カメムシとは
カメムシは4月~5月に繁殖時期をむかえ、5月下旬から夏にかけて産卵します。カメムシの種類にもよりますが、1匹のメスが産む卵の数は10個~100個といわれ、1週間~10日で孵化(ふか)します。生まれたばかりのカメムシの幼虫は、生殖器も羽もある不完全変態です。脱皮を繰り返して秋になる時期に成虫になり、越冬のため暖かい場所を探します。
ボタニ子
基本情報
学名 | pentatomoidea |
科 | カメムシ目カメムシ亜目カメムシ科の総称 |
英名 | stink bugs |
別名 | へヒリムシ、クセコムシ、ヘクサムシ |
繁殖期 | 5月~6月 |
寿命 | 約1年半 |
カメムシが大量発生する理由
大量発生の理由①暖冬
カメムシは寒さに弱い昆虫です。秋をすぎ10℃を下回る時期になると、冬眠する準備を始めます。冬眠場所は冬でも暖かい室内や、軒下、枯葉の下や雨戸の戸袋などです。寒さが厳しい年は、越冬できずに死ぬ個体も多くなり、数が減ります。しかし暖冬なら家に侵入しなくても、屋外で冬眠できてしまい、数が減らないため大量発生につながります。
大量発生の理由②ヒノキやスギの花粉が多い
カメムシはヒノキやスギの実が好物で、ヒノキやスギに好んで卵を産む種類もいます。ヒノキやスギの花粉が多い年は実が大量になり、カメムシもよく成長して餓死する個体が減少します。元気に成虫になったカメムシが多くの卵を産み、大量発生の理由になるというわけです。
大量発生したカメムシを駆除する方法
駆除方法①燻煙殺虫剤
カメムシが数匹いる程度であれば、市販のスプレー式殺虫剤を使用して退治するとよいでしょう。しかし、大量発生となるとスプレー式の殺虫剤では追いつきません。室内で大量発生した場合は、専用の虫駆除燻煙剤で退治しましょう。屋外では風に流されて燻煙タイプの殺虫剤は効き目がないため、屋内での大量発生のみ有効です。屋外でも物置など密閉性の高い場所では効き目があります。
ボタニ子
カメムシは越冬する時期に暖かい場所に集まるの。大量発生の年に家に入りこまれたときに使えるね。
ボタ爺
カメムシを発見しても、絶対に掃除機で吸ってはいかんぞ。中でにおいを出すから、臭い掃除機になって買い替えなきゃならなくなるぞ。
駆除方法②フェロモントラップ
カメムシ独特の臭いにおいは、真ん中と後ろの足の付け根にある「臭腺開口部(しゅうせんかいこうぶ)」から噴出されます。じつは、ふだんからすこしずつ放出させており「集合フェロモン」として密に集まるときに使われます。これを逆手にとり、商品化したのがフェロモントラップ駆除剤です。果樹園や畑などの屋外での使用が有効です。
ボタニ子
刺激を受けて、たくさん臭いにおいをだすと「警告フェロモン」になるんだって。危険だからくるなよって意味かしらね。
ボタ爺
カメムシのにおいは毒でな、カメムシを瓶詰にしておくと自分のにおいで死んでしまうそうだ。トランス-2-ヘキセナールという物質だよ。
駆除方法③殺虫灯
カメムシの屋外での大量発生には殺虫灯での退治も有効です。カメムシには、明るい場所へ集まる「正の走光性」があります。自動販売機や街灯にたくさんたかっているのは、光へ集まる習性があるからです。夜行性のため、玄関や店の入り口、扉などの近くに殺虫灯をつけておくと光を目指して集まり、殺虫効果が期待できるでしょう。
カメムシの大発生を予防する方法
予防方法①春に除草する
カメムシは春に繁殖して卵を産み、暖かくなると孵化します。まだ卵のうちに駆除してしまえば、大量発生を防げるでしょう。カメムシは1匹が100個前後の小さい卵を、幼虫がかえったときにエサに困らない場所に産卵します。幼虫のエサは植物です。葉の裏に卵を産みつけるので雑草が生い茂った場所は、なるべく早く刈り取りましょう。
予防方法②必要ないヒノキやスギの伐採
