イヌタデについて
イヌタデは、道端に普通に見ることができるタデ科の一年草です。日本では、北海道から本州、四国、九州、沖縄といたるとこで見ることができます。道端に生える雑草の一種ですが、イヌタデの見た目は可愛らしく、絵の題材にされるほどです。
基本情報
学名 | Persicaria longiseta |
分類 | タデ科イヌタデ属 |
和名・別名 | イヌタデ(犬蓼)、アカマンマ(赤まんま) |
分布 | アジアの熱帯~温帯、北海道、本州、四国、九州、沖縄 |
花期 | 4月~11月 |
花の特徴
イヌタデは4月~11月にかけて開花します。イヌタデの花は、茎の先端から長さ1cm~5cmの花穂を出し、紅紫色の花を咲かせます。中には、まれに白色の花を咲かせることもあります。また、イヌタデの花には花びらがありません。花びらにみえるのは「がく」です。がくが5つに裂けているので、花びらのように見えます。また、つぼみから果実までがすべて同じような色合いをしているため、ほぼ一年中の季節で花が咲いているように見えます。
葉っぱの特徴
葉っぱは、茎に互い違いにつきます。形は披針形で葉っぱの先にむけて、だんだんと細くなっていきます。葉が斑入りになるものもあります。葉っぱの根本には、筒状のさやである托葉梢(たくようしょう)があり、毛がはえています。この特徴は、イヌタデと同じ仲間であるオオイヌタデにはない特徴です。また、この葉っぱが桃の葉に似ることが学名の Persicariaは「Persica(モモ)」由来となっています。
葉の根本にあり、茎を包んでいるのが托葉梢です。上向きに毛がはえているのがわかりますね。
茎の特徴
茎は、まっすぐか斜めに傾いて枝分かれをし、草むらのようになります。茎の先はやや立ち、高さは50cm~20cmくらいになります。茎の形は円柱形をしており、柔らかいです。
果実の特徴
イヌタデの果実は花よりも目立ちます。色は赤いですが、本来の果実の色は暗褐色です。これは、赤いがくを被っていることから、赤く見えます。
イヌダテの名前の由来
犬蓼(イヌタデ)の由来
イヌタデの名前の由来は、「役にたたないタデ」です。植物の名前でイヌとつくものは、否が訛ったもので役に立たないという意味を表しています。イヌタデもその中のひとつです。一体何が役にたたないのかというと、タデ科の植物でヤナギダテといものがあります。このヤナギタデは香辛料として利用されていました。一方のイヌタデは辛みがなく香辛料に使えませんでした。なので、「ヤナギタデに比べると役に立たないタデ」で「犬蓼」となりました。
アカマンマの由来
イヌタデの別名、アカマンマ。イヌタデは赤い小さな花や果実をつけます。その花や果実を、赤飯の変わりにして子どもたちがおままごとに使ったというところからきています。アカマンマは、俳句で秋の季語としても親しまれています。
イヌタデの育て方
イヌダテは、さほど難しくなく、育てることができます。ですが、育てるためにはいくつか必用なことがあるので説明します。
育て方①育てる場所
イヌタデの草丈は高さ50cm~20cmくらいまで育ちます。なので、イヌタデを育てる場所は、この高さに合わせられる場所がいいでしょう。また、日によくあたる場所では開花時期が長くなるので、日当たりのいい場所で育ててください。
育て方②用土と肥料
用土
イヌタデは道端に生えている一年草です。基本的には、痩せた土地以外では育てることが可能です。用土については、あまり気にしなくて大丈夫です。自分で用土を作る場合は赤玉土と腐葉土を混ぜたものがいいでしょう。
肥料
イヌダテは肥料を必要としません。むしろ、肥料を与えすぎて弱ってしまうことがあります。用土と同様にとくに気にしなくても大丈夫です。与える場合は、弱ってしまったらごく少量を与えてください。
育て方④水やり
水やりは土の表面が乾いたらあげましょう。イヌダテは多少湿った土の場所でも育てることができます。日当たりのいい場所はすぐに土が乾いてしまうので、水きれだけ注意していれば大丈夫です。
イヌタデの入手方法
イヌダテは、冬の季節以外、道端で見かけることができます。分布も北海道から沖縄まで多少、季節のずれはありますが、寒い時期以外ではたいてい見ることができます。イヌタデは、一年草ですので種で増えていきます。道端で咲いているイヌタデから種を入手し、それをまくことによって増やしていきます。種の出来る時期は11月、秋です。大きさは2mmほどの黒い種ができます。栽培時期が4月~11月なので春に種をまくといいでしょう。
イヌタデの利用方法
利用方法①食用
イヌタデは、辛みがないので香辛料としては使えないですが、食べることは出来ます。イヌタデは、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれて、食あたりなどにいいとされています。食べ方は、煮物や揚げ物、炒め物として食べることができます。また、葉や茎を煎じて解毒剤にも利用されていました。
利用方法②草木染め
イヌタデは、草木染めにも利用することが出来ます。染めるには、それなりの数が必要ですが、うまく染まると淡いベージュや、灰色がかった緑に染まります。染める方法は、鍋でイヌダテを煮だして染液を作ります。鍋の大きさはは大きいものを使用してください。その染液に布を入れ、ムラが出ないようにかき混ぜながら20分ほど煮ます。そのあとは、よく水洗いをし、絞ります。水洗いをしたあとは、ミョウバン液(水1リットルに大ざし1杯のミョウバンをとかす)に20分つけ、水洗いをし、影干しして乾かしたら完成です。
利用方法③押し花・ドライフラワー
イヌタデは、押し花やドライフラワーにもすることが可能です。種になる前の時期にイヌタデを採取します。その前に採取してしまうと、イヌタデの果実がぽろぽろと取れてしまいます。ドライフラワーの方法は、イヌタデを麻ひもで縛り、風通しのいい場所でつるすだけです。これで、1週間~2週間でドライフラワーになります。押し花は、イヌタデを採取したら新聞紙、ティッシュ、イヌタデ、ティッシュ、新聞紙という順番に挟み込み、重しでつぶすだけです。この時に重しが均等になることがポイントです。
まとめ
北海道から沖縄まで、冬以外の季節で見かけることが出来る道端のイヌタデ。花の大きさがそこまで大きくないのでもしかしたら、今まで見逃している人もいるかもしれません。草丈の大きさも小さいものでは20cmほどです。外を歩くさいや家の近く、もしかしたら庭にこの可愛らしいイヌタデが咲いているかもしれません。見かけたら、愛でるだけではなくドライフラワーや草木染めとしてイヌタデを楽しんでくださいね。
出典:写真AC