ウリハムシとは?
ウリハムシ(ウリバエ)は、名前のとおりきゅうりなどのウリ科の野菜に寄生する害虫です。葉を食害して穴だらけにし、ひどい場合には苗が枯れてしまうこともあります。そんなウリハムシの被害に遭わないための対策や、万が一の場合の駆除方法などをみていきましょう。
基本情報
学名 | Aulacophora femoralis |
科名 | ハムシ科 |
属名 | ウリハムシ属 |
英名 | Cucurbit leaf beetle |
別名 | ウリバエ |
繁殖期 | 春 |
寿命 | 約1年 |
ウリハムシの生態
ウリハムシの被害に遭わないためには、ウリハムシの生態や発生する時期などを把握することが大切です。基本的なことを把握したうえで対策をすることで、より効果的な予防に繋がります。
特徴
ウリハムシは大きさ5~8mm程度で、黄色や茶色をした甲虫です。冬の間は土の中で冬眠し、春になると地上に出て繁殖のためにウリ科の植物の周辺に集まります。5~7月ごろに植物の根元付近に産卵し、その後幼虫は土の中で植物の根っこを食害しながら成長します。地上に這い出てくるのは、8月ごろです。地上に出た後は、野菜の葉を食べてしまいます。
発生時期
ウリハムシが発生しやすいのは、4月~9月ごろです。特に多いのが4~5月と、8~9月ごろです。春は越冬した成虫が発生し、夏~秋にかけてはその年に生まれた成虫が発生するため多くなります。また、5月~7月ごろは孵化した幼虫が土の中で活動し、知らぬ間に根っこを食害されることも多いです。
発生しやすい野菜
ウリハムシはウリ科の野菜を好みます。具体的にはキュウリ、ゴーヤ、メロン、スイカ、かぼちゃ、ズッキーニなどです。特に影響を受けやすいのはスイカやメロンで、状況によっては枯れてしまうことも多いです。ウリ科以外の野菜に付くこともありますが、大半は一時的に逃げてきたものが多く、それほど被害に遭いません。
ボタニ子
ウリハムシの被害
ウリハムシの被害は、成虫の食害が目立ちやすいですが、幼虫によるものもあります。どのような被害に遭うのかを把握しておくことで、万が一被害に遭った場合に速やかに対策をすることが可能になります。
成虫による被害
ウリハムシの成虫は、葉の葉脈を残して穴をあけるように葉を食べます。被害が進むと、葉が葉脈だけ残された網目状になり、最終的には葉が枯れてしまいます。大きな苗であれば、葉が枯れるだけですが、植えたばかりの小さな苗の場合は、苗自体が枯れてしまうことも少なくありません。また、実った果実をかじることもあり、食害痕が残って見た目が悪くなってしまいます。
幼虫による被害
ウリハムシの幼虫は、土の中で野菜の根っこを食べてしまいます。十分に根の張った苗であれば、成長にそれほど影響はありません。しかし、根張りが十分でない苗は、食害されたことにより根っこが機能しなくなり、やがて枯れてしまいます。成虫の被害は目に見えるため、対策や駆除がしやすいですが、幼虫の被害は目に見えません。こまめに観察をして小さな変化を見逃さないことが大切です。
ウリハムシの対策・防除方法
ウリハムシは、作物に近づけないようにすることで、繁殖を防ぎ長期的に防除できます。1つの方法だけでなく複数の方法を組み合わせることでより高い効果を期待できるでしょう。環境に合った方法を取り入れてください。
防虫ネット
苗の防虫ネットで覆えば、物理的に野菜に近づけません。ウリハムシは体長が5~8mm程度のため、それよりも小さな目合いのものを使用してください。トンネルや支柱を立てて苗を囲むように設置し、隙間を作らないよう注意しましょう。しかし成長したメロンやかぼちゃのツルは、広い範囲に伸びるため、防虫ネットでは防ぎにくいです。
反射材
ウリハムシはキラキラした反射光を嫌います。そこでシルバーの反射テープを張ったり、シルバーマルチを張ったりすることで飛来を減らせます。市販の反射テープでなくても、不要なCDやアルミホイル、保温シートなどを再利用して野菜の周りに設置するのも効果的です。しかしどの素材を利用しても、完全に防げる方法ではないため、ほかの方法と併用することをおすすめします。
コンパニオンプランツ
異なる種類の野菜を植えることで、病害虫を抑える効果を期待できるものをコンパニオンプランツといいます。ウリハムシはネギの仲間が放つ香りが苦手です。そこで苗の定植をするときに、ネギやニラを一緒に植えることでウリハムシを遠ざけられます。また一緒に植えると、立枯病や青枯病の予防にも繋がるため一石二鳥です。
ウリハムシの駆除方法
捕殺
