菊芋ってどんな植物?
菊芋は健康野菜として注目されている根菜です。名前に「芋」とついていますが、生でも食べられるところがじゃがいもやさつまいもとの大きな違いです。菊芋は、生で食べるとほんのり甘味のある独特の風味とサクサクした食感を楽しめ、サラダなどにおすすめです。もちろん、蒸したり焼いたり火を通しても美味しく、さらに保存性に優れているので、台所に置いておくと便利な野菜です。
基本情報
菊芋は北米原産のキク科ヒマワリ属の植物です。秋にひまわりを小さくしたような黄色く可愛らしい花を咲かせることから「太陽の芋」「太陽の花」と呼ばれることもあります。日本には江戸時代に伝わり当初は主に家畜の餌として利用されていたそうです。しかし近年では、その栄養成分の豊富さから、スーパーフードとして脚光を浴び重宝されています。
生産者も驚く生命力
菊芋はとても生命力のある植物で、地下茎を伸ばしながらどんどん増えていきます。少しでも根が残っているとそこから新しい根や芽を出し成長するので、一度地に植えると絶やすのが難しいといわれるほどです。繁殖力だけでなく栄養吸収力も強いので、農家の間ではよほど植える場所に気をつけたほうがいい植物と認識されているそうです。
菊芋に含まれる栄養素と効果・効能
生命力の強い菊芋には、私たち人間にとって健康や美容によい栄養素がたくさん含まれています。代表的なのはイヌリンやカリウムで、イヌリンには血糖値の上昇を抑える、腸内環境を整えるはたらきがあります。また、カリウムには体内の塩分を排出するはたらきがあり、食事に取り入れれば、まさに医食同源を実感できる野菜でしょう。ただし、菊芋は毒性を持つという情報もあるようです。
菊芋に毒性や副作用はある?
菊芋は花、茎、根どの部分にも毒性はありません。主な可食部である根には芽が出ていることもありますが、この芽にも毒性はなく、丸ごと食べても問題ありません。ただし、菊芋は栄養が豊富に含まれているだけに、食べすぎてしまうと逆に不調になることがあります。また、体質に合わない人、食べてはいけない人が口にすると、副作用が起こることがあるので気をつけましょう。
菊芋を食べてはいけない人もいる?危険な点は?
毒性がないとはいえ、菊芋は栄養成分が豊富な分、過剰に摂取しすぎると逆に不調になってしまうことのある植物です。とくに、菊芋を初めて食べる際は、ご自身の体調や体質を確認しながら少しずつ取り入れることをおすすめします。では、菊芋を食べてはいけない人は具体的にどんな人か、詳しくみていきましょう。
危険な点①キク科のアレルギーを持つ人は注意
菊芋はキク科の植物なので、キク科のアレルギーを持つ人は食べてはいけません。キク科のアレルギー症状は、肌がかゆくなる、湿疹が出るなどの皮膚症状、鼻水が出る、口の中が腫れる、咳が出るなどの呼吸器症状、下痢や嘔吐などの消化器症状があります。同じキク科の植物として、よもぎやブタクサ、春菊、レタスなどがあるので、これらの植物で不調になるなど思い当たる人は、注意しましょう。
危険な点②イヌリンのアレルギーがある人は注意
菊芋に多く含まれるイヌリンは糖尿病予防に効果的な成分です。ですが、イヌリンのアレルギーを持つ人は菊芋を食べてはいけません。イヌリンのアレルギー症状は、皮膚のかゆみや蕁麻疹などの皮膚症状、下痢や嘔吐などの消化器症状、咳や喉の痛みなどの呼吸器症状、アナフィラキシーショックなどです。とくにアナフィラキシーショックは重篤な状況になるケースもあるので、違和感を感じたらすぐに食べるのをストップしてください。また、気になる方は専門医の診断を仰ぎましょう。
危険な点③食べ過ぎると胃腸に負担がかかることがある
菊芋に含まれるイヌリンは水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維には便をやわらかくして体外に出しやすくするはたらきがあり便秘対策に最適です。ただし、摂取しすぎると胃腸に負担がかかりすぎることがあります。とくに、胃腸が弱い人、消化機能が低下している人には効果が強すぎて、逆に下痢を起こしてしまうこともあるので、注意が必要です。
