ノイバラ(野薔薇)とは?
シューベルトの作曲で親しまれているノイバラ(野薔薇)は、沖縄県以外で日本や朝鮮半島などに自生する野生のバラです。古くは「うまら」と呼ばれ万葉集にも歌われていて、日本人に愛されてきました。ノイバラ(野薔薇)は一季咲きのつる性のバラで、小ぶりの白い一重の花を咲かせます。
野性のノイバラの耐寒性や花を多く咲かせる性質は、園芸用のバラの育て方に使われてきました。バラの台木として使う方法です。しかし、近年バラとノイバラの交配からいろいろな品種が作られ、またノイバラそのものが育てられて、地植えや鉢植え、盆栽などの方法で身近に楽しめるようになりました。
基本情報
学名 | Rose multifrora Thunb、 Rosa polyantha Siebold et Zucchini |
英名 | Japanese rose、Eijitsu rose |
科・属名 | バラ科・バラ属、落葉性のつる性低木 |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国 |
花の色 | 白、淡紅(花色にバリエーションはない) |
開花期 | 5〜6月 |
成長 | 早い |
樹高 | 1〜3m |
難易度・用途 | 初心者向け・フェンス、切り花 |
ノイバラ(野薔薇)の花言葉
ノイバラの花言葉は「上品な美しさ」「純朴な愛」で、この花言葉はノイバラ(野薔薇)の花姿にちなんでいます。また「孤独」「才能」「詩」の花言葉もあり、この花言葉は「野ばら」の詩を書いたゲーテ、作曲者シューベルトにちなんでいるようです。実の花言葉には「無意識の美」もあります。
ノイバラ(野薔薇)の名前の由来
ノイバラの由来は、トゲの多い木であることからイバラ(茨)と呼ばれ、野に咲く野生のバラであることからノイバラとなりました。「野バラ」とも呼ばれ、日本の代表的なバラの原種です。一般的にノイバラは園芸品種としての名称です。「野薔薇」「野バラ」とも表記されます。
ノイバラ(野薔薇)の特徴
ノイバラ(野薔薇)は、野生のバラ科で落葉性のつる性低木です。四季咲きの多い他のバラとは違い、オールドローズと同じように一季咲きです。花数が多い特徴があり、低地〜山地の日当たりのよい場所に生育します。茎はよく枝分かれし、枝には湾曲する約6㎜のトゲがあります。
葉の特徴
ノイバラの葉はバラ科の特徴と同じく、小葉が7〜9枚互生して生えている、5〜10cmの奇数羽状の複葉です。小葉は2〜4対ありますが、3対のが7〜9枚互生して生えます。葉の表面はテリハノイバラの品種を除き光沢がありません。
花の特徴
ノイバラの開花時期は4〜6月の初夏で、白か淡紅の5枚の丸い花びらが円盤状に並んで咲く一重花です。2〜3cmの直径の先端が浅いハート型のかわいい花です。芳香があり、香水の原料にもなっています。
実の特徴
ノイバラの果実のように見えるのは偽果で、秋から冬にかけ赤く熟します。冬まで果実は残り黒く変色します。ジャムや果実酒、デコレーションにも使われ、ノイバラの実でリースを作ることも可能です。未熟な実を乾燥させた漢方薬や、果実エキスがアンチエイジングのコスメに使われることもあります。
上の画像はノイバラの実を使って作ったリースです。野性味にあふれたおしゃれなインテリアにもなります。ノイバラの実を束ねて花瓶に挿すだけでも、部屋に季節の息吹を吹き込めます。デコレーションのアイデアを考えるのも楽しいでしょう。
台木に使われる
国内のバラ苗は通常、ノイバラの台木に接ぎ木してつくられています。そのため、接ぎ木した本来のバラの品種ではない台木に使われたノイバラの芽が枝になって伸びることがあります。このシュートをそのままにすると、ノイバラの勢いで本来のバラの品種が負けてしまうケースもあるくらい生命力が強いのです。