セイヨウミツバチとは?日本ミツバチとの違いや養蜂での利用方法を解説!

セイヨウミツバチとは?日本ミツバチとの違いや養蜂での利用方法を解説!

セイヨウミツバチと日本ミツバチの違いをご存じですか。同じように見えるミツバチですが、実は種類によってそれぞれ個性があり知れば知るほど奥深い世界です。今回はセイヨウミツバチの生態や特徴、日本ミツバチとの見分け方についてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.セイヨウミツバチとは
  2. 2.セイヨウミツバチの生態
  3. 3.セイヨウミツバチの特徴
  4. 4.セイヨウミツバチと日本ミツバチの見分け方
  5. 5.セイヨウミツバチの養蜂での利用
  6. 6.セイヨウミツバチはユニークな昆虫!

セイヨウミツバチとは

フリー写真素材ぱくたそ

一生懸命蜜を集める姿が健気でかわいい蜜蜂。中でも現在世界中で養蜂に活用されているのが、セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂)です。

セイヨウミツバチの基本情報

膜翅(まくし)目
亜目 細腰(ほそこし、さいよう)亜目
有剣類
ミツバチ科
ミツバチ属
セイヨウミツバチ
学名 Apis mellifera
英名 Western honey bee
European honey bee
和名 セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂)

セイヨウミツバチの分布

Photo byMabelAmber

セイヨウミツバチは、アジアの西の方からヨーロッパ、アフリカが主な生息域です。もともとセイヨウミツバチの分布域東端は、カスピ海の西までであると考えられていました。しかし、近年はさらに東でも発見され、今後より東へ分布が広がるのではないかともいわれています。

昔のアメリカに蜜蜂はいなかった

かつて野生の蜜蜂は、アメリカやオーストラリアには生息していませんでした。養蜂のために移民によってセイヨウミツバチが持ち込まれ、野生化してしまい、現在はアメリカの南部でも見られます。また、野生化して交配を繰り返した蜜蜂は「キラービー」と呼ばれ、大変攻撃性が強いことでも知られます。

セイヨウミツバチの亜種

Photo by7854

セイヨウミツバチには、20種を超える亜種(種をさらに細かく分類したもの)が存在します。中でも養蜂でよく用いられるのが、3種類の亜種です。

イタリアン(イタリアミツバチ)

イタリアのリグリア州に分布する亜種です。蜜を集める能力に優れているため、世界で最も養蜂に用いられている種類でもあります。女王蜂、働き蜂ともに黄色い体をしている点が特徴です。

カーニオラン(カルロニアミツバチ)

Photo byErik_Karits

スロベニアのカルロニア地方、オーストリアなどを中心に生息する種類で、とてもおとなしいことで知られています。ほかの亜種よりもやや大きく、体の色は灰黒色です。イタリアンと同じく蜜を集める能力に長けている一方、分蜂(巣内の蜂が増えすぎたときに、女王蜂が巣内の半数の蜂を従えて群れを離れること)が起こりやすいことが欠点といわれています。

コーカシアン(コーカサスミツバチ)

コーカサス山脈に分布する亜種で、灰色で大きな体が特徴的です。プロポリスを集める能力に優れています。舌が長いことでも有名で、その特徴を活かしてほかの亜種ができないような花の花粉媒介も行えます。

ボタニ子

ボタニ子

イタリアンをベースに「ふくおかハイクイーン」という種類も生まれたの。でも、現在は生産されていないわ。

セイヨウミツバチの生態

生態①集団で生活

Photo by7854

蜜蜂は「社会性昆虫」とも呼ばれており、集団を形成し「女王蜂」「働き蜂」「雄蜂」とそれぞれの役割を担って活動している昆虫です。ひとつの群れはすべて1匹の女王蜂から生まれた蜜蜂で、自然界の厳しい生存競争を生き残るため集団で協力して生活しています。

生態②女王蜂の存在

Photo byamypointer

数千から数万匹の群の中で、女王蜂は唯一無二の存在です。1日に1,000~1,500の卵を産むといわれています。女王蜂の寿命は3~4年ほどで、産卵数が減ると「王台」と呼ばれる特別な場所に後継の女王蜂を生むのです。新たな女王蜂は産卵から3日後にふ化し、その後6日経つと蛹(さなぎ)に、さらに7日ほどで羽化します。

ひたすら卵を産む

女王蜂の役割は、ただひたすら卵を産むことです。羽化して7日ほど経つと雄蜂と交尾するために巣を飛び立ち、2~3日後に帰巣してあとは毎日卵を産み続けます。

生態③働き蜂の存在

群の大部分を占める働き蜂は、全て雌からなります。女王蜂に産み落とされてから3日後にふ化、幼虫になって6日後に蛹化、さらに12日後に羽化するという流れです。寿命は夏場で30日程度、秋~冬の場合は4~5カ月といわれています。

日齢によって仕事がかわる

蜜を集めるイメージが強い働き蜂ですが、実は仕事はそれだけではありません。巣の掃除に始まり幼虫の育児、巣内の温度管理、巣作り、外敵から巣を守る門番など、羽化してから寿命を迎えるまでの間にさまざまな仕事をこなしています。受け持つ仕事は日齢によって変化し、最後の仕事が蜜などを集めて巣に持ち帰ることです。

生態④雄蜂の存在

Photo byPollyDot

雄蜂は、女王蜂に産み落とされて3日後にふ化、その後6日で蛹化、さなぎになって15日後に羽化します。交尾が仕事のため、それ以外は何もしていません。春になると女王蜂との交尾のため巣から飛び立ちますが、運よく交尾できた個体は交尾により体の一部がちぎれて死んでしまいます。生き残って巣に戻ってもやがて追い出され、餓死する運命です。

生態⑤行動範囲

Photo byPexels

日本にいるセイヨウミツバチの行動範囲は、半径2~4kmほどです。小さな体でそれだけの距離を移動するのはとても大変ですが、さらにその距離を1日10往復以上も移動しています。

生態⑥食べ物

セイヨウミツバチが食べる食べ物は、女王蜂と働き蜂・雄蜂で違いがあります。女王蜂が食べるのは、ローヤルゼリーと呼ばれる非常に栄養価の高い食べ物です。一方働き蜂や雄蜂は、ふ化して最初の3日だけローヤルゼリーを食べるもののその後は花粉を食べて過ごします。

生態⑦ミツバチダンス

ミツバチダンスは、仲間に蜜源の場所を伝えるためのコミュニケーション方法です。蜜源を発見した働き蜂は、巣に帰るとお尻を小刻みに揺らして飛び回り、その振動で場所を示しているといわれています。これがダンスのように見えることから、「ミツバチダンス」というかわいい名前で呼ばれるようになりました。

生態⑧警戒フェロモン

Photo byPexels

蜜蜂が外敵などの危険を察知したときに出すのが警戒フェロモンです。警戒フェロモンを感じ取った仲間は、刺針行動によって群れを敵から守ろうとします。養蜂をする際に誤って巣箱の蓋に蜜蜂を挟んでしまい刺針行動を誘引してしまうことがあるため注意が必要です。

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セイヨウミツバチの特徴

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