マイヅルソウの名前の由来
山道の脇に群落を作り、小さくて可憐な花を咲かせるマイヅルソウという植物をご存知でしょうか。マイヅルソウの漢字表記は、「鶴が舞う草」と書いて舞鶴草です。なぜ、「鶴が舞う」と名付けられたのでしょうか。マイヅルソウのどの特徴に、その理由が隠されているのでしょう。それでは、ここからマイヅルソウの名前の由来について、詳しく解説していきます。
舞鶴草の由来は葉の特徴
舞鶴草という名は特徴的な葉の形に由来しています。葉の特徴は大きく分けて3つあります。それぞれの特徴から「舞鶴」に隠された謎を紐解いていきましょう!
①葉の形は楕円のハート型
まず、1つめの特徴はマイヅルソウの葉の形です。深い緑色をしたマイヅルソウの葉は、大きな楕円のハート型に見えます。葉の根本にくぼみがあり、根本から中央までの幅は広く、葉先に向けてスッと尖っていきます。
②葉の葉脈が葉先に向かって湾曲している
2つめの特徴は、葉脈という葉の筋がはっきりとしていて、この葉脈が葉先に向けて大きく湾曲していることです。大きくくっきりと筋を描く葉脈は、真上からとても美しく見えます。
③葉の付き方が互生している
マイヅルソウの葉序は互生という葉の付き方をします。互生とは節ごとに一枚の葉が、違う方向に向けて交互に付いていく葉の付き方をいいます。対生(左右対称に葉が付く)や、輪生(一節に3枚以上の葉がぐるっと付く)に比べて葉の広がり方が分かりやすいですね。
鶴が舞う姿に似ている
上記の3つの葉の特徴から、鶴が羽を広げて舞う姿に見立てられたことが「舞鶴草」の名前の由来になります。大きく広げた濃い緑の葉は、古くから山道を行く人の目を楽しませ、このような素敵な名前を付けて貰えたのかもしれません。
マイヅルソウの花言葉
マイヅルソウの花言葉は「清純な少女の面影」です。大きな葉に守られるように咲く清らかな白い花の清純さと、透明感のあるおしべから少女の面影の両方が連想されたのかもしれません。また、小さな花と大きな葉の一見アンバランスな印象が、少女期のはかなさを思い浮かばせるような花言葉ですね。
マイヅルソウの開花時期
マイヅルソウの開花時期は、4月から7月頃と地域によって幅があります。花芽になる茎は、10㎝ほどの高さになり2~3枚の葉を付けます。花芽はその姿を鶴の首に見立てたとも言われており、緑のつぼみが開花をすると白い花を咲かせます。群落しているマイヅルソウは比較的規模が大きく、一斉に開花して美しい景観を作る大群落もあります。
マイヅルソウの基本情報
ここからは開花時期以外のマイヅルソウの基本情報をお届けします。山野草に分類されるマイヅルソウは、登山道の脇などに群落していることが多い植物です。山歩きをされる際によく見かける山野草です。ただし、茨城県や愛知県、三重県、広島県では純絶滅危惧種に指定されています。
園芸分類は山野草 キジカクシ科
山野草であるマイヅルソウは、キジカクシ科マイヅルソウ属の多年草です。山野草とは、鑑賞価値が高く、平地から高山までの野外に自生している植物のことです。キジカクシ科以外でスズラン科や、ユリ科などがあります。同じキジカクシ科の植物に、「アスパラガス」「万年青(おもと)」などがあります。
秋になると実を付ける
マイヅルソウは、秋になると丸い小さな実を付けます。熟す前は茶色のまだら模様ですが、熟してくると次第に赤く透き通っていきます。ガラス玉のような実が付き始める秋に、マイヅルソウだと気が付くこと人も多いでしょう。これは葉の緑と赤のコントラストがよく目立つためです。マイヅルソウは白い花が咲く夏、赤い実がなる秋、このどちらも楽しめますね。
まとめ
マイヅルソウという素敵な名前の付いた山野草についてまとめました。開花時期は初夏から盛夏にかけて、白い小さな花は透明感のあるおしべが特徴的です。また、秋にはガラス玉のような実で道行く人を楽しませくれます。素敵な名前の由来を思い浮かべながら、マイヅルソウを探してみてはいかがでしょうか。
出典:BOTANICA