らっきょうの食べ過ぎは体によくない?
らっきょうは一度にたくさん食べ過ぎると、健康を害することがあるので注意しましょう。原因は健康効果のある成分の、硫化アリル(アリシン)と、フルクタンです。栄養もあり、血液をサラサラにしたり、血糖値の急な上昇を抑えたりするなどの働きをします。しかし、それだけ効果がはっきりしている食物を、一度にたくさん食べ過ぎると、害が出ることもあるので注意が必要です。
ボタニ子
「過ぎたるは猶及ばざるが如し(すぎたるはおよばざるがごとし)」ってことね。健康によくても食べ過ぎには注意しましょうね。
ボタ爺
せっかくよい効能があって健康によくても、食べ過ぎて害になってしまっては、もったいないからの。
基本情報
学名 | allium chinese |
科属 | キジカクシ目ユリ科(ヒガンバナ科)ネギ属 |
形態 | 多年性野菜 |
原産国 | 中国 |
開花時期 | 11月頃 |
花色 | 薄紫 |
収穫期 | 6月頃 |
別名 | オオニラ、サトニラ |
らっきょうの食べ過ぎによる症状
らっきょうの食べ過ぎ①胃痛
らっきょうを食べ過ぎると胃痛が起こることがあります。らっきょうに含まれる辛み成分、硫化アリルは、殺菌作用の強い成分です。らっきょうを大量に摂取することにより、胃壁が刺激され、胃の弱い方や体調不良の方は、胃の粘膜が荒れて胃痛につながります。らっきょうの茎にも同じ成分が含まれるので、柔らかく煮ても大量に食べるのはおすすめできません。
ボタニ子
らっきょうって栄養があるイメージだけど、胃痛が起こったりするのね。
ボタ爺
栄養があるからって、どれだけ食べてもいいなんてことはないの。
らっきょうの食べ過ぎ②胸焼け
らっきょうは胃にたどり着く前に、口内でよくかんで、喉から食道を通ります。刺激の強い硫化アリルが、頻繁に喉や食道を通過すると、そのたびに強い殺菌作用にさらされることになります。胸焼けがする、喉がひりひりするなどの症状があるときは、らっきょうの食べ過ぎを疑ってみてもよいでしょう。
らっきょうの食べ過ぎ③下痢
らっきょうには、食物繊維のフルクタンが多く含まれるので、大量に食べると下痢を起こす可能性があります。本来、適量であれば整腸作用で便秘の改善をのぞめる、水溶性の食物繊維です。しかし、量が多いと水分を多く含んで腸内を早く移動し、便通がよくなり過ぎて下痢になったり、腹痛を起こしたりすることもあります。
らっきょうの食べ過ぎ④鼻血
らっきょうに含まれる硫化アリルは、血液をサラサラにする成分です。らっきょうを食べ過ぎると、鼻血が出たり、口内で出血したりすることがあります。鼻の中や歯茎は粘膜が薄いので出血しやすいのです。硫化アリルは血液の流れをスムースにしますが、血液が固まりづらくなり、鼻血や口内の出血は止まりにくくなります。貧血を起こす人もいます。
ボタニ子
ピーナッツ食べ過ぎると鼻血が出るって聞いたことがあるけど、らっきょうも?
ボタ爺
ピーナッツと鼻血は因果関係はないよ。らっきょうも食べ過ぎたうえに鼻をいじって鼻血が出ると、止まりづらいということだの。
らっきょうの食べ過ぎ⑤便秘
らっきょうを長期にわたり大量に食べ過ぎると、便秘になることもあります。水溶性食物繊維のフルクタンを含んでいるので、下痢はともかく、便秘にはなりにくいイメージです。しかし、強い殺菌作用のある硫化アリルを長期間取り続けることで、腸内の善玉菌まで殺菌して、減らしてしまうことがあります。善玉菌が減ることにより、腸内環境が崩れて便通が悪くなります。
らっきょうの食べ過ぎ⑥おなら・ガス
らっきょうの匂い成分でもある硫化アリルは、ガスやおならが多くなったり、臭くなったりする原因物質です。らっきょうには、食物繊維がゴボウの3倍~4倍、キャベツの10倍以上もあります。本来、食物繊維は大腸の中で消化されるときにおならのもとのガスを発生します。らっきょうを食べ過ぎるとおならやガスが多くなるのは、硫化アリルが硫化水素や炭酸ガス、メタンガスを出すからです。
らっきょうの食べ過ぎ⑦口臭
らっきょうを食べ過ぎると口臭の原因になる理由は2つあります。1つ目はらっきょうを食べたあと、少しでも口の中にらっきょうのかけらが残っていると、そこから口臭につながるということです。大量に食べればなおさらでしょう。2つ目は硫化アリルは体内で消化されることによりアリルメルカプタンという臭い成分に分解され、肺を通じて呼気に混じるからです。
ボタニ子
らっきょう食べ過ぎると、体臭が濃くなるって話も聞いたことあるけど?