カメムシの好物は、ヒノキやスギの実です。生息地としても皮の裏側に住むこともあります。ヒノキやスギの実を食べて、元気な成虫になります。個人での伐採は難しいですが、不要なものであれば地方自治体と相談して、間引くことも大量発生の予防につながるでしょう。カメムシの被害はその地域全体に及ぶため、なるべく早いうちに手を打つのが得策です。
予防方法③落ち葉をためない
カメムシは成虫のまま冬眠して越冬するため、暖かい場所が必要です。家へ入りこんだり、雨戸の戸袋に集団で固まったりするのは、暖をとるためです。落ち葉は層になると空気を含んで暖かいため、カメムシのかっこうの冬の生息地になります。とくに腐葉土を作っている場合はカメムシに入りこまれないようにシートをかけましょう。
カメムシを家に入れない方法
侵入させない方法①洗濯物に注意
カメムシが洗濯物について室内へ入りこむと、駆除するのに苦労します。洗濯物をよく見て、ついていないのを確認してから取り込みましょう。とくに、正の走光性をもつカメムシは、白い洗濯物が好きです。大きいシーツやワイシャツ、タオルなどは注意してから取り込んでください。大量発生している年は、防虫ネットをかけることをおすすめします。
ボタニ子
1匹や2匹だったら、ガムテープでそっとくっつけて、ふんわりたたんで外のごみ箱に捨ててね。とにかく、刺激しちゃダメ。
ボタ爺
洗濯物は暖かいから日向ぼっこするんだろうな。取り込むときに小さい卵を産みつけられていないか注意するんだぞ。
侵入させない方法②侵入経路を断つ
カメムシは小さい2mm程度のすきまからでも、家に侵入してきます。ドアや扉を開けたときに入ってくることもありますが、網戸のすきま、天井、エアコン、換気扇などからも知らぬまに侵入してきます。カメムシには大きい種類もいますが、薄いので侵入可能です。すきまをパテでうめたり、カメムシ忌避剤を置いたりして思い当たる侵入経路はすべて断ちましょう。
侵入させない方法③ミント系ハーブ
カメムシは、ミント系の香りが苦手です。殺虫剤や忌避剤が使えない場合は、ミントを使うとよいでしょう。ベランダの出入り口や玄関先で多めにミントを育てたり、アロマオイルやハッカ油を水で薄めて、すきまや網戸にまいたりしておくと、侵入の防止になります。ただし、ほんのり香る程度では効かない可能性があります。
ボタニ子
自作する場合は濃いめに作って、毎日スプレーすると効果的らしいわよ。
ボタ爺
カメムシの種類によっては、ミントも平気な種類がいるらしいぞ。あらかじめ調べておくといいの。
カメムシのにおいがついてしまったときの対処法
カメムシのにおいは「親油性」といって、油に溶けやすい成分です。布や手ににおいがついてしまったときは、まず、油を落とす必要があります。油は油で落とせるので、オイルクレンジングやオリーブオイル、アルコールなどでカメムシのにおい成分を落としましょう。あるていど落ちたら、界面活性剤を含んだ台所用洗剤や、石鹸などで洗います。
ボタニ子
洗濯物は残念だけど、もう一回洗濯したほうがいいわね。やっぱり気持ち悪いしね。
ボタ爺
カメムシを発見したときは、びっくりしてしまうものだが、落ち着いて対処するのが大事だの。刺激しないでお引き取り願うのが、一番だよ。
カメムシ大発生を予防して快適ガーデニングライフを
植物を育てている人にとってカメムシは、大切に育てている果実や花を台無しにする天敵です。大量発生させないためにも、普段から卵を産みつけられてないかチェックすることが大切です。ガーデニングをしている方は庭の片隅に、フェロモントラップを仕掛けておくなどの工夫もおすすめします。カメムシのいない、快適なガーデニング生活を送りましょう。
カメムシといえば、臭いにおいが特徴よね。退治したくても、刺激すると臭いから迷惑な虫ね。