チングルマ(珍車)とは?
チングルマ(珍車)とは、別名チゴグルマ(稚児車)とも呼ばれています。中部地方以北から北海道に分布する植物です。チングルマは梅のような5枚の花弁をもつ白い花を咲かせます。中心に黄色の雌しべと雄しべがあり、白い花弁が背景となり存在感を出しています。花後には綿毛のような果実をつけます。
チングルマの基本データ
形態 | 矮性灌木 |
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樹高 | 茎高10センチ〜20センチ |
原産地 | 本州中部以北~北海道、高山の草地や湿地に自生 |
開花期 | (自生地)6月〜8月 |
葉 | 数奇羽状複葉、小葉はふつう7枚あるが9枚あるものもある |
花色 | 白色・花弁5枚・直径20ミリ~25ミリ |
チングルマ(珍車)の名前の由来と花言葉
チングルマの名前の由来
名前の由来①
チングルマは花後に綿毛のような果実をつけます。その綿毛が風に揺れる姿をみて、子どもがもつ風車に似ていたことから、チングルマの名前の由来になったと言われています。稚児が遊ぶ風車(稚児車)チゴグルマがなまってチングルマと呼ぶようになったとのことです。
名前の由来②
チングルマとオキナグサの実をつけた姿が似ていることが由来という説もあります。オキナグサの越中立山の方言は「チグルマイ」といいます。チグルマイとは「チゴノマイ」が転化したものです。子どもが首を降ろして頭を揺らし髪が揺れる姿を、実をつけたオキナグサに見立てました。そして、チグルマイがなまってチングルマと呼ばれるようになったといいます。
チングルマの花言葉
チングルマの花言葉は「可憐」白く柔らかな印象の花をつかせるチングルマに似合う花言葉です。花言葉とは花のいわれや花姿、色、香、雰囲気などから生みだされます。もともとヨーロッパの古い風習で、花を使ってメッセージを人に伝えていたといいます。
チングルマの特徴4つ
チングルマは山を登る人には馴染みのある花だといいます。夏の山に優しく咲くその姿を見ると心が癒されることもあるのではないでしょうか。しかし、馴染みのない方には「チングルマ」ってなに?と実際の花とのギャップを感じる名前です。そんな意外性があるのは名前だけではありません。以下にチングルマの特徴をまとめました。
チングルマの特徴①実は木の仲間
草のように見えるチングルマは北海道および本州以北に分布するバラ科ダイコンソウ属の矮性低木という分類です。また雪田の代表的な植物とも言えます。雪田とは高山の標高が高い場所、谷やくぼ地状の場所にいつまでも吹きだまりの雪が残る場所を言います。
雪解けの間はわずか7月〜9月の3ヵ月ほどしかなく、限られた植物しか生育できません。チングルマは雪解け後に乾燥しやすい場所(岩礫地、凸地)または湿った草原に生育します。
チングルマの特徴②花後を楽しめる
咲いている間が一番きれいということはもちろんですが、チングルマは開花の間も花が散った後も楽しめます。花が咲き終わると綿毛のような果実をつけますが、このときの綿毛の様子が名前の由来になっているくらいで花後に注目されています。さらに綿毛は放射線状に広がり風が吹くとふわりと優しく揺れ、この姿に惹かれる人も多く人気の園芸品種です。
チングルマの特徴③群生するように育つ
雪田に雪がない期間、湿った草原にチングルマの群生を見ることができます。チングルマは主幹から枝を伸ばして次々と広がり群生します。チングルマの果実は痩果で花後に花柱が伸びて羽毛状になります。また、風で果実を飛ばす風媒花です。風の力により実を飛ばせるということは広範囲に広がりやすいといえます。
チングルマの特徴④秋に紅葉する
チングルマが羽毛状になる頃とおなじく、光沢のある深緑の葉は光沢を保ったまま鮮やかに紅葉します。チングルマの紅葉時期、山に登ると群生しているチングルマが一面を紅く染め人目をひいています。時期としては8月以降、積雪ごろまで楽しめます。その後葉は落葉し、雪に覆われ冬を越します。
出典:BOTANICA