サイハイラン(采配蘭)とは?花や葉の特徴や群生地をご紹介!

サイハイラン(采配蘭)とは?花や葉の特徴や群生地をご紹介!

サイハイランは、ラン科の多年草植物です。細長く垂れ下がった花が特徴的で、一見ランの仲間には見えない姿をしていますが、実は絶滅危惧種にも指定されている希少な植物です。今回は、そんなサイハイランの名前の由来や特徴、開花時期などについてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.サイハイラン(采配蘭)ってどんな植物?
  2. 2.サイハイラン(采配蘭)の特徴
  3. 3.サイハイラン(采配蘭)の生息・群生地
  4. 4.サイハイラン(采配蘭)の開花時期
  5. 5.まとめ

サイハイラン(采配蘭)ってどんな植物?

サイハイランは、ラン科の多年草植物です。薄ピンクや紫の細長い花がふさのように垂れ下がって咲く姿が印象的です。生息地は、北海道からはじまり、九州まで日本各地で見られます。しかしその数は減少傾向にあり、地域によっては絶滅危惧種に指定されています。また、成長に必要な養分を光合成以外に菌類からも得ている植物であるため、移植や栽培は難しいといわれています。そんな貴重なサイハイランについて深く掘り下げてみましょう。

基本情報

学名 Cremastra appendiculata
科名 ラン科 
属名 サイハイラン属
分布 北海道、本州、四国、九州
開花時期 4~6月

名前の由来

和名の由来

出典:写真AC

和名の「采配蘭」という名前は、花軸につく花のようすが「采配」に似ていることが由来しています。采配とは、戦国時代、武将が戦場で軍勢を指揮する際に使われていた道具のことです。厚紙を細長く切ったふさを木や竹でできた柄につけたもので、掃除に使うはたきのような形をしています。細長い花びらが垂れ下がって咲く姿は采配によく似ています。

学名の由来

出典:写真AC

サイハイランの学名は、「Cremastra appendiculata」です。「Cremastra」は、ギリシャ語で「kremannymi(懸垂する)+astron(星)」を意味しており、星のようなかたちの花が垂れ下がって咲くようすが由来しています。

サイハイラン(采配蘭)の特徴

花や蕾の特徴

サイハイランは、一見ラン科の植物とは思えないような花を咲かせます。茎の先に約10~20個の蕾をつけ、すぼめた傘のような形の細長い花が垂れ下がるようにして咲くのです。蕾は茶色っぽい色をしていますが、開花すると鮮やかな紅紫色の唇弁が見え、花びらも薄いピンクや紫色になります。サイハイランは個体差が大きく、色の濃いものや黄緑色がかっている個体もあり、微妙な色の変化を楽しめます。

茎の特徴

真っ直ぐに伸びた茎は、30~50cmまで成長します。サイハイランは地下の茎に、水分や養分を蓄える貯蔵タンクの役割をする偽球茎を持っています。ラン科の植物によく見られ、地下の茎の一部が肥大してできるのです。偽球茎の形は種類によってさまざまで、棒状型、偏平型などがあり、サイハイランは卵型をしています。また昔の人は、焼く、煮るなどして食べたり、生薬として用いられたりするなど重宝されていました。

葉っぱの特徴

サイハイランの葉っぱは、まれに2枚のこともありますが、通常1株に1枚の葉っぱしかつきません。かたちは先の尖った長楕円形で、15~35cmほどの大きさです。秋に偽球茎から新葉が出て、そのまま葉っぱのみが越冬します。葉っぱは翌年の初夏に枯れ、また秋には新しい葉っぱをつけます。

サイハイランとエビネの見分け方

サイハイランと同じラン科であるエビネは、葉っぱの形態がよく似ています。花が咲いている時期は見分けがつくのですが、冬場はどちらも葉っぱのみが残っている状態のため、見分けるのが難しくなります。見分け方として、以下のポイントを参考にしてみてください。(上の画像はエビネです)

  • サイハイランには、葉っぱが生えている根本部分に黒っぽい葉鞘(ようしょう)と呼ばれるさやがついているが、エビネにはそれが見られない
  • サイハイランは、1~2枚。エビネは3枚以上の葉っぱがつくことが多い
  • サイハイランの方が、エビネより細長く尖っていて、笹の葉のような形

果実の特徴

花が枯れた後は果実が実ります。楕円形で2~3cmほどの大きさです。乾いた果実の蒴果(さくか)をつけます。放射線状の仕切りで分けられた複数の袋の中に種子が詰まっていて、成熟すると自然と裂開し、中から糸くず状の種子が散布します。また、種子は栄養分を持たないため、通常の播種では繁殖が難しいようです。

サイハイラン(采配蘭)の生息・群生地

サイハイランは、野山の木陰や日陰などの湿った場所を好んで生息しています。基本的に数株まとまって生息していることが多いのですが、場所によっては大群生を見られますよ。単体はあまり目立ちませんが、群生になるとインパクトがあります。具体的にどのような場所で見られるのかご紹介します。

 

山や森林の中

出典:写真AC

北海道から広がったといわれているサイハイラン、。現在は、本州、四国、九州など日本のいたるところに生息しています。とくに北海道やその周りの南千島、礼文島、また狭山丘陵一帯でも多く生息しており、その姿を見られます。登山道の脇などにもひっそりと生えていることもあるため、注意深く探してみてくださいね。

植物園や自然公園

出典:写真AC

絶滅危惧種にも指定されているとおり、開発や園芸目的の採取により数が減少しつつあるため、山地で見つけるのが難しい場合もあります。そんなときは、各地の植物園や自然公園などでも生息している場所があるため、一目見てみたいという方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

サイハイラン(采配蘭)の開花時期

見ごろの時期

開花時期は夏がくる前の4~6月頃です。蕾は茎の先端につき、下から上へと咲いていく総状花序です。垂れ下がって咲くので一見枯れているようにも見えますが、これがサイハイランの特徴ですので、見逃さないようにしましょう。花はやがて葉と共に枯れていき、秋には果実を実らせ、新しい葉も生えてきます。

まとめ

ラン科の植物の中では、どちらかというと地味で目立ちません。しかし、ひっそりとうつむき加減で咲いている姿を見ると、なんだか健気で独特の美しさを感じますよね。絶滅の危機にもある貴重な植物のため、自生しているものは大切にしましょう。機会があれば、ぜひひっそりと咲くサイハイランを見つけてみてくださいね。

wanaw
ライター

wanaw

自然が好きです。でも虫はにがて、、

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