アブラハム・ダービーとは
アブラハム・ダービーは、イングリッシュローズの中でも現代バラを主体に掛け合わせて作られた珍しい種類のバラです。気候や樹齢によって変化するアプリコットピンクの大ぶりな花が特徴で、バラの中では丈夫で育てやすい品種であり、バラ栽培初心者の方にも人気があります。花壇や造園、コンテナローズ、切り花としてもおすすめです。
ボタニ子
基本情報
学名 | rosa'Abraham Darby' |
科名 | バラ科 |
属名 | バラ属 |
原産地 | イギリス |
樹高 | 約1.5m~1.8m |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 強い |
アブラハム・ダービーの歴史
1985年、アブラハム・ダービーはイギリスの有名なバラブリーダー「デビッドオースティン」によって作出されました。花姿の優美さは世界中の人を虜にし、1991年に「クラウンプリンセスマルガレータ」、1992年に「ゴールデンセレブレーション」、1995年に「パットオースチン」、2001年に「マリアンヌ」の交配に使用されました。
アブラハムダービーの特徴
特徴①花色
アブラハム・ダービーの花は、基本的には柔らかなアプリコットピンク色ですが、外側の花びらの色合いは環境や年月によって変化するのが特徴です。暖かい環境下では淡い黄色に、冷涼な環境下では濃い明るめのピンク色になります。初めは全体的に濃いめの色をしていますが、成熟するにつれて徐々に淡い色へ移ろっていきます。
特徴②咲き方
アブラハム・ダービーは、最大70枚の花びらを持つ大輪な花を、初めはカップ咲きに咲かせます。咲き進んでいくうちに、次第にロゼット咲きに変わり、見る人の目を楽しませてくれます。たくさんの花びらがフリルのように花の中心部に集まって咲く姿は圧巻です。花つきがよく、早くて5月ごろ~長くて12月ごろまで次々に花を咲かせます。
カップ咲き、ロゼット咲きとはどんな咲き方ですか?
カップ咲きとは、花びらが内側に向かってゆるくカーブし、花全体を横から見るとカップのような形になる咲き方のことです。ロゼット咲きとは、花芯から花びらが放射状に伸びる咲き方のことで、内側から外側へと花びらが大きくなり、花全体を横から見ると平たい形になるのが特徴です。
特徴③香り
アブラハム・ダービーの香りは、ムスクのような甘くて清潔感のあるフルーティーさが特徴的です。花が開くとすぐに気がつくほど、香りは強く広がります。開花時期が長いため、庭に植えておくと長く香りが楽しめるのも魅力のひとつです。
アブラハム・ダービーの育て方
育て方①栽培環境
アブラハム・ダービーは、強風に当たらない風通しと日当たりのよい環境を好みます。地植えの場合は、根や茎を絡ませないためにも、周りに樹木がない場所に植えましょう。ほかのバラよりは耐陰性に優れていますが、花つきや成長をよくするには、1日4時間以上日に当たるところで管理する必要があります。
育て方②用土
アブラハム・ダービーを地植えする場合は、掘り上げた土の水はけがよければ、そのまま植えこんで構いません。水はけが悪いようであれば、土と同量の軽石やパーライトを混ぜ込みましょう。鉢植えの場合は、市販のバラ用の培養土を使用するか、赤玉土5:腐葉土5の割合で混ぜて準備してください。
育て方③肥料
元肥
アブラハム・ダービーは肥料を好む植物のため、植え付けるときは元肥をしっかりと施しましょう。地植えの場合は、掘り起こした土に完熟堆肥や有機肥料を、植える場所の深さ50cmまで養分が行き渡るように混ぜ込んでください。鉢植えの場合は、肥料入りの培養土を使うか、土作りの段階で腐葉土を混ぜ込んでおけば十分です。
追肥
