落花生とは
一般的には、さや付きのものを落花生、実の部分をピーナッツと区別して呼びます。落花生は豆ですから、他の豆と同じように枝にぶらさがるようにつくと考えられがちですが、土から掘り起こして収穫します。豆なのにナッツ(木の実)と呼ばれるのは、豆にしてはさやが硬いためです。そんな、ちょっと不思議な落花生の収穫時期の目安や見分け方、保存方法、おいしい食べ方について解説します。
落花生ってどんな植物?
落花生は、マメ亜科ラッカセイ属の一年草です。20~50cmほどの草丈で、南米原産です。日本に持ち込まれたのは、江戸時代と伝えられており、日本では主に食用として栽培されています。落花生の栽培では、とくに千葉県が有名です。
落花生の特徴
花
6月下旬から7月にかけて、落花生はかわいらしい黄色い花を咲かせます。落花生の花の特徴は、花が咲く前に同じ個体のめしべの柱頭につく自家受粉をすることです。受粉した後に花の根元にある子房で受精します。
実
受精後1週間ほどで、子房の元の部分が伸びた子房柄(しぼうへい)が、土に向かって伸び土中にもぐりこみ、さやができます。落花生の花が咲き終わると、子房柄が土の中にはいり、先端がふくらんで実になります。これを「地下結実性」といいます。
落花生の収穫時期と収穫方法
収穫時期の見極めという問題
「いつ収穫したらいいの?」「収穫時期の見極め方がわからない」というのが、落花生栽培での大きな疑問のひとつです。ここからは収穫期を見極めるための目安など、落花生の収穫について解説します。千葉県には落花生の収穫体験ができる農園もあるので、ぜひ行ってみてください。
収穫時期の目安
落花生はいつ収穫すればよいのかは品種によって異なります。気候や環境によっても変化しますが、目安として9月、遅ければ11月頃が収穫時期となります。一般的には種まきから約130日前後、開花から75~95日程度と考えられています。いつ収穫するか迷ったらこの目安を利用してください。
収穫時期の見極め方
茎や葉っぱが黄色くなり、下葉が枯れてきたら収穫の時期です。株元の土を少し掘ってみましょう。さやがぷっくり太って、はっきりした網目が見えたら収穫の適期のサインです。この網目が収穫の目安になります。網目がはっきり出ていないものは未熟なので、もう少し待ってください。
収穫方法
力任せに引っこ抜くと畝にさやが残ってしまいます。落花生の株の周辺の地面をスコップで掘り、土ごと持ちあげるとうまく収穫できます。収穫時期を逃してしまうと引き抜いてもさやが土に残ってしまうので要注意です。
落花生の乾燥・保存方法
収穫後の乾燥方法
収穫した落花生は茹でて食べるのでなければ、洗わずに土をしっかり払い落してから、さやの側を上に向けて天日干しにします。地干しと呼ばれるこの方法で、1週間から10日ほどしっかりと乾燥させます。この間に土は乾燥して落ちていきます。
地干しの注意点
鳥などが食べにきますので、ネットなどで防ぐ対策を忘れないようにしましょう。地干しが不十分な場合カビ発生の原因になることがあります。カビ予防のためにもしっかり乾燥させましょう。
地干し後の処理
地干しが完了したら風通しのよい場所の網袋などに入れてぶら下げておきます。新聞紙の上に広げるのもよい方法です。目安は約1カ月、さやを振ってカラカラ音がしたら完了です。時間をかけてゆっくりと乾燥させることで、渋みが抜けると同時にデンプンが糖分に変化して甘みが増します。さやから取り出してバラして天日干しもできます。
落花生の保存方法
収穫後の落花生を保存するときには、冷蔵庫で1週間を目安に落花生の脂肪が酸化する前に使い切ります。乾燥以外にも落花生を保存する方法はありますが、落花生は乾燥しない限り生では食べられないので、火を通して調理する必要があります。
冷凍
落花生はさやごと1晩水につけて塩でゆでます。塩ゆでの方法は後述します。塩ゆでにした落花生は、さやごと、あるいはさやから実をとりだして小分けにして冷凍室で保存します。解凍は自然解凍、または電子レンジでもおいしく解凍できます。
焙煎
焙煎した落花生は4~6カ月保存が可能です。焙煎が完了したら、粗熱を取ってビンや缶の容器で保存します。湿気に弱く香りが移りやすいので、においのない保存容器を使い、乾燥剤などで湿気を防ぎます。
種を残す場合
翌年にむけて種として残す場合は、さやごと完全に乾燥させます。さやから種を取り出すと発芽率が落ちてしまいます。その後は空気と湿気に触れないよう密閉容器にいれ、冷蔵庫で保存しましょう。取り出すときには実を傷つけないよう丁寧に扱ってください。
出典:写真AC