クルマユリ(車百合)ってどんな花?
ユリにはたくさんの種類があり、花の形や開花時期などさまざまです。クルマユリ(車百合)も多くの種類のなかの1つで、別名を笠百合(カサユリ)といいます。開花時期は7月、8月ごろです。中国、朝鮮半島、日本などに広く分布し、冷涼な土地を好みます。日本では北海道、本州の中部地方、四国の剣山などに分布しています。日本で自生しているユリのなかではもっとも標高の高いところに生えているのが特徴ですが、北に向かうにつれて低い場所でも自生しており、北海道では海岸近くで見られることもあります。草丈は50cm~100cmほどです。
花の特徴
花の色はとても色鮮やかなオレンジまたは朱色で、濃紅色の斑点が特徴です。花粉は赤褐色で、真下に向いて花を咲かせます。つぼみも下向きです。花の大きさは4cm程で、花びらの先は多くのユリと同様に強く反り返っています。クルマユリとよく似ている花は、オニユリとコオニユリです。
オニユリ
7月~8月にかけて咲くユリ科の花です。中国から日本に渡来したといわれています。とても大きなユリの花で、日本中の山や河原で見られます。オニユリは種ではなく葉の付け根にむかご(黒い実)をつけるのが特徴です。むかごは、大きくなった芽のことで球根と同じような性質を持っています。そのため、むかごから育てることも可能です。草丈は1~2mと大型で、葉っぱの間から長い茎を伸ばし、花を下向きに咲かせます。花言葉は『愉快』『陽気』『華麗』です。
コオニユリ
7月~9月にかけて咲くユリ科の花です。山地の草原に生え、冷涼な場所を好みます。花の大きさは直径10cmほどで、オニユリより小さいのが特徴です。花の大きさは小さいですが、背丈は2mを超えることもあります。葉腋にむかごができないこともオニユリとの違いです。花言葉は『賢者』です。
葉の特徴
葉が輪状につく輪生葉で、日本に自生しているユリのなかでは、クルマユリが唯一の輪生葉です。花の形が似ているオニユリやコオニオリとの見分け方は、この葉の特徴に注目することです。またこの葉の特徴が車輪のように見えたため、クルマユリ(車百合)という名前の由来になったといわれています。
茎の中央部分に多くついてる葉のみが輪生葉で、茎の上部になると小型の葉がまばらにつきます。また生育地域によって輪生数は違っており、高山地帯では1~2段、平地では3~4段くらいが輪生しています。
実の特徴
クルマユリの実はさく果です。さく果とは熟すると下部が裂けて種子が散布されることです。実の中は3室に分かれていて、雌しべが3心皮からできています。これはユリ科の特徴の1つです。実の長さは1.5~2cmで倒卵形です。
クルマユリの品種と変種
クルマユリの品種と変種には以下の種類があります。
品種の種類
クロバナクルマユリ | 花の色が紫色や黒っぽい品種 |
チシマクルマユリ | 葉が細い品種 |
フナシクルマユリ | 花被片に斑点がない品種 |
変種の種類
サドクルマユリ | 鱗片に関節がないのが特徴 |
変種のサドクルマユリは佐渡島の金北山などに分布しており、石川県で絶滅危惧I類(CRまたはEN)の指定を受けています。
クルマユリの花言葉
クルマユリの花言葉には『純潔』『多才な人』『純愛』『陽気』などあり、7月2日と9月6日の誕生花とされています。クルマユリも含め、ユリ全般では『純粋』『無垢』『威厳』という花言葉があります。『威厳』の花言葉は、堂々としているユリの花の姿が由来しているのでしょう。また花の色でも花言葉があります。
各色の花言葉
白 | 『純潔』『威厳』 |
赤・ピンク | 『虚栄心』 |
黄 | 『偽り』『陽気』 |
オレンジ | 『華麗』『愉快』『軽率』 |
クルマユリの育て方
ユリは、品種によって好む場所などが若干違います。クルマユリは日当たりのよい場所を好みます。高温多湿は避け、夏はできるだけ風通しのよい場所を選びましょう。水切れをしてしまうと花が咲かなくなる場合があるため、冬もたっぷり水をあげます。球根の植え付けの時期は10~11月が適しています。
鉢植えの育て方
鉢植えで10号くらいの鉢を用いるなら、3球ほど植えます。用土は軽石と赤玉土か、硬質鹿沼土の混合土を使用します。肥料は春と花後・秋に置き肥を与え、植え替えは2、3年に1回、10~11月の休眠期に行いましょう。水やりは土の表面が乾いたら与えてください。ユリの発芽や開花には、一定期間の低温を経験することが必要なため、戸外で管理をします。
地植えの育て方
植える前に、土づくりをします。30cmくらいの深さに掘り、よく耕しておきましょう。腐葉土やたい肥をあらかじめ混ぜ込んでおきます。定植時に水やりした後は、基本的に自然に降る雨に任せます。しかし、雨が少なく乾燥する場合はたっぷりと水を与えるのがよいでしょう。
まとめ
クルマユリを含め、なかなか見る機会の少ないユリの種類はたくさんあります。しかし、近年は通信販売などで球根や花の取り扱いが豊富になっているため珍しい種類のユリの購入も容易になり、自宅でも育てやすくなりました。ぜひ小ぶりでかわいらしいクルマユリを、自宅で育ててみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC