屋上庭園の定義
定義的には、建築物の屋上につくられた庭園が屋上庭園です。商業施設や会社のビル、工場などの建築物に、緑化の目的で屋上庭園が採用されていることもあります。特に商業施設では、定義の枠を超えた豪華なデザインの屋上ガーデンが都会の人たちの癒やしになっています。近年では比較的土地が狭い都市部の戸建てを中心に、屋上庭園がつくられるようになりました。
リフォーム時の屋上庭園化が人気
近年では、古い2階建て戸建ての2階部分を取り壊し、部屋を1階だけにする減築という建築方法も人気が出てきています。リフォームする段階で、屋根部分を屋上ガーデンにすることも可能です。戸建てのリフォームを考えているなら、屋根を屋上庭園にするという建築計画の利点も考えてみるとよいですね。
屋上庭園をつくることのメリット
設置のハードルが高く感じられやすい屋上庭園ですが、利点がたくさんあります。屋上庭園の利点を知ると、自宅に屋上庭園をつくることに前向きになるかもしれません。
メリット①断熱効果を期待できる
屋上のすぐ下の部屋で過ごしていると、夏は特に暑さを感じることがあるでしょう。屋上に照りつける太陽の熱がすぐ下の部屋に暑さを伝えてしまうためです。屋根の上に芝生や土をしいて屋上庭園にしておくと、そこへ太陽熱が吸収され、自然と部屋の中の気温が下がって快適に過ごせるという利点があります。人工芝では同じ効果を期待できないため注意してください。
メリット②リラックス・リフレッシュ目的で使える
屋上庭園があれば、屋上からの景色を見ながらリラックスできます。プライベートガーデンで、人目を気にせず一息ついてリフレッシュできるかもしれません。ガーデニングをやってみるのも楽しいでしょう。屋上はまわりの建物で影ができにくく、太陽の光をたっぷり浴びた元気な植物や野菜を育てられます。屋上ならではの開放感は屋上庭園の利点のひとつです。
メリット③環境保全に貢献できる
都市部ではヒートアイランド現象が問題点になってきました。少しでも自然を取り戻そうという努力がされているなか、屋上庭園を環境保護の目的で設置できます。自治体によっては、屋上緑化という形で環境に貢献している建築物には助成金を出してくれるかもしれません。屋上庭園をつくることを検討しようと思ったときは、住まいの自治体のサポートを調べてみるのがおすすめですよ。
メリット④子供やペットの安全を守れる
外で遊ばせたくても自宅の前が道路では、気軽に子供たちだけで遊ばせられないということもあります。屋上なら外部から人が入ってきたり、ものが飛んできたりする心配がありません。特に小さい子供を遊ばせるときには安心ですね。屋上ガーデンを子供の遊び場としてレイアウトすれば子供たちも大喜びするでしょう。また、ペットの安全な遊び場や運動不足解消目的でも使えます。
メリット⑤狭い土地でも庭が持てる
都市部では特に土地の値段が高くて、庭付きの戸建てを持つのは少し難しいかもしれません。屋上ガーデンという形で屋上に庭を設計すれば、土地が広くなくても庭付きの家を持つことが叶います。近年は屋上庭園が一般的になり、設計の段階から屋上ガーデンを取り込んでみるのもおすすめですよ。土地の広さに応じた税金対策目的で使えるという利点もあります。
屋上庭園を作ることのデメリット
メリットが多い屋上庭ですが、もちろんデメリットもあります。メリットだけでなく、ひととおりの問題点も見ていきましょう。
デメリット①補強工事に費用がかかる
建物はどれくらいの重さに耐えられるか計算されたうえで建てられています。初めに計算された以上に屋上に重さを加えると、建物に問題点が発生します。屋上を人が歩く程度の計算はされていても、屋上に土を入れるという計算はされていないかもしれません。土を入れると重量がかなり加わります。リフォームして屋上庭園につくり替える場合は、補強工事がほぼ必須です。
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デメリット②手入れに時間がかかる
もし屋上に植物を置いているなら、ほぼ毎日のように植物の状態を見て水やりする必要があります。屋上庭園にするとソファやテーブルなどの家具や植物をたくさん置くため、水やりだけでなく、部屋の中と同様に掃除や整理整頓が必要です。屋上を庭園にするということは部屋が一つ増えるのと同じ、と思ってもよいでしょう。
デメリット③使えるときが限られる
開放感が魅力の屋上庭園ですが、日本には四季があり、季節や気温に応じて屋上庭園で過ごせるときは限られます。特に冬場の屋上は寒く、長い時間を過ごすのには向きません。真夏も日中の日が高い時間は、日焼けや熱中症が心配です。もちろん雨が降れば屋上は使用できません。春先や秋口の暑くも寒くもないときなら、屋上で過ごすのにぴったりです。
デメリット④排水の問題が発生する場合がある
屋上の排水溝がつまっていたら、雨がたくさん降ったときにうまく排水ができません。近年は突然のスコールのような大雨が降る場合もあり、いきなり大量の水が屋上にたまる心配があります。屋上に土や植物がたくさんあるなら、常に排水溝をチェックして、つまらないように掃除しましょう。排水溝がつまると下の部屋に水漏れしてしまうかもしれません。
デメリット⑤風に弱い
建物が建っている地形や周りの建物の大きさにもよりますが、屋上は大抵の場合、風が強い場所です。さえぎるものがないため、風が屋上の植物や物に直撃してきます。風がふきやすい地形の場合は、ガーデニング目的の屋上庭園は向いていないかもしれません。台風が来るときには大型の物や植物は飛ばされたり、壊れたりする心配があるため、暴風の対策が必要になります。
地面に接しているテラスよりも、安全には念をいれないといけないよね。