山菜みずの生息地
すでに何度も触れていますが、山間部の日陰で水気の多いジメッとした場所を好みます。特に滝や渓流、湧き水のそばといった、きれいな水のある場所によく生えます。寒さに強く暑さに弱い性質もあって、東北地方では昔から親しまれてきました。実際にみずの主な生産地は山形、秋田、青森の津軽半島北部です。
秋田県民が一番食べている山菜
みずの独特の粘り気と食感、クセのない味は、どんな料理にも合います。ゆえに東北地方では昔からよく食べられてきました。特に秋田県では、赤みずが非常に親しまれています。秋田県民が最もよく食べている山菜が、みず(赤みず)だと言われているほどです。秋につくムカゴも、秋田では「みずのコブコ(ムカゴ)」と呼び、秋の季節の食材として食べられています。
なお、みずの全国生産量一位は秋田県ではなく青森県です。秋田県のみずの生産量は二位、三位に山形県が入っています。
山菜みずの旬の時期
季節でいえば春から秋と、とても長い期間食べることができるみずですが、最も美味しい旬の時期は春から初夏です。ただし、地域によって少しズレがあります。たとえば秋田県や山形県の旬の時期は、4月下旬から6月上旬ですが、青森県では5月中旬から7月下旬が旬の時期にあたります。
山菜みずの取り方
みずは群生する場所が限られていることもあって、栽培よりも山菜採りで得ることが多いです。ここではみずの取り方のポイントについて紹介します。
みずの取り方のポイントその①:根は残して収穫する
みずの取り方のポイントとして、真っ先にあげられるのは根を残して収穫することです。みずは地下茎で増えます。根ごと抜いてしまうと、来年以降は生えてきません。収穫する際は地上から1、2cmのところで折り取りましょう。ナイフで切り取ってもOKです。
みずの取り方のポイントその②:食べる分だけ収穫する
赤みず(ウワバミソウ)は「みず畑」と呼ばれるほど大群生する山菜です。たくさん生えていると、つい大量に採取したくなりますが、欲張らずに必要な分だけ採取するようにしましょう。採り過ぎても処理しきれずに無駄にしてしまう可能性が高いからです。
みずの取り方のポイントその③:葉と茎の皮は取り除く
みずの葉はいがいがしているので、収穫した際に除去するのが一般的です。ただし4月から5月上旬頃に採れる柔らかい若葉は、味のよい山菜として食べられています。茎を食べる際の下処理として、茎の表面の薄皮を剥きます。茎の薄皮は繊維質が多くて硬いからです。茎を折りながら剥いていくとスムーズに剥けますよ。
捨てられることが多いみずの葉ですが、青森県の一部地域では、みずの葉を天ぷらにして食べることがあります。
みずの取り方のポイントその④:ムカゴの取り方
赤みず(ウワバミソウ)は、秋になるとムカゴ(コブコ)が取れます。ムカゴの取り方の注意点は、先端についている小豆色のコブの部分だけを摘み取り、葉の部分は捨てることです。
余談だけど、カモシカはみずのムカゴだけを選り分けて食べるんだよ。それだけ美味しいってことだね!
山菜みずの食べ方
ここからはみずの食べ方について紹介します。みずは山菜特有のアクやエグみが少なく、野菜感覚で食べられます。東北地方ではどんな料理にも合う万能食材として、古くから重宝されていました。特に赤みずは春だけでなく、秋の季節の食材としてムカゴの料理を楽しめます。いろんな食べ方を覚えて、食卓を豊かに彩りましょう。
みずの食べ方その①:おひたし
味にクセがなく、シャキッとした食感が美味しいみずには、素材を活かすシンプルな料理がピッタリです。おひたしは作り方も簡単なので、「あと一品足りない」という時にも重宝しますよ。旬の季節の食材と組み合わせれば、季節感あふれる素敵な献立になるでしょう。
みずの食べ方その②:水物
みずは水物としてもよく食べられています。水物も調理法がシンプルなので、みずのシャキシャキ食感とトロリとした味わいを、しっかりと活かしてくれますよ。好みで唐辛子を入れるのもおすすめです。海沿いの地域では夏が旬のホヤを入れて、夏の季節感を味わう料理として楽しむところもあります。
みずの食べ方その③:炒め物
みずは炒め物との相性もよいです。さっと火を通す炒め物なら、みず独特の食感も活かせるし、味にクセがないので他の食材ともよく合います。味付けは醤油やみりんを使ったシンプルな甘辛味がおすすめです。ご飯との相性抜群で箸がどんどん進みますよ。
みずの食べ方その④:ムカゴの漬物
赤みずのムカゴは漬物がおすすめです。独特の粘り気が美味しい漬物になります。漬け方は塩漬けや味噌漬け、塩昆布漬けや松前漬けといったシンプルな方法がよいでしょう。塩昆布和えも美味しいですよ。
みずの食べ方その⑤:汁物
赤ミズ独特の粘り気のある食感とクセのない味は、汁物でも活かされます。味噌汁はもちろん、お吸い物に入れても美味しいですよ。
みずの食べ方その⑥:とろろ料理・たたき和え
赤みずがよく取れる地域では、古くから赤みず独特の粘り気を活かした、とろろ料理やたたき和えが食べられていました。赤みずをビニール袋に入れて、すりこぎなどで叩き潰し、とろろ状になったものを和え物にします。味噌などの調味料を加えて、ご飯に乗せて食べても美味しいですよ。
まとめ
山菜みずは、アクやエグみがが少なくて味にクセもないので、野菜感覚で食べられます。美味しく食べられる期間が長いのも、この山菜の大きな魅力的でしょう。ぜひ食卓に加えて、山の豊かな恵みを堪能してくださいね。
- 1
- 2
みずは食べられる時期が長いから、秋田や山形など寒さで野菜不足になりがちな地域の人たちにとっては、貴重だったのだろうね。