アブラハム・ダービーは開花期間が長いため、成長期である6月~9月にかけて追肥が必要です。1週間に1回を目安に即効性の液体肥料を与えましょう。地植えの場合は、12月~1月に来シーズンに向けた追肥を与えておくと成長がスムーズになります。株元から30cm離れた場所に穴を掘り、掘り上げた土に粒状肥料をよく混ぜて戻してください。
お礼肥
アブラハム・ダービーの花が咲き終わったタイミングで、お礼肥を与えてください。鉢植えの場合は10月~1月にかけて、追肥と同様に液体肥料を施しましょう。庭植えの場合は、10月~11月にかけて、株元から30cm離れた位置に適量の粒状肥料をばらまいてください。
寒肥
2月~3月ごろに、新芽の成長を促すために寒肥を与えましょう。鉢植えの場合は7日~10日に1回、液体肥料を施してください。地植えの場合は、適量の粒状肥料を株元にばらまくか、液体肥料を与えましょう。
育て方④水やり
アブラハム・ダービーは湿度を嫌います。気温が高い日中に水やりすると蒸れや病気の原因になるため、午前中の涼しい時間に水やりしましょう。地植えであれば様子を見ながら4~5日に1回、鉢植えであれば土表面が乾いたタイミングでたっぷり水を与えてください。湿度が高すぎるのはよくありませんが、水不足は成長の妨げになるため注意が必要です。
アブラハム・ダービーの剪定方法
夏の剪定
アブラハムダービーは剪定から開花までに50日ほど必要なので、開花適期である10月下旬~11月にまにあうように、9月中には夏剪定を終わらせましょう。比較的細い枝にも花を咲かせる品種なため、株全体の高さが3/4ほどになるように切り戻してください。枯れ枝やかさばる枝も、夏剪定時に切り落としておきましょう。
冬の剪定
アブラハム・ダービーには、来季の成長を促すためにも、冬剪定が欠かせません。まずは葉を全て取り除いてください。次に細くて弱々しい枝を切り落とします。最後に全体の高さが1/2ほどになるように切り戻して完了です。枝を切り落とす際は、芽の上5mm~1cmのところを目安にしましょう。
アブラハム・ダービーの管理方法
管理方法①病気対策
アブラハム・ダービーは耐病性に優れた植物で、特別な病気対策は必要ありません。気をつけるべき病気としては「うどんこ病」「黒星病」などが挙げられます。いずれも湿気が原因になる場合が多いです。通気性が悪いときや雨続きで泥はねが気になるときは、枯れ葉や込み入った枝を切り落としたり、株元をマルチングしたりして対応してください。
管理方法②害虫対策
アブラハム・ダービーにつきやすい害虫には、「アブラムシ」「カイガラムシ」「ハダニ」「ゴマダラカミキリ」などが挙げられます。いずれも増えやすく、花が枯れたり株が弱ったりする原因になるため、こまめに観察し、見つけ次第すぐに捕殺して被害拡大を抑えましょう。
管理方法③夏越し
アブラハムダービーは耐暑性に優れており、基本的には問題なく夏越しできます。ただし、高温多湿状態や強い日差しが続くと、株が弱るため注意しましょう。鉢植えの場合は、季節によって置き場所を変えて対応してください。地植えの場合は、植え付けの時点で、適した環境かどうかをしっかりと見極めましょう。
管理方法④冬越し
アブラハム・ダービーは-20℃まで耐えられ、冬越しはそれほど難しくありません。ただし、幼苗や根の張りが十分でない株の場合は、寒さに耐えられず枯れてしまうことがあるため気をつけましょう。鉢植えなら室内に移動させ、地植えなら株元をマルチングするなどして対応してください。
アブラハム・ダービーを育ててみよう!
アブラハム・ダービーは、華やかで香りのよい魅力的なバラです。バラの中では比較的丈夫な品種で、バラ栽培初心者の人でも安心して育てられます。アブラハム・ダービーの苗が手に入ったら、ぜひ庭いっぱいにひろがる甘い香りと、色の変わる不思議な花の様子を楽しんでみてくださいね。
交配元のバラは、赤ピンク色の花びらを持つ「アロハ」と黄色の花びらが特徴の「イエロークッション」だよ!