大和当帰とは
奈良と和歌山の県境付近の大深地方にちなむオオブカトウキは、江戸時代から大和当帰(ヤマトトウキ)と知られ、現在も女性にやさしい生薬として根の部分が漢方薬や入浴剤に使われます。2012年には葉と茎の部分が食用として認められたばかりです。そんな大和当帰の利用方法や効果的な食べ方を詳しく見ていきましょう。
基本情報
科 | セリ科 Apiaceae |
属 | シシウド属 Angelica |
学名 | Angelica acutiloba |
英名 | Japanese Angelica |
和名 | トウキ(当帰) |
種類 | 多年草 |
自生地 | 本州中部以北の山地の岩間 |
名前の由来
大和当帰の名前の由来は、文献によって微妙に異なる部分はありますが、どれも妊娠できる元気な体にもどって子供を授かるというストーリーです。古くから大和当帰は女性の健康を守り、子供を授かるための薬として認められてきたことが伝わってきます。
歴史
奈良県宇陀地方は、日本書記にも薬猟の記録が残されており、古くから薬草の産地として知られています。また徳川幕府8代将軍吉宗の薬種業の振興政策に伴い、大和(奈良)の本草学者、森野藤助によって発見され、大和当帰の栽培方法が確立されました。
植物としての特徴
草丈は約20~80cm、葉は濃い緑色で表面にツヤがあり、茎および葉柄は赤紫色を帯びています。葉は互生し、小葉は切れ込み、縁には鋭鋸歯があります。大和当帰の葉には害虫がつきやすいのが特徴です。開花期は6~8月で、枝先に傘型の花序をつけ無数の白い花をつけます。種子は長い楕円形です。
大和当帰のおいしい食べ方
味と芳香
生の葉はセロリに似た風味と香りがあり、好き嫌いがわかれるかもしれません。肉や魚料理によくあい、油っぽい料理も当帰葉とあわせるとさっぱりとおいしく食べられると評判です。ドライハーブに加工されたものの他、最近では生の葉が手に入ることもあるので探してみてください。
食べ方①お茶
乾燥させた葉はハーブティーとして用います。独特の香りがありますが、ノンカフェインで冷えを感じるときにやさしく体をあたためてくれます。ショウガなどとブレンドすれば、体を温めるお茶の効果がアップします。市販のお茶には焙煎されたものもあり、いっそう飲みやすくなるのでおすすめです。
食べ方②ハーブカレー
大和当帰の葉はカレーとも相性抜群です。茎の部分をスープの香りづけに一緒に煮込むと、よいだしが出て香りが増します。生の葉を刻んでトッピングしたり、乾燥した葉をふりかけるだけでも手軽に大和当帰カレーを楽しめます。
食べ方③ぎょうざ
油っぽい肉でもさっぱりと食べることができ、臭みを取ってくれる大和当帰の葉をぎょうざの具に加えてみましょう。生の葉を刻むか、またはドライハーブを加えるだけでよいですね。いつもとはひと味違う、香り高いぎょうざを楽しめますよ。
その他の利用法
葉と茎が食用として用いられるようになり、ハーブとしてお茶やハーブソルトなど、食用としての製品が次々に誕生しています。根は古くから根が温め効果があるとされ薬湯と利用されてきましたが、現在では葉と茎の部分も入浴剤として使われることも多くなりました。
次のページでは、漢方薬としての大和当帰やその栽培についてご紹介します。
出典:筆者撮影