海浜植物とは?海水の影響はないの?特徴や代表的な品種を詳しく解説

海浜植物とは?海水の影響はないの?特徴や代表的な品種を詳しく解説

森林や草原だけでなく、海辺でも植物が力強く生育しています。海岸付近に生育する植物は「海浜植物」といわれ、内陸の植物とは一線を画す独特な生態をもちます。この記事で、海浜植物の特徴や代表的な品種について詳しく見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.海浜植物とは
  2. 2.海浜植物の特徴
  3. 3.海浜植物の代表的な品種8選【①〜④】
  4. 4.海浜植物の代表的な品種8選【⑤〜⑧】
  5. 5.海浜植物を探してみよう

海浜植物とは

出典:写真AC

海浜植物(かいひんしょくぶつ)とは砂地や浜辺、海岸などの海沿いに生息する植物です。海岸でも生息できるように、草姿や葉の性質などが過酷な環境でも耐えられるようになっています。そのため、海浜植物は直射日光や海風に強く、水が少なくても枯れにくい特性をもちます。

海浜植物の役割

出典:写真AC

海浜植物は、根から水をたくさん取り込めるように、砂地に長く根を張って成長していきます。根が砂を支えたり、砂が風で飛ばされないようにしたりと、砂丘を作る役割を担っています。また、海浜植物が光合成で酸素を出すのも重要です。酸素は、浜辺の生態系を確保するために役立っています。

海浜植物がないと砂丘は維持できない

出典:写真AC

海浜植物は根が長く、深く広く成長します。海浜植物の根が砂をしっかりと支えるおかげで、砂丘を維持できています。海浜植物は乾燥や潮風に強く、少ない水分量でも枯れずに生息できる植物です。現在の砂丘が維持されているのは「海岸での砂の供給」「海からの風」に加えて「海浜植物の生息」が条件になっています。

海水の影響はないの?

海浜植物は海水がかかっても枯れない丈夫な植物です。葉が硬いため海風で破れにくく、塩水に多少さらされても耐えられるようにつくられています。また、海水でも成長できる植物は「塩生植物」と呼ばれ、海浜植物の中にも塩生植物が含まれています。

何種類ぐらいあるの?

日本に自生している海浜植物の品種は、約280種類あるといわれています。しかし、生息場所の減少や、食用にできる海浜植物の乱獲によって、海浜植物の数が減少傾向にあるのが現状です。また近年では、海岸への車の乗り入れによって、海浜植物が踏み荒らされているのも数が減っている原因となっています。
 

海浜植物の特徴

出典:写真AC

海浜植物は、園芸品種として流通している一般的な植物に比べて、葉や根が独特な作りになっています。葉に厚みがあったり根を深く張ったりして、厳しい環境でも生育できます。また、種子を拡散させる方法もかわっており「海流散布」という方法で子孫を増やしていく植物です。

特徴①葉

出典:写真AC

海浜植物は、常に潮風にさらされているため、葉の水分が蒸発しやすいのが特徴です。そのため、海浜植物の葉は、水分が奪われにくいように硬くて厚みがあります。厚みのある葉は、サボテンなどの多肉植物と同じで、葉の内部に水分が蓄えられる仕組みです。また、適度な硬さは塩分飛沫や強風で葉が破れたり、葉に穴が空いたりするのを防ぐ役割があります。

光沢のある品種が多い

海浜植物は、葉が硬く光沢がある品種が多くみられるのが特徴です。葉の表面に多くみられる光沢は、表面にある「クチクラ層」が関係しています。クチクラ層とは、葉の表面を守る透明の膜をさし、蝋を主成分としている層です。クチクラ層が発達しているため、潮風に負けずに生息できるといわれています。

特徴②茎

出典:写真AC

海浜植物は、海風にさらされて茎が倒れたり折れたりしないように、成長しても草丈が短い植物が多いです。草丈を低く抑えて、地下茎を長く伸ばし、株が倒れない仕組みになっています。内陸にいくにつれて、海風にあおられる心配が少なくなるため、海岸の海浜植物に比べると内陸の海浜植物のほうが草丈が高くなっています。

地下茎で増えていく品種が多い

海浜植物は、地下茎が発達している品種が多いのが特徴です。地上部は、砂や潮風の影響を受けやすいため、地下茎を横に横に伸ばして増えていきます。また、地下茎は貯水性を兼ね備えており、水不足での乾燥対策にも効果的です。地下茎が発達しているおかげで、砂が風に吹き飛ばされて砂地が移動しても、地下茎が枯れずに残っていれば新しい場所で生息できます。

特徴③根

出典:写真AC

海辺や浜辺の地表は、夏になるとカラカラに乾燥して水分が少なくなります。海浜植物は根を深くまで伸ばし、地中から水分を得る植物です。海辺や浜辺の土を掘ってみると、表面が乾いていても内部が湿っている場合が多いといわれています。水分が少なくなっても、地中深くまでしっかりと根を伸ばして水分を得るのが、海浜植物の根の大きな特徴です。

特徴④実

出典:写真AC

海浜植物の実は、皮がしっかりとしていて厚みがあります。皮に厚みがあるため、海水や潮風にさらされても、実の中の種を守れるのが利点です。指で押してもつぶれにくい硬さと、水を通しにくい丈夫さを兼ね備えています。秋に実をつける品種が多く、実が軽いため水に浮くのが特徴です。海浜植物の多くは「海流散布(かいりゅうさんぷ)」という方法で増えていきます。

「海流散布」とは?

海流散布とは、種子を水に浮かべて、海流にのせて種子を散布をする方法をさします。海浜植物は海辺や砂地に根を張っているため、鳥や虫が種子を食べる確率が低い植物です。子孫を残すために種子をばら撒きたくても、鳥や虫が種子を食べないため、海流の力を借りて種子を散布しています。

ボタニ子

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次のページでは、海浜植物の代表的な品種8選をご紹介します。

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海浜植物の代表的な品種8選【①〜④】

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