落花生とは
落花生とは、南アメリカ原産のマメ科の一年草です。畑やポットに植えて栽培され、夏から秋にかけて葉の付け根辺りに黄色い蝶の形の花を咲かせます。その花が落ちた部分が伸びて地中に潜り、実を作るのです。子房が大きくなると網状の凸凹のあるさやとなり、その中に2個の種子ができます。種子からは油がとれ、エネルギー量はお米よりも高く、高たんぱくでビタミンDが豊富です。
落花生とピーナッツの関係
よく店頭で目にするピーナッツは、落花生と同じものです。殻から剥かれた落花生の実の部分はピーナッツと呼ばれています。状態で呼び方が違うというわけです。
落花生の育て方
落花生の栽培は、それほど難しくありません。植え方・育て方が心配な初心者でも、気軽に上手に作れます。ここからは、落花生の基本的な育て方などについて見ていきましょう。
落花生の育て方①種まき
落花生の種まきの仕方は、直まきとポットまきの2種類あります。それぞれのまき方をチェックしましょう。
直に種まきする場合
直まきの場合は、皮の艶やかな種を選びましょう。種と種の間を30cmくらいとって1粒ずつまきます。深さ1cmほどにまいたら、3cm程度土をかけます。あまり種と種を近くにまいてしまうと、発芽しない原因になってしまうため注意してください。種と土をなるべくくっつけるために、溝の部分を軽く踏みつけると、しっかりと種まきできます。
ポットに種まきの場合
ポットまきの場合は、9cmポットに種を3粒入れます。約2~3cmの深さに埋めて、土を3cm程度かけ、土を手でしっかり押さえて種と土を密着させましょう。密着させて、発芽の手助けをします。発芽するまで落花生の種は水を必要とするため、種を植えたときに水やりをしてください。また、鳥に食べられてしまう可能性もあります。防虫ネットをかけておくと鳥対策になります。
人気の品種の種まきにチャレンジ
落花生の種は、粒の大きい品種が人気です。大粒でゆで落花生などにも使われる「おおまさかり」や、落花生の薄皮の部分が黒い「黒落花生」が注目の品種です。初めての落花生栽培で、どれを選んだらいいかわからない方は「タキイ種苗」の人気品種から選んでみるといいでしょう。種類も多く販売されているため、きっと育ててみたい落花生が見つかります。
落花生の育て方②用土
落花生は石灰が必要な植物です。畑に直まき・ポットまきどちらの場合でも石灰をまきましょう。植え付けする約2週間前までには石灰を施すといいでしょう。石灰を施したらよく耕して、野菜用の培養土を使い水はけのよい用土を作ります。このとき、雑草・病害や畑の地温の上昇を防ぐために落花生の株元をポリフィルムシートや枯れ草で覆うのがおすすめです。これをマルチングといいます。また、落花生は連作できない植物のため、約3年間落花生を育てていない畑で栽培しましょう。
落花生の育て方③植え付け時期
落花生の植え付け時期は植え方や場所によって異なりますが、主に気温で植え付け時期を変えるのが理想です。寒い地域の方は5月半ばから6月半ばくらいまで、中間地域の方は5月初めから6月初めくらいまで、暖かい地域の方は4月末から5月末くらいまでに植え付けをすると上手く栽培できます。植え方は株と株の間を約30㎝空けることが大切です。植え方を間違えてしまうと上手く育たないといったことになってしまいかねないので、植え方には気を付けて植え付けをしましょう。
落花生の育て方④肥料や石灰
落花生の栽培に必要な肥料は、主に石灰と培養土、カリウム成分を多く含む肥料です。こまめに落花生の健康状態を見ながら、そのときどきに合った肥料を与えてください。
植え付けのときの肥料
落花生は根に付いている根粒菌のはたらきによって空気中から窒素を多く取り込みます。そのため肥料をあげすぎてしまうと窒素の取り過ぎで、葉だけがおおきくなりすぎてしまい実の方に栄養がいかず実があまりならないというつるぼけ状態になってしまいます。なので畑に植えたときに少しだけ肥料をあげて、あとは追肥だけにしましょう。
追肥と石灰
落花生の肥料は主に花を咲かせ始めた頃に、追肥であげることが多いです。本葉3枚ほどになったあたりから、2週間に一回くらいのペースで化成肥料を全体にまくといいでしょう。つるぼけ状態になってしまうと実が上手く育たないので、なるべくカリウム成分を多く含む肥料をあげるようにしてください。もし輪作で前回の肥料がまだ残っている状態であれば、石灰のみにして肥料は少なめか無くしてみるといいでしょう。落花生のそのときどきの健康状態を確認しながら肥料の量を調節してみてください。
石灰の必要性
石灰をまかないと落花生の莢(さや)の中に実が入っていない状態の莢が増えてしまいます。収穫時にたくさん実の詰まった落花生を収穫するためにも、なるべく石灰はまくようにしましょう。石灰の種類ですが、苦土石灰を使うことをおすすめします。苦土石灰を適量まいたら、よく土と混ぜ合わせてその後植え付けをしましょう。
落花生の育て方⑤苗の間引き
苗の間引きの段階では、主に莢が大きく美味しく育つための手助けをします。この工程を飛ばしてしまうと莢が十分に大きくならなかったり、きちんと細部まで栄養がいかず美味しさが減少してしまいます。
中耕
落花生の草丈が約30~40cmほどになって枝が分かれ子房柄が地中に潜るタイミングで、周りの土をふんわりと耕して潜りやすくします。これを中耕といいます。潜る位置の土を耕してあげることで、落花生の子房柄が地中に潜りやすくなります。
土寄せ
中耕の過程を経て土寄せをします。中耕でやわらかくなった土を落花生の株元に寄せてあげることで、落花生の子房柄を地中に潜りやすくする作業のことです。土寄せをしっかり行うことで落花生の栽培を手助けできます。子房柄が地中に潜り始めてからは傷つけてしまう可能性があるので触らないようにしましょう。この段階で追肥は表面に少しまくくらいにとどめておきましょう。
落花生の育て方⑥水やり
落花生の水やりは多すぎても少なすぎても発芽しません。発芽するまでは、しっかりと苗の様子を見ながら水やりをしましょう。特に種まきをした直後は、水分が不足しないように注意して栽培します。発芽後、花が咲いたあとはほとんど水やりはせず石灰や追肥だけにしてください。土が乾ききっているのを見たら、少しだけ水やりをする程度にしましょう。水やりのしすぎは落花生が枯れる原因ですが、乾燥させすぎると莢の成長を妨げてしまうため、適度を心がけてください。
落花生の育て方⑦収穫
落花生が育ったらいよいよ収穫です。収穫するときのポイントを覚えておきましょう。
栽培した落花生の収穫時期
落花生の収穫時期は、育て始めてから約5カ月ほど経った10月初旬から中旬です。葉が全体的に黄色くなり、下の方の葉が枯れてきているのが収穫の目安です。その時期を過ぎてしまうと美味しい落花生ではなくなってしまうため、試し堀りをするといいでしょう。落花生の殻にきちんと網目が入っているか、全体的にふくらんでいるかを確認します。ふくらんでいれば実が熟しているため、畑から引き抜いて収穫しましょう。スコップで軽く掘ってみて莢が残っていなければ収穫完了です。
収穫後の保存方法
落花生を収穫したら莢の部分を上側に向けて、風通しのいい場所で1週間から1カ月乾燥させましょう。掘った状態のまま置いておくとすぐに傷んでしまうため、自然乾燥させるかすぐに調理してしまいましょう。
出典:写真AC