危険な点④おならが出過ぎることがある
おならの主な原因のひとつは、食べ物が腸内で腸内細菌により発酵された時にガスが出ることです。イヌリンは体内でゲル状になり、体内にあるほかの食べたものを巻き込みながら大腸まで到達する性質を持っています。そのため、イヌリンを摂取すると腸内発酵が活発になり、ガスがたくさん排出されおならが発生します。菊芋を食べておならが出るのは体にとっては悪いことではありませんが、外出時など気になる場合は食べるのを控えましょう。
危険な点⑤トイレが近くなることがある
菊芋にはカリウムも多く含まれています。カリウムは体内の塩分を尿として排泄する役割を持つ栄養素で、高血圧の抑制やむくみ防止など嬉しい効果を持っています。ただし、摂り過ぎるとトイレが近くなることがあるので気をつけましょう。また、腎臓機能が低下している人、カリウム摂取を制限されている人は、専門医に相談してから菊芋を食べてください。
菊芋を調理する際のポイント
菊芋に含まれている体に嬉しい栄養成分を存分に取り入れましょう。菊芋は、生で食べるとサクサク、加熱するとホクホクの食感を楽しめるので、さまざまな調理方法や食べ方を試して、美味しく体によい菊芋レシピを食卓に取り入れてみてください。
ボタニ子
菊芋は11〜12月に収穫期を迎えるそうよ。その頃に農産物直売所で探してみようかな。
ボタ爺
ゲットした菊芋は、土を洗わずに冷暗所で保存すると長持ちするよ。
ポイント①アクを抜きしすぎない
菊芋をカットしてしばらく置いておくと、切り口が少し茶色っぽくなることがあります。菊芋に含まれているポリフェノールには空気に触れると変色する性質があるからです。変色しても体に害はありませんが、色が気になる場合は水にさらすと変色を防げます。しかし、せっかくのポリフェノールと水溶性食物繊維イヌリンが水に流れ出てしまうので、栄養成分を丸ごと取り入れるならアク抜きしないで調理しましょう。
ボタニ子
変色が気になる人は、ピクルスなど酢を活用した食べ方だと色止め効果できておすすめよ。
ポイント②皮ごと食べるとより効率よく栄養を摂取できる
菊芋の皮には、食物繊維とポリフェノールが含まれています。菊芋の皮はとても薄いので、丁寧に土を落とせば、皮をむかずに食べても美味しさが損なわれることはありません。なお、表面がデコボコしている菊芋の土を落とす時は、金属たわしなどで軽くこするのがおすすめです。こすり過ぎると皮まで剥けてしまうので気をつけてください。
ボタニ子
皮の食感が気になる人は、皮ごとの時は油で揚げたチップスやきんぴらなどの食べ方をするといいわ。
ポイント③生で食べるとよりたくさん栄養を摂取できる
菊芋に含まれている水溶性食物繊維イヌリンやビタミンC、カリウムなどの栄養素は、火を通すと一部失われてしまうことがあります。なにより、菊芋を生で食べることでほんのりとした甘みとサクサク食感という、ほかの根菜にはない魅力を感じられます。ゴツゴツした見た目、芋という名前からは想像できないほどの美味しさを味わい、たっぷり栄養素を摂取できる食べ方は、断然生食です。
ボタニ子
ザクザクとカットしてサラダにしたり、醤油漬けや味噌漬けなどお漬物も生での食べ方ね。
菊芋の危険な点を知って上手に食べよう
菊芋はイヌリンやカリウム、ビタミン類を豊富に含む根菜です。しかも、生食でも火を通して食べても美味しいところも大きな魅力でしょう。初めて食べてその美味しさに驚く人も多く、つい食べ過ぎてしまうこともあるようです。ただし、菊芋は食べ過ぎると逆に体が不調になってしまうことがあります。菊芋には毒性はありませんが副作用の出るケースがあるので、食べる前に食べ方や効果・効能、体質による副作用などを確認しましょう。
出典:写真AC