ヤブツルアズキの栽培
ヤブツルアズキは日本の在来種で、こぼれ種で増える野草です。同じササゲ属のササゲやアズキと同じく種子を収穫し、食用にすることができます。しかし、種まきをし栽培されていることは、大変少ない植物です。アズキの栽培と同じで大丈夫です。
種まき
ヤブツルアズキは日なたを好む植物で、耐寒性はなく1年草の植物です。発芽の適温は20~30℃なので、種まきは5月末~7月初旬がいいでしょう。
栽培
ヤブツルアズキは日本古来の野草で、草地や山里に広く分布し自生しています。こぼれ種でも増えてくれる、栽培しやすい植物になります。
収穫
ヤブツルアズキの収穫の時期は、10月頃です。夏、8月頃に藪(やぶ)を探してみてください。黄色いかわいらしい花が咲いています。さやが黒くなっってきた秋に、細長いさやから出して種子を収穫してください。
食用
ヤブツルアズキは米粒より小さい種子です、そのため、たいへん手間がかかります。しかし、アズキと同様に調理することができます。
販売
ヤブツルアズキは草地で自生していますが、栽培、加工、販売を行っているところは、残念ながらほとんどありません。ただし、石川県河北郡津幡町ではおまん小豆の名で特産品として認定されています。
ボタニ子
ヤブツルアズキとアズキの違い
ヤブツルアズキは野生種で、それを改良して栽培種にしたもながアズキです。日本のアズキは、粟津湖底遺跡:滋賀県(紀元前4000年ころ)や、登呂遺跡:静岡県(弥生時代・紀元1世紀ころ)などから発見されています。ヤブツルアズキと同じマメ科ササゲ属の仲間です。
種子
アズキのサヤは真っ直ぐでヤブツルアズキと同じです、熟すとサヤが茶色くなります、種子の色は紫味を帯びた赤褐色をしています。原種であるヤブツルアズキはサヤが黒くなり、種子は黒色です。大きな違いは、種子の色と大きさで、ヤブツルアズキの倍くらいがアズキの大きさになります。
花
アズキの花は夏のころ黄色い花を咲かせます。ヤブツルアズキの花と同じで渦を巻いています。アズキの祖先だけありそっくりな花です。
葉と茎
アズキの茎は直立であまり背は高くなりません、ヤブツルアズキのようにつる性ではないでですが、株の周りの茎は地面を這う傾向にあります。
ヤブツルアズキとノアヅキ違い
ノアズキは漢字で野小豆で、別名はヒメクズといいます。分類は、マメ科ノアズキ属に属している植物です。本州の宮城より西から九州に広く分布しています。ヤブツルアズキと大変似ていて、果実のサヤに違いが出るまで、見分けが難しいです。
種子
ノアズキのサヤは長さ約4cmの幅広い線状で、アズキと名前にありますが、種子の形は大豆に似ています。サヤには6〜7個の種子が入っています、食用ではありません。
花
ノアズキの花は夏、8月~9月になると咲き始めます、ヤブツルアズキと同じく黄色い花で、見た目がたいへんよく似ています。
葉と茎
ノアズキの葉は小さいひし形です、クズの葉に似ているところから、別名のヒメクズという名前が付いています。つる性で、ヤブツルアズキとよく似ています。
ヤブツルアズキを食用に
ヤブツルアズの種をまき、栽培、収穫をへて、加工販売で食用はほとんどありません。しかし、石川県河北郡津幡町では特産物の「おまん小豆」として地元に馴染み深いアズキです。
栄養成分
ヤブツルアズキは小豆の半分以下の大きさ、米粒くらいの大きさですが、栄養成分はぎっしり詰まっています。ポリフェノールは赤ワインの1.5~2倍含まれています。食物繊維はごぼうの3倍もあります。カリウムと鉄分はほうれん草の2倍ほど、ビタミンb群が多く含まれ疲労回復効果があります。
あんの調理法
ヤブツルアズキは小豆と同じように調理できます。ヤブツルアズキに約5倍の水を加えまして、沸騰したら湯でこぼします。そして新しい水を加え、さらに煮ます。ただし湯でこぼすと栄養成分も捨てるので、あくを取り除くほうが、栄養成分を取り入れやすいです。
粒あん
ヤブツルアズキは米粒より小さく、皮が分厚いので、プチプチとした食感が口に残ります。好みが分かれますが、こしあんには、粒が小さすぎるため難しいです。
ぜんざい
ヤブツルアズキの粒あんをもとに、ぜんざいにしてください。アズキのぜんざいより粒がしっかりし、食感を楽しんでください。
赤飯と雑穀米
ヤブツルアズキはご飯と一緒に炊いみてください。小粒の赤飯です、米粒より少し小さいので、火がとおりやすく炊飯器で一緒に炊いても大丈夫です。小粒で食べやすいです、ただ、小豆よりはご飯の色が薄くなります。
味
ヤブツルアズキは小さく、普通のアズキより皮が分厚いのため、少し固く感じます。プチプチとした粒の感触が残ります。この感触の好き嫌いは分かれますが、味はアズキと変わらず美味しくいただけます。
まとめ
ヤブツルアズキは、日本人にとって欠かすことのできない小豆の祖先です。現在も野草として自生しています。種まきをして、栽培されることが少ないのは残念です。秋に藪(やぶ)を探してみて、種子を収穫してみてはどうでしょうか。渦を巻いた可愛い黄色い花は、鑑賞用としても楽しませてくれます。
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次はヤブツルアズキに似た植物を紹介します。