いんげんは便利な緑黄色野菜
いんげんはマメ科インゲン属の緑黄色野菜です。緑色が鮮やかで、価格も一年を通して安定していることから、日々のおかずや弁当に便利な野菜といえます。本来のいんげんの旬は夏で、6月~9月ごろに収穫最盛期を迎えます。
さやいんげんとの違い
「いんげん」と「さやいんげん」は同じものです。古くは、いんげんを完熟させて中の豆を取り出して「いんげん豆」と呼んで食べていました。しかし、現在は未熟な状態で収穫し、サヤごと食べているため「さやいんげん」と呼ばれたり、単に「いんげん」と呼ばれたりします。もちろん、熟したいんげんから収穫した豆は「いんげん豆」として現在も食べられています。
いんげんは種類が豊富
いんげんの種類は多く、断面が円の「どじょういんげん」「サーベルいんげん」「ヒラサヤいんげん」や、平たく断面が楕円形の「モロッコいんげん」など形もバリエーション豊かです。また、形以外にも、色がクリーム色の「黄いんげん」や、紫色の「紫いんげん」などの種類もあります。
いんげんの栄養
いんげんは栄養豊富な緑黄色野菜です。不足しがちな栄養や健康効果が期待できる成分も多く含まれます。また、いんげんは皮を剥く手間もなく、電子レンジのみでの調理も可能です。「あともう少し野菜を摂りたい」といったときにも手軽に調理できる便利な野菜です。
栄養①カリウム
カリウムはバナナやメロン、芋類に多く含まれるミネラルの一種です。カリウムは細胞の浸透圧を一定に保ち、摂りすぎたナトリウム(塩分)を体の外へ排出する働きがあります。いんげん100gあたりのカリウムは約260mgで、りんごの2倍以上です。腎臓機能が正常であり、サプリメントを摂取していない限りは食べ過ぎの心配はありません。
栄養②βカロテン
にんじんに多く含まれることで知られているβ-カロテンですが、いんげんにも多く含まれます。100gのいんげんあたりのβ-カロテン量は約600μgです。β-カロテンは「ビタミンA前駆体」とも呼ばれ、体内でビタミンAを合成するのに欠かせない物質で、活性酸素から細胞を守る働きがあります。
ボタ爺
ボタニ子
βカロテンは、体内でビタミンAになるのね。
栄養③ビタミンB群
いんげんがもつビタミンB群は、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、葉酸などです。ビタミンB群は補酵素として働きます。補酵素は漢字が表すとおり、体のさまざまな代謝を担う酵素の働きをサポートするために欠かせない物質です。ビタミンB群はいずれも水溶性で、尿として体外に排出されやすいため、コンスタントに摂取することが重要です。
ボタ爺
「補酵素」とは単体では動かない酵素をサポートする物質のことじゃ。
栄養④食物繊維
いんげんには、さまざまな栄養に加え、食物繊維も含まれます。水溶性食物繊維が100gあたり0.3g、不溶性食物繊維が100gあたり2.1gです。成人男性の1日推奨摂取量は20g、女性は18gが目標値とされており、若い世代は平均して5~7g不足しているといわれています。いんげんのお浸しやごま和えをプラスするだけで、目標値に近づけるでしょう。
ボタ爺
水溶性食物繊維は水に溶ける性質をもつもので、オクラのネバネバなどが想像しやすいぞ。
ボタニ子
一方の不溶性食物繊維は水に溶けないもので、ゴボウや芋類、豆類に豊富です。ごわごわした食感ですね。
いんげんの効能
効能①むくみ・高血圧防止
ナトリウムは、体の機能を維持するために必要な物質ですが、過剰摂取は体のむくみや高血圧の原因となります。カリウムは、過剰に摂りすぎたナトリウムを体外に排出させる効能があるため、むくみや高血圧が気になる人におすすめです。ただし、腎臓の機能に問題を抱えているような人にとってはカリウムの過剰摂取はリスクとなります。医師に相談したうえで検討してみてくださいね。
効能②疲労回復
いんげんに含まれるビタミンB1は、エネルギーを作るための糖代謝に深く関係しており、疲労回復の効能が期待できます。疲れたときに甘いものを摂っていても、ビタミンB1が不足していると糖代謝がうまく行われず疲れが取れません。糖質過多になっている場合はぜひ、いんげんなどビタミンB群を含む野菜を意識して摂りましょう。
効能③便秘解消
いんげんに含まれる食物繊維のうち、不溶性食物繊維は腸内の滞留便からめとるようにして体外に排出するため、便通改善に効果的です。また、水溶性食物繊維は水分を多く含み、便通をスムーズにします。
いんげんはダイエットに向いている?
いんげんに含まれるさまざまな栄養はダイエットに向いているといえるでしょう。ビタミンB1は糖代謝を活発にするため、カロリー消費に役立ちます。また、水溶性食物繊維は腸内の糖吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を防いだり、コレステロールを体外へ排出したりする効能もあり、ダイエットにおすすめの野菜です。
ボタニ子
いんげんは現代人が不足しがちな栄養を補ってくれる野菜ですね。ダイエット中も摂りたいですね。
ボタ爺
そうじゃの。旬の季節でないときは冷凍いんげんをストックしておくのもおすすめじゃ。おいしい食べ方をチェックしていこうかの。
「前駆体」とは、ある物質の前段階のことで、化学変化によってその物質に変化する物質のことじゃ。