たんぽぽの綿毛とは
たんぽぽは黄色い花が咲いてから、約2週間で白い綿毛に変わります。愛らしいたんぽぽの花ですが、実は咲いている期間は少なく、咲いた後にすぐにしぼんで、白い綿毛になる準備をはじめます。まずは基本情報から見ていきましょう。
基本情報
学名 | Taraxacum |
英名 | Dandelion |
和名 | タンポポ(蒲公英) |
科 | キク科 |
属 | タンポポ属 |
たんぽぽの花びらには1枚につき、めしべとおしべ、子房がついています。子房とは、のちに種になる部分のことです。1つの花に見えるたんぽぽは、実際は200個ほどの花がかたまってできています。この200個ほどの花をまとめている部分を総苞(そうほう)といいます。たんぽぽは生命力が強く、花が潰されても根の部分が生きていれば、また新しい花芽をつけ、たくましく咲きはじめます。
たんぽぽは草丈が低いので、背の高い草花が一緒だと隠れてしまい光合成ができなくなってしまいます。そのため、他の草花が育たないような道端などで発芽します。
名前の由来
たんぽぽの名前の由来は諸説あります。そのうちの1つに、綿毛が綿を丸くして布で覆った「たんぽ」に似ているからという説があります。英名のダンデライオンは、フランス語で「ライオンの歯」を意味します。かわいい見た目からは、あまり想像できない名前ではないでしょうか。見た目から、ライオンのたてがみを想像されがちですが、実際は葉っぱの部分がライオンの牙に似ているところから、名付けられています。
漢字の「蒲公英」は、咲く前のたんぽぽを乾燥させた漢方「ホコウエイ」から由来しているという説があります。
たんぽぽの綿毛の役割
たんぽぽは一度咲いたあとに、更に成長し、種子に綿毛をつけ遠くへ飛んでいきます。綿毛は飛ぶのに適した構造になっていて、放射線状に広がっています。秒速0.5mの風であれば、空中に浮遊して、最大約10kmまで飛ぶことができます。また、落ちた場所が屋根や石の上など定着しにくく乾燥している場合は、風が吹くと再度飛ばされて移動します。そして定着しやすい湿度の高い場所に落ちるとしっかり固定します。
たんぽぽの綿毛ができる過程
春の時期になるとたんぽぽの花びらが開花して、白いふわふわの状態に変わります。あの黄色い花びらの状態から、白い綿毛になるにはどのような過程なのか気になりませんか?変化の中で、たんぽぽはより多くの種子を残せるように、工夫をしています。変化していく様子を、画像をみながら順に説明していきましょう。
たんぽぽの開花
まずは、たんぽぽの花が咲きます。実はたんぽぽが咲いている日数は5日程度です。短くて3日、長くて1週間の間、綺麗な黄色い花を咲かせます。咲いている間は、朝に花を開き、夜になると閉じる動作を繰り返します。道端でよく見かけるたんぽぽですが、意外にも咲いている期間は短いのです。
葉っぱに覆われしぼむ
開花した後は、花の周りが覆いかぶさっていき、つぼみのような状態にもどります。きゅっとしぼみ、上の画像のような状態になり、茎は地面に横たわるように倒れていきます。この現象は、種をつくる時のエネルギーをなるべく節約するためという説があります。
二度目の開花で白い綿毛へ
種が成長し、綿毛もできあがると、葉っぱのような部分が開きはじめます。開きはじめると、しぼんでいた花びらの部分もだんだん上に上がっていき、とれていきます。一度横に倒れた茎は再び立ち上がり、白い綿毛が現れます。茎は開花の時よりさらに高く立ち上がり、より高い位置から遠くへ種を飛ばそうとします。
たんぽぽの綿毛の完成
全て開ききって成長した状態です。この状態から風にのって遠くへ飛んでいきます。花が開いてから白い綿毛になるまでの期間は、おおよそ2週間程度です。半月使ってゆっくりと空を飛ぶ準備をし、いっせいに散らばっていきます。
たんぽぽの綿毛は雨が降っていると開花しません。いろいろな工夫をして、綿毛を生み出しています。
参考動画
こちらの動画は、たんぽぽの開花から白い綿毛になるまでの過程を撮影した、YouTube動画です。一連の流れ(約1ヶ月間)を撮影し、早送りした動画になります。花が咲いていく様子がどこか神秘的で美しい、おすすめの動画です。ぜひご覧ください。
たんぽぽの開花時期
3月〜4月の春の時期に開花します。たんぽぽは暖かい時期に開花するため、地域によって多少のずれがあります。また外来種になると、3月〜10月まで開花する品種もあります。在来種は基本的に春に開花すると覚えておくといいでしょう。たんぽぽは種をつくるのと同時に綿毛もつくられます。できた綿毛は風に吹かれて各地に分散し、定着してから数日程度で発芽します。
発芽してからは、地面に這ったように葉っぱを放射状に広げます。その後、葉っぱの中央から茎が伸びていき、黄色い花を咲かせます。
たんぽぽの綿毛のアレンジ方法
ドライフラワーをつくる
たんぽぽをドライにするのは一見難しそうですが、作業内容はとても簡単です。ふわふわで愛らしいたんぽぽの綿毛は、瓶にいけたり、リースにしたり、吊るしたりと、おすすめのドライフラワーです。
たんぽぽの綿毛はつぼみからドライにする
たんぽぽの綿毛は少しの風で飛んでしまうくらい、もろいものです。綺麗な丸いドライフラワーにする場合は、つぼみからつくります。つぼみのまま持ち帰り、自宅で綺麗な形になるまで成長を待ちます。なるべく、風の当たらない場所で保管してください。
ワイヤーを通して乾燥させる
つんできたら茎にワイヤーを通しておきましょう。茎は空洞なので、ワイヤーで固定してください。その状態で水につけ綿毛になるまで数日待ちます。丸く綺麗な綿毛になったら水からあげて乾燥させ、完成です。できあがった後も非常にもろいため、扱いには注意しましょう。
ハーバリウムをつくる
たんぽぽの綿毛はもろく、ハーバリウムは難しそうに感じますが、つくり方はとても簡単です。好きな瓶を用意し、ピンセットを使い綿毛の形を崩さないように慎重に瓶に入れていきます。配置できたら、ハーバリウム専用の液を流し込み、完成です。瓶に入っているだけでも十分かわいいですが、デザインの凝った空き瓶に入れたり、小さな瓶をいくつか並べてみたりと、アレンジを楽しんでみましょう。
たんぽぽの綿毛で占いができる
子供の頃、綿毛をふっと吹いて遊んだことはありませんか?その吹いた後に残った綿毛の量で、占いができます。綿毛を吹いて、残った綿毛の量が多いほど「好きな彼からの愛が大きい」という結果になります。思わず控えめに吹きたくなりますが、いつも通りに吹きましょう。ぜひ試してみてください。
まとめ
たんぽぽの綿毛についてご紹介しました。白い綿毛がどうやってできるかは意外とご存知なかったのではないでしょうか。花が数日しか咲かないと知ったあとに見かけると、今までとは違った印象で見えてきますね。そんな儚いたんぽぽの花や、丸く愛らしい綿毛を春に探してみませんか?
出典:pixabay