ボタ爺
諸説あるようだがの、あんまり長期間食べ過ぎると汗に臭い成分が出るって話もあるぞ。まあ、人間は食べたものでできているからな。
らっきょうの効能
らっきょうは食べ過ぎさえ注意すれば、健康によい効能がある食べ物です。血液をサラサラにして高血圧の予防や、胃液の分泌を促して食欲を増進させる効能があります。また、辛み成分もあるので体温をあげ、冷え性の解消に働きかけたり、ビタミンB1と一緒に摂ると、糖質が体脂肪に変換されるのを阻止したりします。
ボタニ子
ビタミンB1を多く含む豚と、らっきょうは相性ぴったり。ポークカレーにらっきょうは、体脂肪増加を阻止する効能のあるメニューよ。
ボタ爺
ほかにも、食べ方によってはダイエット効果や、消化を助ける効能があるぞ。抗酸化作用やアンチエイジングなんて効能もあるな。
効能①ストレスをやわらげる
らっきょうに含まれるビタミンB5ともいう、パントテン酸の働きにより、ストレス軽減に役立ちます。抗ストレスホルモンは副腎皮質から分泌されますが、それを促す働きをするのが特徴です。また、自律神経が正常に働くのを助けるため、自律神経失調症になるのを予防する効果が期待できます。ただし、1日食べたからすぐにストレスに強くなるというわけではありません。
ボタニ子
毎日、こつこつ、少しずつっていうのがコツかもしれないわね。
効能②余分な塩分を出す
らっきょうに含まれるカリウムは、人間の体の中にも存在し、ナトリウム(塩分)と上手にバランスをとって水分量を調整しています。しかし、塩分は多すぎると血圧の上昇をまねくことがあります。カリウムは余計な塩分を体の外へ、尿として排出するのが特徴です。利尿作用により塩分のとりすぎで体がむくんで、水分過多になっているときにも役立ちます。
らっきょうを食べるときの注意
らっきょうは食べ過ぎに注意といっても、何粒からが食べ過ぎかというと、個人差や体調、粒の大きさによって違います。おおよその数ですが、大粒なら2個~3個、小粒なら4個~6個ていどが適量でしょう。なるべく空腹時はさけ、食事中や食後に食べると、胃への負担が少なくなります。食べる前に牛乳を飲むと、胃をガードしてくれ臭いも緩和してくれます。りんごでもよいでしょう。
妊娠中の方
らっきょうは辛み成分が体温をあげ、冷え性の予防に役立ちます。妊娠中の方も冷えには注意が必要ですが、利尿作用の強い食べ物は避けたほうが無難でしょう。らっきょうには利尿を促すカリウムが含まれています。むくみがある妊婦の方もいるかもしれませんが、余分に水分を排出しすぎるとかえって体を冷やすことになるので、妊娠中のらっきょうはおすすめできません。
らっきょうは食べ過ぎなければ健康食品
らっきょうを食べ過ぎると、さまざまな害がありますが、それだけ強い効能をもった食物だということです。もともとらっきょうは「畑の薬」という名前があるほど、健康効果が望める栄養のある植物です。食べ過ぎにさえ注意をすればよいので、らっきょうと上手につきあって、たくさんある効能の恩恵を受けましょう。
出典:写真AC