たんぽぽは食べられる?
日本に自生しているたんぽぽの種類は、大きく分けると2種類あります。在来種であるニホンタンポポと外来種であるセイヨウタンポポです。セイヨウタンポポは、明治時代に野菜として日本に入ってきたものが野生化したものといわれています。それ以前の江戸時代の頃から、たんぽぽをおひたしや汁物に入れて食べていました。明治時代に入ってからも花は天ぷら、茎はきんぴらにして食べていた歴史があります。
基本情報
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 50cm |
花の色 | 黄色、白、ピンク |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 遊び、薬用、食用、工業製品の材料 |
栽培の可否 | 可 |
食べられるたんぽぽの種類
日本に自生している在来種のたんぽぽには、ニホンタンポポの「カントウタンポポ」「カンサイタンポポ」「エゾタンポポ」「シロバナタンポポ」があります。加えて外来種のセイヨウタンポポ、その交雑種などがあり、基本的にどのたんぽぽも食べられます。食用たんぽぽの種が販売されていることもあるので、購入して栽培することも可能です。
たんぽぽの食べ方
たんぽぽは全草が可食部位です。アク抜きが必要な部位、加熱が必要な部位もありますが、基本的にどの部分でも食べられます。しかし自宅以外で採取したたんぽぽは、どのような扱いをされてきたかわからないので、加熱して食べることをおすすめします。
下処理
たんぽぽの葉をおひたしやサラダで食べる場合、アク抜きが必要です。
下処理の手順
- 葉をよく洗う
- 沸騰した湯に重曹か塩を加えて葉を入れる
- 葉を湯から取り出して冷水で冷やす
- 数時間~一晩水にさらす
食べ方①たんぽぽコーヒー
たんぽぽコーヒーはたんぽぽの根を細かく刻んで焙煎し、粉末にしていれた飲み物です。カフェインを含まないため身体に優しく、妊娠中や授乳中の女性に好まれます。「コーヒーはすきだけれどカフェインは摂りたくない」という人にぴったりです。
材料(カップ1杯分)
- タンポポの根:5本
- 熱湯:150~200mL(ドリップ用)
作り方
- 根をよく水で洗い、1cmほどに細かく切る
- キッチンペーパーなどの上に広げて乾くまで3日~4日ほど干す
- 乾燥した根を弱火で15分~30分ほど炒る
- 香りと色が濃くなっているのを確認して火を止める
- ミルなどで粉末状にする
- コーヒーと同じようにドリップする
ボタニ子
たんぽぽコーヒーは特に女性におすすめ!こちらの記事に詳しく書かれているよ!
食べ方②たんぽぽジャム
たんぽぽの花とオレンジを使って作るジャムです。パンだけでなく、デザートにも活用できますよ。紅茶に混ぜてもおいしいでしょう。
作り方
- たんぽぽの花100gを洗って花びらをはずす
- 3時間~4時間ほど干す
- オレンジ1個を厚めに輪切りにし、さらに4等分に切る
- レモン1個をしぼる
- たんぽぽの花びら・オレンジ・水600ccを鍋に入れ、蓋をして弱火で1時間煮る
- 煮たものをこす
- こしたものとグラニュー糖350gほどとレモン汁を再び鍋に入れ、40分~50分程度、とろみがつくまで煮る
- 清潔な瓶に入れて逆さにして冷ます
食べ方③たんぽぽサラダ
たんぽぽの葉は、エンダイブやチコリ、ベビーリーフの代わりとして使えます。普通にベビーリーフを使うようにほかの野菜と一緒に盛り付けて、ドレッシングなどをかけて食べましょう。新タマネギや春ニンジンなどの季節の野菜、クルミなどの木の実とあわせても相性抜群です。タンポポの葉はアク抜きして使ってください。
材料
タンポポの葉っぱ:35g
ゆで卵:1個
塩レモン:大さじ1
ヘンプオイル:大さじ1
作り方
- アク抜きしたタンポポの葉をちぎり、ゆで卵を散らします
- ヘンプオイルとレモン汁を混ぜて作ったドレッシングをかけて完成
食べ方④たんぽぽ味噌
たんぽぽ味噌はたんぽぽの葉と味噌を混ぜた保存食です。ご飯にかけたり、酒のあてにしたりしましょう。焼いた厚揚げに乗せて食べてもおいしいです。湯で溶くと簡単なみそ汁になります。同じように野草で作るものとしてはふきのとうで作る「ばっけ味噌」があります。葉はアク抜きしたものを使ってください。
材 料(1~人分)
- たんぽぽの若葉
2株分
- しょうが
1かけ
- 味噌
大さじ3
- 葉を細かく刻む
- しょうがをすりおろして味噌と混ぜる
- 葉を入れてよく混ぜて一晩おいて苦味を取る
食べ方⑤たんぽぽの天ぷら
たんぽぽの天ぷらは、ほかの野菜の天ぷらと同じ要領で揚げます。市販の天ぷら粉を使用すると失敗も少なく、簡単でおすすめです。衣の作り方、揚げ時間などはそれぞれの天ぷら粉の使用法に従ってください。また、天ぷらにする場合はアク抜きは必要ありません。
材料
日本タンポポの葉:10枚位
てんぷら粉:1/2カップ
水:80cc位
揚げ油:適宜
天つゆ:適宜
抹茶塩など:少々
- 葉を水洗いして水気を切る
- 粉と水を混ぜて衣を作る
- 葉の表面にだけ衣を付けて、サッと揚げて完成
食用にたんぽぽを摘む場合の注意点
自宅の庭や栽培しているもの以外のたんぽぽを食用・飲用目的で摘む場合は、薬剤散布などの危険を避けましょう。人の出入りの少ない場所で摘むほうが安全です。採集する適期は蕾がつく前の若葉で、日陰で土の柔らかい場所に生えているもののほうがアクが少ないのでおすすめです。また、たんぽぽは葉の再生は遅いので、1つの株から採りすぎないように気をつけましょう。
たんぽぽの効果・効能
たんぽぽは乾燥させたものを「蒲公英(ほこうえい)」、根を乾燥させたものを「蒲公英根(ほこうえいこん)」といい、漢方の生薬として用いられます。日本でも古くから民間療法として肝臓や腎臓の強壮剤や便秘や消化不良を改善する目的で用いられてきました。しかし、根本的な病気の治療に使えるほどの効果があるという科学的根拠はありません。
科学的根拠
- 病気の治療にタンポポを使うことに対して有力な科学的根拠はありません。
たんぽぽを摂取する際の注意点
たんぽぽはキク科の植物なので、キク科の植物にアレルギーがある場合は摂取しないでください。また、アレルギーがなくても過剰に摂取すると体調を崩す恐れがあります。摂りすぎないよう十分気をつけましょう。小さい子ども、既往症のある方、体調不良時の摂取は医師などの専門家のアドバイスに従ってください。
効果効能①炎症の改善
たんぽぽには必須脂肪酸、必須ミネラル、βカロチンが含まれていて、これらの作用が炎症の改善に効果があるといわれています。ニキビ、喉の腫れ、結膜炎、急性乳腺炎、胃炎など、幅広い炎症に効果が期待できるでしょう。関節炎などの体の外側の慢性的な炎症には、たんぽぽの抽出液を使用した温湿布をすることでも効果が得られるとされています。
効果効能②ホルモンのバランスを整える
たんぽぽに含まれるタラキサシンは、肝臓の働きを助けるとされる成分です。肝臓には女性ホルモンの一種であるエストロゲンの過剰分泌を抑える働きがあり、乱れたホルモンバランスを整えます。ホルモンバランスが整うことによって、生理不順の解消やイライラなどの生理前症候群の軽減、美肌や美髪効果など、女性にとって嬉しい効能が期待できるでしょう。
効果効能③そのほかの効果効能
たんぽぽは根に豊富なカリウムを含みます。カリウムには利尿作用があるので、体内の老廃物や毒素の排出を促します。またカルシウムとビタミンCという骨の成長に関わる成分も含んでおり、骨粗鬆症などの予防にも効果が期待できるでしょう。ほかにも、目の健康に必要なビタミンA、貧血の予防に効果的な鉄、便秘解消に役立つ食物繊維も含まれています。
おいしい野草たんぽぽを食べよう
たんぽぽは手軽に入手でき、見た目もかわいらしく、食べてもおいしい野草です。薬効も高く、健康をサポートしてくれるでしょう。自宅の庭などで採集したたんぽぽで料理やコーヒーを作るのも楽しい体験になります。雑草としては厄介な面もあるたんぽぽですが、魅力も多いといえるでしょう。身近なたんぽぽの新しい一面をぜひ楽しんでください。
出典:写真AC