春を告げる山菜
春の山菜は、春ごろに採取できる山菜のことです。「山菜」は、山野に自生している食用できる植物の総称です。自生している山菜を採取することを「山菜摘み」といいます。
山菜を味わう楽しみ
山菜は、一般的に流通している野菜とは違い、収穫量が少なめです。そのうえ、山菜自体アクが強かったり独特の苦味があったりするため、積極的に食する人は多くないかもしれません。しかし、その季節にだけ採取して食べるという楽しみもあります。季節を感じるにはぴったりの食材です。
山菜と野菜の違い
そういえば、野菜と山菜ってどう違うの?
野菜は食べるために人間が管理しているもの。山菜は、山野に自然に生えているもののことをいいます。
一般的には、人間が食べる目的で栽培・管理するものを「野菜」、人間の手を加えずに自生しているもののことを「山菜」と呼びます。ただし近年では、山菜も栽培され流通していますが、それを野菜と表記すると紛らわしいため「山菜」としてスーパーなどで販売されています。
山菜摘みの注意点
山菜摘みは山に入って摘んでいくため、自然にも囲まれとても楽しいものです。しかし、山菜摘みにはマナーや注意しなければならないことがあります。それらを守って、山菜摘みを楽しみましょう。
注意点①食中毒に気をつける
山菜には一見同じように見えても、実は全くの別種で毒を持つものなどもあるため、採取する際には十分に注意が必要です。毒性のあるもの、ないものの見分け方には知識が必要で、素人には難しく、むやみに採取して食べると食中毒になる恐れもあります。
ボタニ子
初心者さんは山菜採りガイドさんと一緒に行ってみるのもおすすめです!
注意点②立ち入り禁止区域などには入らない
日本の山には所有者が居ます。立入禁止などの注意書きのある看板などを無視し、無断で立ち入り山菜を採取してしまうと侵入罪や窃盗罪になります。山菜採りが可能か、事前に調べておきましょう。
注意点③遭難や野生動物との遭遇に気をつける
山菜摘みに訪れ、遭難してしまうケースは意外に多く、毎年そういった事例があります。季節によってはクマやイノシシなどの野生動物に遭遇し、襲われるなど非常に危険なケースもあるため、注意が必要です。山に深く分け入らないよう、自分がどこにいるかを把握しましょう。また、野生動物除けのアイテムも活用してください。
春のおすすめ山菜【①~⑤】
春の山菜①ふきのとう
名前 | ふきのとう | 科目 | キク科フキ属 |
原産地 | 日本(北海道、本州など) | 収穫時期 | 2月~5月(地域による) |
食用箇所 | 花茎(開花前) | 草丈 | 5~10cmほど |
採取場所 | 湿地、野原、川辺 | 注意事項 | 地下茎は有毒 |
ふきのとう(蕗の薹)は、日本原産の植物です。採取できる旬な時期は関東平地では2月~3月、寒冷地は4月~5月と、地域により異なります。ふきのとうは春を知らせる代表的な山菜です。
地下茎には要注意!
ふきのとうは、花が開花する前に摘み取って食べることが一般的です。開花後は味が落ち、スジが出て硬くなります。ハウス栽培されたものが、青果店やスーパーなどに並ぶこともあります。ふきのとうの地下茎は、見た目はワサビのようですが、有毒のため食べてはいけません。
ふきのとうの美味しい食べ方
ふきのとうは、ふき味噌や、天ぷら、おひたしなどにして食べられることが多いです。ほろ苦い味で、お酒のつまみにもピッタリです。
春の山菜②たらの芽
名前 | たらの芽 | 科目 | ウコギ科タラノキ |
原産地 | 日本、東アジア | 収穫時期 | 4月~6月上旬 |
食用箇所 | タラノキの新芽 | 樹高 | 5~10m(タラノキ) |
採取場所 | 林道などの日当たりのいい場所 | 注意事項 | トゲが多いため素手は危険 |
たらの芽は、タラノキの新芽のことです。タラノキには白っぽく、幹や枝に鋭いトゲの多い「男ダラ(オダラ、オンタラ)」と、トゲの少ない「女だら(メダラ)」という種類があります。タラノキと似ている漆(ウルシ)との見分け方は、トゲの有無に注目することです。タラノキにはトゲがあり、漆の木にはトゲがありません。漆は触るとかぶれてしまうことがあるため、間違えないように気をつけましょう。
たらの芽の美味しい食べ方
たらの芽はもっちりした食感に、ほのかな苦味があり、「山菜の王様」といわれています。天ぷらや、胡麻和えなどの和食はもちろんのこと、ペペロンチーノのような洋食にもあいます。
春の山菜③行者にんにく
名前 | 行者にんにく | 科目 | ユリ科ネギ属 |
原産地 | 日本(日本亜種) | 収穫時期 | 5月ごろ |
食用箇所 | 葉茎 | 草丈 | 20~30cmほど |
採取場所 | 松林、雑木林、海岸沿いなど | 注意事項 | 似ているものは有毒が多い |
行者にんにくは成長がとても遅く、収穫までに5年以上かかり、店頭にも並ぶことがほとんどないため「希少な山菜」といわれています。行者にんにくに見た目が似ている、スズラン、イヌサフランなどは有毒で、食べると非常に危険です。行者にんにくには強いニンニク臭があるため、においを嗅いで確認し、採取する際は注意しましょう。
行者にんにくの美味しい食べ方
行者にんにくは、ニンニク臭を活かした食べ方がおすすめです。醤油に漬けたものをそのままご飯に乗せて食べたり、餃子に混ぜ込んだりします。また、ニラ玉のように卵と炒る、天ぷらなどにしても美味しく食べられますよ。
春の山菜④あさつき
名前 | あさつき | 科目 | ヒガンバナ科ネギ属 |
原産地 | ユーラシア大陸 | 収穫時期 | 3月~4月(若葉) |
食用箇所 | 葉茎 | 草丈 | 30~50cm |
採取場所 | 海岸、市街地、土手など | 注意事項 | 辛味が強い |
あさつき(浅葱)は、ネギよりも薄い色をした山菜です。独特の辛味が特徴で、山形県ではあさつきを伝統野菜の一つとして扱われています。冬から春にかけて球根から伸びてきた新芽の部分を収穫し、春の味覚として親しまれてきました。
ボタニ子
見た目が似ている細ねぎとの見分け方はあるのかな?
ボタ爺
見分け方は茎の違いに注目することじゃ。あさつきのほうが、細ねぎよりもさらに細い葉茎じゃぞ。
あさつきの美味しい食べ方
あさつきは、根から葉先まで無駄なく食べられる山菜です。あさつきは、葉の部分は主に薬味として食べられることが多く、ネギなどに比べて辛味や苦味が強いです。炒めものに入れたり、味噌などと混ぜて使われたりすることもあります。根の部分は、味噌をつけると美味しく味わえます。
春の山菜⑤わらび
名前 | わらび | 科目 | コバノイシカグマ科ワラビ属 |
原産地 | 日本 | 収穫時期 | 3月~6月(地域による) |
食用箇所 | 若芽 | 草丈 | 50~200cm |
採取場所 | 日当たりのいい雑木林など | 注意事項 | アクが強い |
わらびはシダ植物の一種です。日当たりのよい雑木林や草原に自生しており、山の中などに行かなくても入手がしやすい山菜です。若芽が可食部ですが、かなりアクが強いためしっかりアク抜きしましょう。わらびの根からとれるデンプンを乾燥させ、粉末状にしたものがわらび粉で、わらび餅の原料です。
わらびの美味しい食べ方
アクをしっかり抜いたわらびは、炊き込みご飯、かき揚げや天ぷらに用います。また、塩漬け、煮付け、卵とじにしても美味しく仕上がります。アクさえきちんと抜ければ、いろいろな料理に応用のきく山菜です。
出典:写真AC