ヤブツルアズキとは?
ヤブツルアズキはアズキ(小豆)の原種と考えられています。アズキの花によく似ており、ノアズキ(野小豆)とも非常によく似た花が咲きます。自生していることがほとんどで、種まきをして、栽培、収穫をし、さらに種子を一般的に販売している地域は、非常にめずらしいです。
基本情報
学名 | Vigna angularis var.nipponensis |
漢名 | 藪蔓小豆 |
中国名 | 野豇豆(yĕ jiāng dòu) |
科 | マメ科マメ亜科 |
属 | ササゲ属 |
マメ科
ヤブツルアズキはマメ科に属します。マメ科の種子は主食と同じように、食用として利用されてものも多くあります。またつる性の特性を持ったものも多くあります。マメ科の中には、観賞として栽培されているものも多く、スイートピーやルピナス、フジなども含まれます。
マメ亜科
ヤブツルアズキはマメ亜科(ソラマメ亜科)に属します。マメ科の亜科のなかで最大になります。花は左右対称の傾向が強いです。しかし、ヤブツルアズキの花は蝶形花で左右非相称です。マメ亜科に含まれる植物には、エンドウ、ソラマメ、ダイズにクローバーなどがあります。
ササゲ属
ヤブツルアズキはマメ科ササゲ属し、同じササゲ属の仲間には、ササゲとアズキがあります。インゲン属と近い品種になります。ササゲとアズキは食用のため、種まきをし栽培します。そして収穫され、餡(あん)などに加工されます。ヤブツルアズキも同様に種子を収穫し、食用にできます。
分布
ヤブツルアズキは東アジアの照葉樹林帯に分布しています、日本では、本州から九州に広く分布しており、古くから草地、山里に生育している植物です。野草として8月~10月には黄色い可愛い花を咲かせています。
ヤブツルアズキの名前
ヤブツルアズキは日本の在来種で、日本の藪(やぶ)の近くに分布しており、こぼれ種でも増えていきます。しかし、自生が主で種まきをして栽培し、販売加工はほとんどありません、そのため食用される機会も少ないです。ただ、特産物として町おこしに一役買っている地域もあります。
和名
ヤブツルアズキは藪蔓小豆と漢字でかきます。この漢字とおりの名前の由来で、草木、竹が茂っている藪(やぶ)に自生しています。そして、ほかの物に絡みながら伸びるつる性のアズキ(小豆)からきています。
学名
学名は「Vigna angularis var.nipponensis」です。「 Vigna」 はイタリアの医師兼園芸家のビーニャさんの名前からきています。「angularis」 は角張ったという意味です、「nipponensis」 は日本産をあらわしています。
おまん小豆
ヤブツルアズキは石川県河北郡津幡町では特産品として認定され、「おまん小豆」の名前で加工販売されています。おまん小豆であるヤブツルアズキは、津幡では昔から町医者が薬として使用しており、地域に根づいた歴史のあるアズキです。しかし、栽培・加工・販売を行っているところはほとんどありません。
ボタニ子
次はヤブツルアズキの特徴について紹介します。
ヤブツルアズキの特徴
ヤブツルアズキはつる性で、花は渦を巻いたような形をしています。種子はたいへん小さく普通のアズキの約半分です。ヤブツルアズキを改良し、栽培用にしたものがアズキであるといわれています。本州から九州に分布している植物です。
特徴①種子
ヤブツルアズキの種子は豆果(とうか)と呼ばれる、サヤの中に入っていいます。マメ科にみられる特徴です。豆果とは、サヤの中に種子が入っていて、この種子を収穫します。種子は小さく黒色でわずか約4mmです。種まきをして栽培できますが、ほとんど販売されていません。
特徴②花
ヤブツルアズキは8~10月に黄色い花を咲かせてくれます。花は独特の蝶形花冠(チュケイカカン)で左側で渦を巻いています。蝶形花はマメ亜科の特徴ですが、ヤブツルアズキはめずらしく左右非相称です。
特徴③果実
ヤブツルアズキの果実は豆果(とうか)です。豆果とは、サヤの中に種子が入っている、マメ科の植物にみられる果実のことです。豆果は直線形で長さは4~9cmで、毛は生えていません。秋になり熟すとサヤは黒くなります。サヤの中には5~6個の種子が入っています。
特徴④蔓(つる)
ヤブツルアズキはその名前のとおり、つる性です。他の物に絡みながら、長いものでは3m以上伸びるものもあります。茎には黄色の褐色の毛が生えています。
特徴⑤葉
ヤブツルアズキの葉には、両面に黄色い褐色の毛が生えており、葉は1つの葉が3つの小さな葉にに分かれて構成されています。葉は短い柄で2枚あり、長い柄の葉は1枚で、小さく卵形の葉は先がとがっています。互い違いに生える葉です。
ヤブツルアズキの歴史
ヤブツルアズキは日本での歴史は大変古く、縄文時代から栽培されていたことがわかってきました。ヤブツルアズキの種子を収穫し、改良を重ねてアズキになったと考えられています。
縄文時代
遺跡の出土によって、縄文時代の早期からヤブツルアズキやツルマメ(ダイズの野生種)を食用として採取していたことがわかっています。さらに、野生種の種をまき、栽培していた可能性が新たな研究でわかってきました。
弥生時代
稲作が盛んになった弥生時代以降には、栽培種であるダイズやアズキが中国から日本に入ってきたと考えられていましたが、アズキは日本独自で進化したことがわかってきました。アズキやダイズの穀物は、古くからイネ同様に日本人にとって、欠かせない植物であることがよくわかります。
出典:写真AC