ツタンカーメン豆とは
ツタンカーメン豆の概要
ツタンカーメン豆は、マメ科エンドウ属の一年草で、学名は Pisum sativum(ピースム サティウム)です。普通のエンドウ豆と同じ学名ですので、エンドウ豆の一種(古代種)ということがわかります。ツタンカーメン豆の花はスイートピーやエンドウの花の形によく似ていますが、写真に見るように上の花びらは薄い紫色、下の花びらは濃い赤紫色をしています。
ツタンカーメン豆
古代品種の豆、ツタンカーメン豆はサヤは食べずに実(み)を食べる実エンドウです。花が出る前の茎や葉の様子はエンドウ豆とよく似ています。花は紫色、サヤも濃い紫色ですが、中の実(み)はエンドウなどと同じく緑色です。
ツタンカーメンとは
ツタンカーメンは古代エジプトのファラオ(在位:紀元前1333年頃 ~紀元前1324年頃)です。若くして亡くなったこの王が有名になったのは、その墓が盗掘の被害にあっていなかったからです。墓からは黄金のマスクや様々なものが見つかりました。他の歴史的に有名なファラオの墓は盗掘によって荒らされ、価値の高い財宝はなくなっています。ほぼ完全な状態でツタンカーメンの墓が発見されたことによって、歴史的に価値のある多くの副葬品も出土したのです。
ツタンカーメン豆の名前の由来
ツタンカーメンの墓のお供え物のなかに、レンズ豆やヒヨコ豆と一緒に、古代の紫エンドウ豆(ツタンカーメン豆 :英名King Tut’s Pea)がありました。その豆を発芽させて育てたのがツタンカーメン豆の名前の由来と言われています。ただ、諸説あって、ツタンカーメン豆が本当に3000年の時を経て発芽した豆だったのかどうか、はっきりしていません。ただ、ツタンカーメン豆(紫エンドウ豆)が、古代エジプトで食べられていたのは確かなようです。
古代エジプトの野菜や料理
古代エジプト人の食事を想像してみましょう。庶民の食事は、小麦で作った平たいパンと大麦から作ったビールが主食でした。ビールといっても、大麦パンを水に浸して発酵させたスープのようなものです。
ターメイヤ(豆のコロッケ)
豆は庶民のタンパク源
貧しい人々のタンパク源は豆類でした。ソラ豆、ヒヨコ豆、イナゴ豆、レンズ豆、エンドウ豆(ツタンカーメン豆)などです。
上流階級はグルメ!?
上流階級は肉やワイン、豊富な野菜やデザートも食べていました。料理として有名なのは、ターメイヤ(豆のコロッケ)、モロヘイヤのスープ、鳩の丸焼きなどです。乾いた砂漠の土地なので、フルーツ(ブドウ、イチジク、ザクロなど)も甘く、野菜(セロリ、レタス、タマネギなど)も美味しかったようです。
まとめ
古代エジプトの人々の食生活に欠かせなかった紫エンドウ豆(ツタンカーメン豆)。繁殖力があって滋養に満ちた食べ物でした。昔の人の栄養源だった紫エンドウ豆は、何千年もたった現代でも大切に育てられています。
出典:写真AC