確実な駆除方法は、捕殺してしまうことです。虫取り網などを使って捕獲し、駆除しましょう。虫取り網でうまく捕まえられない場合は、捕虫シートを使用する方法もおすすめです。捕虫シートはウリハムシが好む黄色をしたシートに粘着剤が塗ってあります。黄色い色に誘われたウリハムシがシートにくっ付き、そのまま飛べなくなるため捕殺できます。
虫取り上手
捕虫シート
参考価格: 918円
虫取り上手は、支柱などに簡単に設置できる捕虫シートです。害のない粘着剤を使用し、雨に濡れても1カ月ほど効果が持続するため、屋外でも安心して使用できます。使用後は燃えるごみとして捨てられるのも嬉しいポイントです。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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容量 | 20枚 |
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農薬
ウリハムシの数が多い場合は、捕殺するのも難しくなってきます。その場合は薬剤を散布して駆除しましょう。また、幼虫は被害がわかりにくいため、土の中に混ぜる農薬が効果的です。繁殖して大量発生しないよう、早めに散布することが被害を最小限に抑えるコツです。
マラソン乳剤
①マラソン乳剤
参考価格: 453円
マラソン乳剤は薬害が少なく、初心者の方でも使いやすい薬剤です。野菜の種類によって1,000~2,000倍に薄めてスプレーで散布して使用します。ウリハムシ以外にもアブラムシやアオムシ、ハダニなどさまざまな害虫に効果があるため、一本常備しておくと何かと役に立ちます。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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種類 | 乳剤 |
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容量 | 100ml |
ベニカベジフルスプレー
ベニカベジフルスプレー
参考価格: 759円
ベニカベジフルスプレーは、家庭菜園用にあらかじめ希釈された薬剤です。面倒な希釈の必要がなく、農薬の知識が少ない方でも使用できます。また栽培している野菜が少なく、希釈する薬剤では持て余してしまう場合におすすめです。適用作物が多く、野菜以外にも果樹や花にも使用できます。
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
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種類 | スプレー剤 |
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容量 | 1000ml |
ダイアジノン粒剤3
ダイアジノン粒剤3
参考価格: 809円
ダイアジノン粒剤3は、土の中に混ぜてウリハムシの幼虫を駆除する農薬です。播種時か定植時に根元に混ぜると約1カ月効果が持続します。ウリハムシだけでなく、ネキリムシやコガネムシの幼虫など根を食害する害虫全般に効果があります。土の中の幼虫はなかなか見つけられないため、予め散布するのがおすすめです。
おすすめ度 | ★★★★☆ |
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種類 | 粒剤 |
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容量 | 400g |
手作り忌避剤
無農薬栽培や有機栽培をする場合は、薬剤を使用できません。そこで、タバスコ入りの忌避剤を手作りして散布することで、タバスコのにおいを嫌がるウリハムシを防除できます。数日は葉ににおいが残るため、すぐには戻ってきません。食品を使用したもので、収穫した野菜にも影響がなく安心して食べられるのがポイントです。
作り方と使用方法
- 水500mlとタバスコ50mlをよく混ぜ合わせる
- ガーゼを使ってタバスコのカスを濾して取り除く
- スプレーボトルに入れて2~3日に1回野菜に吹きかける
- 雨が降った場合は雨上がりにもスプレーする
ウリハムシ対策をして家庭菜園を楽しもう
きゅうりやメロンなどの夏野菜の栽培に、ウリハムシは大敵です。対策をしないと、育てている野菜が甚大な被害を受けることもあります。対策をするとともに普段からこまめに観察をし、万が一発生してしまった場合は早めに駆除するが大切です。対策、防除をしっかりとして、ウリハムシのいない家庭菜園を楽しみましょう。
どんな野菜につくのか、いつ発生するのか、ウリハムシについて知っておくのが家庭菜園を成功させる第一歩ね!