パースニップとは
パースニップは、流通量が少ないのでスーパーではなかなかお目にかかれない珍しい野菜です。しかし、パースニップが日本に伝えられたのは明治時代と意外にも古く、その頃は別名で「サトウニンジン」、「アメリカボウフウ」、「白ニンジン」と呼ばれていました。見た目の特徴が白いニンジンなので普通のニンジンと同じように見えますが、その特徴や育て方、味や栄養成分など違う点もたくさんあります。
基本情報
学名 | Pastinaca sativa |
科名 | セリ科 |
和名 | アメリカボウフウ |
別名 | シロニンジン、アメリカボウフウ、サトウニンジン |
形態 | 多年生植物(二年生植物) |
原産地 | ヨーロッパ |
収穫時期 | 暖地・中間地は9月中旬~12月上旬、寒冷地は9月上旬~11月下旬 |
パースニップは日本ではあまり見かけない野菜ですが、原産地であるヨーロッパでは冬の人気定番野菜として市場に並んでいます。ニンジンと同じセリ科の仲間ですが、香り高く少し苦みがあることから、パセリやセロリのほうが近いといえます。収穫時期は9月~12月までの間ですが、寒さに強いので冬越えさせることも可能ですし、霜が降りた後に収穫すると糖度が増して最高の味になります。
名前の由来
パースニップは学名がPastinaca sativa(パスティナカ・サティワ)といいます。パスティナカという部分には諸説あり、ラテン語でpastusが「食料」という意味で、パースニップの根が食用になることをさしていたり、pastinumが「鍬」という意味で、根のかたちが似ていたりすることなどに由来しています。ちなみにサティワは「栽培」という意味があります。
パースニップの特徴
パースニップの特徴は、可食部分である根はニンジンより大きくなることが多く幅6~10cm、長さ約30cmほどになります。同じく見た目がそっくりなルートパセリと比べても、パースニップの方が苦みや匂いは少なく、セロリのような香りで食べやすいです。ちなみにルートパセリは幅3~5cmで長さも15~20cmと小さめなので、大きさで見分けることが可能です。
パースニップとニンジンとの違い
外見でいうとオレンジか白いかの違いに見えますが、実はいくつか違いがあります。その1つが、ニンジンは葉っぱから根っこまで食べられることです。しかし、パースニップは葉と茎の汁にフラノクマリンという有機化合物を含むので光線過敏を引き起こす可能性があり、過食部分は根の部分のみという特徴があることです。他にも花や味などの特徴の違いを見ていきましょう。
花の違い
ニンジンの花は白色で、小さな花のかたまりが丸くなったものが、いくつも集まって全体がドーム状になります。見た目は白い細かいレースようでかわいらしいです。パースニップの花の特徴は、色が黄色で1つのかたまりの花数は少なく、全体で見てもニンジンのように密集していないのでスカスカした見た目です。しかし、こちらも上から見ると1つの花がはっきりわかるのでかわいいです。
育ち方の違い
種まき時期と発芽
パースニップは冬越しさせることで1番美味しい状態で収穫できるので、春先に種まきはしません。対してニンジンは、冬もトンネル栽培すれば種まきできるので、年中栽培することが可能です。発芽については、ニンジンの場合、発芽さえすれば半分は成功したといわれるほど難しいのですが、パースニップはニンジンに比べると発芽率は少し高めです。ただ育て方は簡単ではありません。
栽培日数
栽培日数は、ニンジンが70日前後に対して、パースニップは110日前後と1ヵ月半も長くなります。収穫時期もニンジンは年中できますが、パースニップは霜にあたって冬越えした春先が1番美味しくて旬になります。冬越えにむけて種まきされることが多いようです。
味の違い
パースニップは、ニンジンに比べて香り高く加熱前は少しの苦みがあります。ただ、ショ糖が多く含まれるため加熱するとニンジンとは比べ物にならないほど甘さが増し、食感もイモのようなホクホク食感になります。火のとおりもニンジンより早く、煮崩れしにくいことからヨーロッパではニンジンより人気が高いです。料理では、メインにもなるのでアレンジレシピもたくさんあります。