マツムシソウとは?
マツムシソウの基本情報
分類 | 草花 |
学名 | Scabiosa |
属名 | マツムシソウ(スカビオサ) |
分布 | 日本を含むアジア、ヨーロッパ、コスタリカ他 |
概要 | 一年草、多年草 |
開花時期 | 品種による |
花色 | 紫、青、白、ピンク他 |
日本には固有種も
マツムシソウはずっと昔から日本に自生しており、固有種もいくつか分布している花です。日本の固有種として有名なものは、「タカネマツムシソウ」などが挙げられます。8月~10月頃にかけて花を咲かせ、「マツムシ」(スズムシのかつての呼び名)が鳴く季節に花が咲いていることから名づけられたといわれています。
園芸品種について
マツムシソウの仲間は海外にも多く存在していて、園芸品種も含めると70種を超えているほどです。園芸用として売られているものの多くは海外のマツムシソウで、属名でもある「スカビオサ」という名前で売られている場合もあります。「スカビオサ」で有名な園芸品種は、ヨーロッパ(西洋)原産の「セイヨウマツムシソウ」などです。
マツムシソウが好む環境は?
耐寒性・耐暑性
マツムシソウは、冬の寒さに比較的強い植物です。栽培品種の種類が多いため、多少の差はありますが、ある程度の耐寒性があることは共通しています。しかし、夏の暑さにはやや弱い傾向があるようです。越冬がたやすく、冬の管理は簡単ですが、その代わり夏のあいだは管理は必要で、直射日光があたらない場所を用意します。
多湿に弱い
暑さに弱いマツムシソウですが、じめじめしているような湿度が高い環境にも弱い傾向があります。湿度も気温も上がりすぎてしまう地域では、注意しながら管理をすることが大切です。また、風通しのよい環境を作ってあげる必要があるため、地域や土地によってむずかしい場合は鉢に植えるのがよいでしょう。
マツムシソウの植え付け方
マツムシソウの植え付け方①土作り
水はけがよくアルカリ性が最適
マツムシソウは、湿気をきらいます。多湿をきらっているのは土の中も同じで、水はけのよい土を用意することが大切です。また、アルカリ性の土を好んでいます。赤玉土と腐葉土が4対2の土に軽石砂を4割ほど混ぜ込んだものが理想ですが、「配分が難しくて自信がない」というような方は、市販の培養土でも十分です。
マツムシソウの植え付け方②種まき
種まきは秋
マツムシソウの種まきは、9月~10月に行うのが最適です。春に種まきをした場合でも、夏の暑さや湿気の対策をすることで育てられることもあります。しかし、種まきをしてから開花するまで1年ほどの期間が必要ですので、一度も花を見ることなく枯れてしまうことも珍しくありません。種の安全を考えて、秋に植えつけましょう。
マツムシソウの植え付け方③苗植え
3月~4月、または9月~10月
苗植えの場合は、春か秋が適切です。鉢植えか、地植えのどちらでも育てることができます。鉢植えの場合は、手軽に用意できる「草花用」や「山野草用」として売られている培養土が便利です。庭に植える場合は、腐葉土や堆肥を混ぜ合わせて水はけの良さを重視します。また、風通しの良い場所を選びましょう。
ボタニ子
種まきや苗植えの方法は、一般的なお花の植え方と同じで問題ありません。
マツムシソウの育て方・普段の手入れ
マツムシソウの育て方①水やり
土の表面がカラッと乾いた頃が、水やりのタイミングです。土の中の水分量が多いと弱りやすくなってしまうため、水をあたえすぎないようにしましょう。また、水やりが必要なのは鉢植えのみで、庭に植えた場合は雨だけで十分です。「どうしても心配!」という場合は、晴れの日が続いたら土が乾きすぎていないかチェックしましょう。
マツムシソウの育て方②肥料
肌寒い季節に少量で十分
マツムシソウは、あまり肥料を必要としていない植物です。あらかじめ、マツムシソウのために用意した土に腐葉土を混ぜ込んでおくことで、ほとんど追肥をしなくても育ってくれます。肥料をあたえる場合は、生育期に与えるとよいでしょう。生育期は春と秋です。緩やかに効いていく液体肥料を少しずつあたえます。
マツムシソウの育て方・管理のコツ
マツムシソウの管理のコツ①病気・害虫
灰色かび病に注意
じめじめした環境や時期を苦手としているため、梅雨などの時期に「灰色かび病」という病気にかかりやすく、注意が必要です。この病気にかかってしまった場合、対処が遅れると葉・茎・花など至るところに広がっていき、腐ってしまうこともあります。小まめにチェックをして、斑点を見つけたらすぐにハサミで切り取ることが大切です。
ボタニ子
害虫に関しては、そこまで心配しなくても大丈夫です。
マツムシソウの管理のコツ②気を付ける季節
梅雨、夏、冬
マツムシソウが苦手なものは「湿気」と「暑さ」と、それから「水が凍ってしまうような厳しい寒さ」です。したがって、気を付けなければいけない季節は梅雨、夏、冬になります。多年草の品種も多いマツムシソウですが、一年で枯れてしまうことも少なくありません。マルチングをするなど、対策をしっかり行いましょう。
マツムシソウの管理のコツ③花後の手入れ
花がら摘みは小まめに
開花時期が長い植物ですので、花後の花がら摘みは小まめに行いましょう。そうすることで、一輪の花が終わった後も、あまり間が空かないように花を咲かせることができます。すべての蕾が一旦終わっても、茎を半分ほどカットすると伸びてきた新芽に再度花が咲くこともあります。風通しをよくし、株を清潔に保つためにも手入れは大切です。
マツムシソウの管理のコツ④植え替え
多年草の品種のみ
花が終わった後に実を付けて枯れてしまうセイヨウマツムシソウのような一年草と二年草の品種は、植え替えの必要がありません。多年草を鉢植えで育てる場合は、1年半に一度を目安にひとまわり大きな鉢に植え替えます。庭に植えて育てる場合は、成長速度を見ながら3年半に一度を目安に植え替えると、すくすくと育つためおすすめです。
マツムシソウの増やし方
マツムシソウの増やし方①株分け
花芽が4個以上付いた株を選んで株分けを行うことで、増やすことができます。まずは、土から慎重に根を取り出し、根を傷付けないように土を手で少しだけ払い落とすようにほぐしましょう。そうしたら、花芽が半々になるように切り分けます。あとは、植え付け方と同様に植え付けるだけです。
マツムシソウの増やし方②挿し木
挿し木に使う茎を選ぶ必要がありますが、このとき、新芽に近いような花芽のない茎を選ぶのがポイントです。長さは10cm以上の枝で、7~8cmを目安に切り取りましょう。長い茎の場合は10cmほどでも構いません。市販の川砂などを鉢に準備し、茎を挿し込みます。根が伸びるまで、小まめに水やりを行いましょう。
ボタニ子
使用するものは、バーミキュライトでも全く問題ありません。
まとめ
今回は、マツムシソウの育て方や管理のコツなどをご紹介しました。少々デリケートな植物ですが、害虫の被害にあうことは少ないため、虫の処理が苦手という方にもおすすめです。一年で終わってしまうことも多いですが、増やし方が比較的簡単で冬越しも楽にできるため、一度育ててみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC