雑草・オナモミについて
オナモミは、キク科オナモミ属の植物です。北海道から沖縄まで日本全国の道端や河川敷で見かけられる雑草で、全体にトゲがついた実が特徴的です。トゲをつかって実が服や動物の毛に付き、遠くまで運ばれることから、ひっつき虫という別名で呼ばれています。投げたり、並べて飾りにしたりと、子どもたちのおもちゃとしてもよく利用されます。
基本情報
学名 | Xanthium strumarium |
和名 | オナモミ |
原産地 | アジア |
草丈 | 0.2~1m |
花言葉
オナモミは実が有名な植物ですが、夏のおわりに小さな花を咲かせます。オナモミの花言葉は、「怠惰」「八方美人」「頑固」など、あまりよくない意味の言葉が並んでいます。また、10月19日の誕生花です。
「怠惰」「八方美人」「頑固」
「怠惰」という花言葉は、自分から動かずに、トゲでほかの動物に種を運んでもらう様子からつけられました。一方「八方美人」は、近くを通りかかった動物ならばなんにでもついていくさまがその理由です。また「頑固」は、絡みついたトゲがなかなかはがれ落ちないことに由来します。
オナモミの特徴
オナモミの大きな特徴といえば、そのトゲトゲとした実です。なぜトゲがついているのかというと、ほかの動物たちに実を運んでもらうためです。熟した実は移動した先で種を落とし、春になると新たなオナモミが生えてきます。
特徴①オナモミは別名ひっつき虫
オナモミは、ひっつき虫やくっつき虫などの別名を持ちます。これは、実から生えているトゲを使って、服や動物の毛などにひっつく性質に由来します。見た目に対してあまり鋭いトゲではないため、バラなどのように怪我をすることはあまりありません。
子孫を残すために種子がひっつく
オナモミが、ほかの動物にひっつくのは、遠くの場所へ種子を運んでもらうためです。種子の運ばれ方は植物によってさまざまですが、その多くは風や虫を利用します。さらに、熟したオナモミの実のトゲは硬く、簡単には落下しません。そのため、遠くまで種子を運ばれます。
子どもの野原遊びにも使われる
オナモミは、子どものおもちゃとしてもよく利用されます。中でも代表的なのが、生地にオナモミの実を並べて飾りやアクセサリーにすることです。毛の長い生地ほどオナモミがよくひっつくため、主に毛糸やフェルトなどが利用されます。オナモミを投げて服にひっつける遊びも人気ですが、人に向けて投げるとトゲが刺さって怪我をすることがあるため注意しましょう。
特徴②2種類の種が入っている
オナモミの種子の中には、2種類の種が入っています。なぜ違う性質を持つ種が入っているのかは、詳しくはわかっていません。しかし、2つの種はそれぞれ発芽時期などに違いがあるため、幅広い気候条件に対応するためだといわれています。また、異なる種類のオナモミが近くに生えているときには、あまり実をつけないという特徴もあります。
オナモミの毒性や効能
オナモミについて注意しなければいけない点として、毒性が挙げられます。若い芽などに含まれるカルボキシアトラクティロシドは、頭痛やおう吐を引き起こします。しかし同時に漢方薬として利用されているため、正しい利用方法の理解が必要です。
家畜が食べてしまうと危険
オナモミは、家畜にとっては猛毒です。牛の放牧の際、春先に生えてきたばかりのオナモミの芽を食べた牛が中毒を起こして死亡する、という事件がしばしば発生します。また種も牛にとっては毒であり、牧草地帯にオナモミが生えたことがきっかけで被害が拡大することもあります。
漢方薬としても使われる
乾燥させたオナモミの実は、ソウジシ(蒼耳子)という名前で漢方薬として使われます。ソウジシは解熱作用や発汗作用を持ち、風邪薬としてとても優秀です。特に体にたまった水分を取り除く作用が強いため、副鼻腔炎(ふくびこうえん)などの鼻詰まりの薬として利用されることがあります。
名前の由来も虫刺されに効くことから
オナモミという名前も、薬効成分から来ています。オナモミの葉をもんで虫刺されのあとにすりこむとかゆみがおさまることが、その由来です。菜をもむのでナマモミ、さらになまってナモミとなりました。ナモミと呼ばれる植物が2種類あったため、大きいほうを雄になぞらえてオナモミ、小さいほうを雌になぞらえてメナモミと呼ぶようになったのです。
ボタ爺
オナモミといえば、わしもよくおもちゃにしておったな。しかし、昔に比べると細長いオナモミが増えた気がするんじゃが気のせいかのう?
ボタニ子
近年では、在来種のオナモミではなく、細長くて大きい外来種のオオオナモミのほうが増えているらしいの。次のページで詳しく見てみましょう。
出典:写真AC