バラの実とは
バラの実はバラ科の植物につく実のことです。秋の季節に実ります。収穫時期は10月~11月です。実の色は赤、オレンジ、濃紫色と鮮やかな色が多く、形状は品種によって違います。お茶やお菓子の材料に用いられるのが一般的ですが、鮮やかな色と愛らしい形を活用して、インテリアや生け花、フラワーアレンジメントに用いられることも多いです。
ローズヒップ
ローズヒップは種類や品種を問わず、バラの実全般を指す名称です。ローズヒップの「ヒップ」は「野バラ」を意味する古い英語「hiopa」を語源とする言葉「heope」に由来しています。また、バラの実は正確にいうと果実ではありません。「花床(かしょう)」と呼ばれる花がらの先端部位が膨らんだものです。植物学上は「偽果(ぎか)」と呼ばれています。
子房が発達成熟して実ったものを「真果(しんか)」、子房以外の組織が実ったものを「偽果」と呼ぶんだよ。イチジク、リンゴ、ナシも偽果なんだ。
バラの実の特徴
ワイルドローズにだけ実る
バラの実は、すべての種類のバラにつくものではありません。「ワイルドローズ」と呼ばれる原種バラにつきます。さらに原種バラは通常のバラの品種と比べると、野生種の強さを持ち、丈夫で育てやすい品種が多い特徴があります。そのためワイルドローズは、バラの栽培に慣れていない方でも比較的育てやすい植物です。
原種系のバラは、春だけ咲く一季咲き品種が多いです。しかし、秋に実をつける品種が多いワイルドローズは、収穫の楽しさが味わえます。
ローズヒップが楽しめるワイルドローズの品種は「ドッグローズ(イヌノイバラ)」「ハマナス(浜茄子)」だよ。
バラの実の活用方法
バラの実のおもな使い方は、食用と花材用の2種類です。お茶やお菓子の材料、枝ものとして生け花やフラワーアレンジメントなどのインテリアと、幅広く用いられています。また、バラの実は品種によっては下痢などの症状を起こしたり、実が小さ過ぎたりと、食用に向かない場合があります。バラの実の食用目的で栽培する際は、バラの実が食べられるかどうか、品種を確認しておきましょう。
ローズヒップは枝ものとしても人気が高いんだ。花材目的の栽培もおすすめだよ。
ローズヒップを食用したい場合、農薬の使用などが制限されてしまいます。花材目的のほうが栽培管理が楽でしょう。
活用方法①食品
バラの実は古くから食用や薬用として用いられていました。古代ローマ時代には狂犬病に効くと信じられ、実際に用いられていた記録が残されています。現代でもバラの実で作るお茶は人気が高く、市販品の数も豊富です。ノンカフェインなので、小さな子どもや妊婦でも安心して食べられる点も魅力でしょう。
活用方法②ドライフラワー
ドライフラワーも人気の高いバラの実の活用方法です。バラの実は乾燥させても、鮮やかな実の色や愛らしい形はきれいに残るので、美しいドライフラワーになりますよ。ほかのドライフラワーや生花と組み合わせても、素敵な作品になるでしょう。
活用方法③リース
バラの実はリースにもよく用いられています。バラの実特有の鮮やかな赤い実と緑色の葉は、ほかの花材とも相性がよく、ナチュラルなリース作りにぴったりです。バラの実は赤と緑を主体とする色合いから、特にクリスマスリースに利用されています。バラの実は秋に収穫するため、冬の時期のリース作りにもぴったりです。
バラの実の食べ方3選
食べ方①ローズヒップティー
バラの実の食べ方や飲み方で、ローズヒップティーは特に有名です。ローズヒップティーはビタミンC、鉄分、ミネラルなど栄養成分が多く含まれているうえにノンカフェインなので、妊婦でも安心して飲めますよ。このレシピは市販品を利用し、手軽に楽しめるように工夫されています。はちみつや湯の量は好みで加減しましょう。
材料 (1人分)
ローズヒップティー 1袋
お湯 150ml
はちみつ小さじ 1〜2
作り方
- カップにローズヒップティーを入れ、お湯を注ぐ
