はじめに
チドメグサ(血止め草)は、道端や民家の裏庭、芝生など、いたるところで見かけられる雑草です。地表を這うように広がり、繁殖力が強い雑草として駆除するのに厄介がられます。しかし一方では、品種によってはアクアリウムの水草としても最近注目を浴びている植物です。今回はそんなチドメグサについて、詳しい特徴や種類、駆除方法などをご紹介します。
チドメグサ(血止め草)とは
学名 | Hydrocotyle sibthorpioides |
科 | ウコギ科 |
属 | チドメグサ属 |
育成 | 常緑多年草 |
英名 | lawn pennywort |
分布 | 本州~沖縄(世界の熱帯から温帯。) |
開花 | 6〜10月 |
世界の熱帯から温帯地域にかけて広く分布する植物です。日本では本州〜沖縄まで、庭先や道端など場所を選ばず、どこにでも見られる雑草とされています。関東地方以西では冬も枯れずに越冬する多年草となります。寒冷地域の冬では地上の葉は枯れて地下部のみで越冬して、早春よりまた生育をはじめます。主に湿地帯を好むため、水分の多い土地にも生えます。チドメグサは、エングラーやクロンキストなどの旧来の体系ではセリ科に含められていましたが、現在は新APG体系のウコギ科に移行しました。
チドメグサ(血止め草)の特徴
チドメグサの茎は、とても細長くたくさん枝分かれします。茎は地面を這うようにおおい広がり、節々から根を下ろします。葉は1cm程度で小さく光沢があります。5~10月頃、葉のわきに白~紫色の一風変わった小さな花をつけます。非常に繁殖力が強く、茎を手でちぎっても、根が少しでも残っているとすぐにまたそこから生え広がるため、駆除するには少し手間がかかる植物です。
チドメグサ(血止め草)の薬効
名前の通り、葉をすりつぶして草の汁を傷口に塗ることで止血の薬効をもつ植物とされ、日本ではチドメグサ(血止め草)と呼ばれています。古くから伝承の民間薬草として止血に使ったことが、この名の由来です。
チドメグサ(血止め草)の種類
チドメグサ属に分類される植物は、いくつか種類があります。主に日本に自生して、芝生や野草などで私たちがよく見かけるのは「チドメグサ」「オオチドメ」「ノチドメ」の3種です。
チドメグサの見分け方
日本に自生している3種のチドメグサは、見た目もよく似ていますが、主に葉の大きさや形状で見分けることが可能です。
見分け方①チドメグサ
葉は直径1~1.5cmと小さいのが特徴です。チドメグサは葉の切れ込みが浅く、茎は地を這って広がります。
見分け方②オオチドメ
チドメグサより葉が大型であることから、この名がつきました。オオチドメグサの見分け方は、葉の直径が1.5~3cmでチドメグサの葉より大きく、葉の切れこみは浅く丸みがあることです。また、葉に光沢を持っています。
見分け方③ノチドメ
ノチドメは野原でみかけることが多いことからこの名がつきました。ノチドメの見分け方は、葉の大きさが直径2~3cm程度で、切れ込みが深いことです。茎がやや立って、地を這って広がることも特徴です。
アクアリウムの水草としても人気
アクアリムの水草としてよく見かけるのが、外来品種のチドメグサです。ブラジルチドメグサは強力な繁殖力を持っているため、日本では、水辺などの在来植物の住処を覆い奪ってしまうほどです。そのため現在は特定外来生物に指定され、輸入や栽培も禁止されました。また同じ外来の品種でも、アマゾンチドメグサは現在もアクアショップなどで販売され栽培ができます。
人気のアマゾンチドメグサ
独特な丸い葉が、水槽のアクセントとして存在感があることからアクアリウムで人気です。南米原産の外来品種で、水辺に生育しています。沈水でも育成が可能で、浮葉性の水草でもあります。幅広い水質に適応する、丈夫で育てやすい水草です。
次ページからはチドメグサの駆除方法について紹介します。