菊芋を栽培する上での注意点
地植えでもプランターでも菊芋を栽培する上でいくつか注意点があります。この注意点は収穫量や菊芋の生育などにも影響を及ぼすことがあるので紹介します。
他の植物と一緒に栽培しない
菊芋は生命力の強い植物です。そのため、他の植物や野菜などと一緒に植えるのは避ける方が無難です。なぜならば、菊芋は他の植物の肥料までも吸収してしまうからです。そのため、育て方で重要なポイントは他の植物と一緒に栽培しないことです。一緒に植えている植物や野菜が育たたなくなってしまいます。
同じ場所では栽培しない
菊芋には連作障害があります。菊芋は土の中の栄養素も吸収してしまうため、翌年も同じ場所で育ててしまうと収穫する量が落ちます。そのため、続けて同じ場所で栽培しないことがポイントです。
連作障害とは?
連作というのは同じ場所で同じ植物を育てることをいいます。連作障害というのは、同じ場所で同じ植物を育てたことによって次第に生育不良がでる障害のことです。
どんな障害があるのか
収穫の量が減る、植物がうまく育たないことなどがあげられます。同じ植物を同じ場所で育てることにより、土壌が痩せた土になったり、特定のウイルスなどが増えてしまったりすることがあります。また、植物によっては他の植物の育成を抑制する物質を出すものがあります。この物質の濃度が高まると、自身も影響を受けるようになってしまいます。
連作障害を防ぐには
同じ場所では育てない、コンパニオンプランツを一緒に植える、同じ場所で育てるがその植物の栽培が終わったあとは違う植物を育てるなどの対策があります。プランター栽培での場合は、土を変える、使った土を天日干しして殺菌するなどの対策が取られています。
保存しない菊芋はすべて収穫する
収穫しなかった、忘れていたなどで菊芋をそのまま土の中に入れたままにしておくと芽が出てきて野生化してしまいます。気づいたらお庭が菊芋だらけになっていたということもあります。そのため、収穫後菊芋を放置しないこともポイントです。一度雑草化してしまったら、生命力が高い植物なので駆除するのに手間がかかります。
菊芋は要注意外来生物
菊芋は北アメリカ原産で日本には生育していなかった外来種の植物です。本来、野生ではなかった植物ですので野生化させないように気を付けましょう。現在、菊芋は環境省から要注意外来生物の指定を受けています。
菊芋の保存方法
菊芋は一般的に日持ちしない野菜として知られています。本来、芋であれば日持ちするのですが菊芋は芋の仲間ではありません。そのため、芋の仲間と違って長持ちしないのです。ここではどのように保存すればいいのか紹介します。
土を付けたまま保存
収穫した菊芋は土をつけたまま、冷蔵庫で保存します。水で洗い流してしまうと湿気や乾燥に充てられてカビたり干からびたりするので日持ちしなくなるので注意しましょう。菊芋は最適温度の幅が狭いので、低すぎると低温障害を起こし、高すぎると発芽してしまいます。決して芋と名前がつくからといって芋類と同じような常温での保存方法はしないでください。
多くの芋類は常温で土をつけたまま保存することが多いです。ですが、菊芋は芋の仲間ではありません。常温ではなく冷蔵庫での保存となるので注意が必要です。
土の中で保存
翌年も、収穫した菊芋を種芋として利用したい場合には土の中で保存する方法が適しています。菊芋は生命力が強いのでそのまま土に入れておいても、翌年芽を出します。そのため、連作障害があるので収穫したのち育てていたところとは違う場所に埋めて土の中で保存してください。地面が凍ってしまうような寒い地域では、土を入れたプランターに菊芋を埋めて屋内で保存するのがベストです。
土の中で保存する場合は、どこに保存しているのか覚えておきましょう!覚えていないと菊芋が野生化してしまい、管理が大変になります!
乾燥させて保存
菊芋は乾燥させても保存ができます。ひと手間必要ですが長期にわたっての保存が可能です。方法は、皮をむいて細かく刻んだのを水洗いし、天日干しにします。乾燥したあとは暗い場所で保存します。この方法で保存した菊芋は刻んだりしてしまうので種芋として利用はできないですが、お茶としての利用が可能です。
冷凍させて保存
冷凍での保存も種芋として利用できなくなりますが、長期間の保存ができます。菊芋の皮をむいて、そのまま冷凍庫の中で冷凍するだけです。生で食べる方法に向かないので、すぐに菊芋を食べることができる場合はこの保存は避けた方がいいでしょう。
菊芋ってどんな植物?
さて、菊芋を栽培するにあたり菊芋のことを知らなければなりません。菊芋とは、いったいどんな植物なのでしょうか。ここでは菊芋の特徴などを紹介します。
基本情報
学名 | Helianthus tuberosus |
分類 | キク科ヒマワリ属の多年草 |
分布 | アメリカ、ヨーロッパ、アジア、日本 |
原産地 | 北アメリカ |
花期 | 9月~10月 |
菊芋の特徴
菊芋は、キクのような黄色い花を咲かせるのが特徴です。生命力が非常に強く、大きく育ちます。食べる部分は根ではなく、「塊茎」と呼ばれる茎の部分です。日本では江戸時代末期に海外から飼料用としてやってきましたが、その後第二次世界大戦頃に野生化し、全国で野生化が確認されています。菊芋は芋をつけることからジャガイモやサトイモなどの芋の仲間と思われがちですが、芋の仲間ではなくゴボウの仲間です。
名前の由来
菊芋の名前の由来は花と塊茎に由来します。菊芋はキクのような黄色の花を咲かせます。と同時に塊茎に芋ができます。そのことから、菊のような花を咲かせ、芋をつけることから「キクイモ」と名づけられました。
菊芋の栄養素
菊芋には非常に高い栄養素が含まれています。菊芋の主成分は、血糖値を下げると言われている多糖類のイヌリンという水溶性食物繊維が含まれていることがわかっています。そのことから、菊芋は近年健康食品としての需要が高まっています。イヌリンの他には、アミノ酸などの成分が菊芋には含まれています。
イヌリンとは?
イヌリンとはノンカロリーの糖質なので血糖値があがりません。そのため、体脂肪も増えません。それ以外にも腸をきれいにし、消化作用をよくするという効果もあります。悪玉菌が減り善玉菌が増えることで注目され、イヌリンは天然ノインシュリンとも呼ばれています。
まとめ
菊芋は、栽培は難しくありません。栽培は難しくないですが、保存は少々難しいです。土から出してしまった菊芋はひと手間かけないと長期保存ができません。もし翌年までの保存が難しいと感じたら、全ての菊芋を収穫して翌年は新しく苗を購入するという手段もあります。多くの量の菊芋は収穫はできませんが、プランターでも育てることができるのでぜひ、チャレンジしてみてくださいね!
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出典:写真AC