- はちみつを加えてよく混ぜあわせる
- はちみつが完全に溶けて混ざったらできあがり
食べ方②ローズヒップジャム
ローズヒップジャムは、バラの実の食べ方としてよく用いられている方法です。ジャムは保存がきくうえに使い方も、「パンにつける」「ヨーグルトにかける」「お湯で溶いてローズヒップティーにする」など、いろいろな方法があります。ジャムを保存するガラス瓶は、使用前に煮沸消毒しておきましょう。
材料 (4カップくらいできます)
果実 550gくらい(種を取り除いて)
水 1リットルくらい
塩 小さじ1/2
レモン 大さじ1
(きび)さとう 50g
(※全体の1割程度)
作り方
- バラの実は水洗いした後ヘタと種を取り除き、火が通りやすいように適当な大きさに割っておく
- 鍋に水を張り、バラの実がやわらかくなるまで煮る
- 粗熱を取った後、ザルなどで果肉をこしておく
- こした果肉にレモンと砂糖を加えて煮詰める
- 好みの固さになるまで煮詰めたら、ガラス瓶に入れてできあがり
食べ方③ローズヒップゼリー
ローズヒップゼリーは、濃いめに出したローズヒップティーを固めて作ります。ゼリーは低カロリーで簡単に作れることから、人気の高いお菓子です。このレシピでは粉寒天を使って固めています。粉寒天を入れた後、しっかりと混ぜあわせることが上手に作るコツです。おいしく食べられるように、甘味は好みで加減しましょう。
粉寒天を入れた後、しっかりかき混ぜておかないと、固まり具合にムラができてしまうんだよ。
材料
ローズヒップティーバッグ 1つ
粉寒天(かんてんクック) 小さじ2杯
砂糖 40g
ハチミツ 小さじ1杯
お湯 300cc
作り方
- 耐熱容器に砂糖を入れ、沸かした湯を注ぎ入れる
- ローズヒップティーのティーバッグを入れて少し置く
- はちみつを加えた後、粉寒天を少しずつ振り入れる
- 粉寒天をすべて入れた後、1分間しっかりかき混ぜる
- 冷蔵庫で冷やし固めたらできあがり
バラの実の効果・効能
効果効能①美肌効果
バラの実は、美肌効果が高いとされるビタミンCを非常に多く含む食材です。ビタミンCは、シワやたるみを防ぎ美肌を作るコラーゲンの生成に欠かせません。バラの実のビタミンC含有量はレモンの約20倍以上とされ、「ビタミンCの爆弾」と呼ばれるほどです。この含有量の多さから、バラの実から作られる食品は、高い美肌効果を期待されています。
ビタミンCには「熱に弱い」という弱点があるんだ。でもバラの実の場合は、ビタミンPという成分が熱から守ってくれているんだよ。
このため、バラの実のビタミンCは加熱しても壊れにくく、栄養効果が失われにくいんですよ。
効果効能②免疫力向上
ビタミンCは美肌効果だけでなく、免疫力の向上効果も期待される成分です。ビタミンCには、血中の白血球を活性化する作用があります。白血球は細菌やウイルスを攻撃する働きを持つ組織です。白血球を活性化させることは、免疫力を高める効果につながっていきます。このため、「ビタミンCの爆弾」と呼ばれるバラの実は、高い免疫力向上効果を期待されています。
効果効能③便秘改善
バラの実には、便秘の改善効果が期待される成分ペクチンが含まれています。ペクチンは食物繊維の一種で、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を改善する働きを持つ成分です。腸内環境がよくなるため、便秘の改善や解消効果も期待できます。便秘は腸内環境の悪化が原因で起こることが多いからです。
ビタミンCの爆弾を味わおう!
ローズヒップティーやジャムは「ビタミンCの爆弾」と呼ばれるほどビタミン類が豊富です。秋~冬は空気が乾燥していくため、肌荒れを起こしやすくなる季節でもあります。肌の調子をよくする効果が期待されるローズヒップを活用して、寒い季節も元気に乗り越えましょう。
花床は「花托(かたく)」とも呼ばれています。