草散(カゴソウサン)」として処方し、目の痛みなどに用いられます。また、当帰・芍薬・防風などと配合して「止涙補肝湯(シルイホカントウ)」として処方し、涙のう炎に用いられます。
民間療法に用いられる
ウツボグサを煎じた液を民間療法では膀胱炎、淋病、腎臓結石などに用います。
花穂を天日干しに、生の葉はすりつぶして利用
6~8月頃、ウツボグサの枯れかかった花穂を天日干しにして生薬として用います。この生薬も「夏枯草」と呼ばれます。また、生の葉にも効き目があり、すりつぶして応急手当や止血に利用します。
ボタニ子
ウツボグサ(カコソウ)は患部の冷えをとる力があり、患部が冷えている場合や冷え性の方は服用を控えましょう。
ウツボグサの煎じ方
腎炎、膀胱炎、脚気などでむくみが感じられるとき、ウツボグサ5~10 gを400~600 ccの水で半量になるまで煎じ、1日3回に分けて服用するとよいといわれます。また、口内炎や扁桃炎には、ウツボグサ3~5gを水300ccで煎じて随時うがいします。 利尿薬としては、10g(一日量)を煎じて内服します。
ボタニ子
夏枯草(カコソウ)はタンニンが多く含まれ、夏枯草(カコソウ)だけを長期服用すると胃を刺激するため、胃の弱い方は注意が必要です!
ウツボグサ(靭草)の育て方
鉢植えや盆栽にもOK
ウツボグサは寒さに強く、ガーデニング初心者にも育てやすい花とされます。地植えのほか、鉢植えや盆栽でも栽培可能です。また、ほかの山野草と寄せ植えにもできます。
ウツボグサ(夏枯草・カコソウ)の育て方
①置き場所・栽培環境
日当たりと風通しのよい場所を好みます。近年の猛暑では弱ることがあり、夏場は明るい日陰がよいでしょう。水はけのよい土を好みますので、庭植えの場合も水がたまる場所は避けましょう。
②用土
水はけをよくするために、一般的な草花用用土と赤玉土を混ぜたものを使います。(赤玉土を4割配合)水はけがよく、肥沃な土であれば、土はあまりこだわらなくて大丈夫です。盆栽に仕立てる場合は、山砂や赤土主体の用土を使いましょう。
③水やり
鉢植えの場合は、表面の土が乾いたらたっぷりと水をあげましょう。庭植えの場合は特に水やりは気にしなくてよいでしょう。
④肥料
春に芽が出る頃から開花前に一度、秋に一度施します。チッ素、リン酸、カリが同じ量配合された緩効性化成肥料などを少量与えます。(3号鉢に一つまみ程度)庭植えの場合は肥料は特に必要ありません。盆栽のように小さく仕立てる場合も肥料はなしで大丈夫です。
⑤植え替え
鉢植えの場合は毎年植え替えます。2~3月頃の芽が出る前か花後、または9~10月上旬に行います。盆栽の場合も、ウツボグサをメインに仕立てている場合は毎年植え替えます。庭植えの場合は必要ありません。
⑥増やし方
株分けか種まきで増やします。株分けは植え替え時に行い、一株を2~3つに分けます。種で増やす場合は、7~8月に種を採っておき、冷蔵庫で保管し、翌年の2~3月にまきます。
⑦病気・害虫
バッタに食べられることがあります。また、ハダニがつくことがあります。いずれも見つけ次第捕まえ、駆除します。
ボタニ子
ウツボグサ以外のウツボグサ属の仲間は高山植物として扱うので、夏は遮光してあげるといいですよ。
ウツボグサの食べ方
ウツボグサは花色や茎・葉の様子を楽しむだけでなく、食べることもできます。若い苗を根本近くから摘みとり、柔らかい葉と一緒に茹でておひたしや和え物にします。花は生のままサラダの飾りに添えたり、かき揚げにします。また、酢の物にも向きます。
まとめ
薬用植物としても大切にされてきたウツボグサ。名前の由来や意味を知ると、ウツボグサがより身近に感じられます。ウツボグサと、同属の仲間を見分けるのはなかなか難しいようですが、葉や茎の様子、花の大きさ、紫や白の花色の濃淡など、特徴を観察してみたいですね。
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出典:写真AC