カメムシ草の名前の由来
カメムシ草という名前を聞いたことがありますか?初めて耳にする人は「食べ物なの?」「臭いの?」と思うかもしれませんが、カメムシ草とは『パクチー』の別名のこと。なんだか食欲をなくしてしまいそうな名前ですよね。他にもシャンツァイやコリアンダーなどいろいろな名前で呼ばれます。今回は日本で大ブームになったパクチーの名前の由来や匂いなどについて、深掘りしてご紹介していきたいと思います。
カメムシ草と呼ばれるようになった理由
理由はとてもシンプルです。パクチーが、カメムシという昆虫が放つ臭いニオイに似た草、ということで別名『カメムシ草』。パクチーとカメムシの実際のニオイ成分は違いますが、パクチーが苦手という人の中には「カメムシのニオイがして食べられない」という人も少なくないようです。初めてカメムシ草という名前を聞いた人は、食欲がなくなってしまいそうですね。
苦手な人は「ニオイが苦手」と思ってしまうかもしれませんが、「独特の香りがたまらない!」とクセになる人も多いのも確かです。『パクチニスト』という名前ができたほど、熱狂的なファンは少なくないですよね。ベトナム料理のフォーや焼き飯の上に載せると爽やかな香りを楽しむことができますよ。
カメムシ草は古代ギリシア時代からの呼び名?
大昔の古代ギリシアでも食材や薬草としてパクチーは用いられていました。ギリシア語で『korisannon』と記され、それぞれ『koris→臭い虫』『annon→独特のニオイの植物』という意味になります。パクチーは大昔から臭い虫のニオイとして認識されていたんですね。これもパクチーが日本でカメムシ草と呼ばれる由来になったという説もあるのです。
カメムシ草はどんな匂い?
別名がカメムシ草なんて、パクチー好きの人からするとちょっと嫌なネーミングかもしれませんね。カメムシを知らず、パクチーを初めて食べる人は「これが、あの虫のニオイなんだ!」なんて思ってしまうかもしれません。セリ科の植物できゅうりのような青臭さが特徴のパクチーですが、このニオイに関しては大きくふたつの意見に分かれるようです。
ニオイの感じ方に違い
面白いことに、ニオイの感じ方が大きく違うという研究結果があります。アメリカの遺伝子研究をする会社が出した研究結果によると、パクチーが好きという人が「爽やかないい香り」と答えたのに対して、嫌いという人は「石鹸や洗剤のニオイ」と答えたそうです。これは人によって極端に分かれるので、自分はどちらなのかニオイを確かめてみるのも面白いですね。
ニオイの感じ方には遺伝子が関係?
先ほどパクチーが嫌いな人は『石鹸や洗剤』のニオイに感じるとご紹介しましたが、パクチーの中には石鹸などに使われるアルデヒドというニオイ成分が存在します。なかには、このニオイに敏感になってしまう遺伝子をもつ人がいるらしく、その遺伝子を持つ人は「食べ物のニオイではない」と脳で判断してしまうのですね。
カメムシ草のさまざまな呼び名
日本では『カメムシ草』ではなく『パクチー』と呼ばれることが多いですが、英語では『コリアンダー』中国語では『香菜(シャンツァイ)』、『パクチー』はタイ語での呼び名になります。では、正式な日本語での呼び名が『カメムシ草』なのかというと、そうではありません。日本語での呼び名についてもご紹介していきます。
日本語での正式名称はカメムシ草ではない
実はパクチーの正式な日本名(和名)は『カメムシ草』ではありません。日本名(和名)は『コエンドロ』といって、ポルトガル語での呼び名と同じなのです。パクチーは日本がポルトガルと貿易を始めた頃にやってきた植物ですが、当時はパクチーが日本人に合わなかったのか現代のように流行せず、『コエンドロ』は広まらなかった名前のようです。
コリアンダーという呼び名
日本語でコリアンダーという呼び名が使われるときは、パクチーの種子を粉砕しパウダー状にしたスパイスのことを指します。カレーや肉料理を調理するときの香辛料に使われます。香りは甘く爽やかで、カメムシのニオイは全くしないのでぜひ一度試してみてください。
日本でも使い分けられる呼び名の理由
先に入ってきたはずの、日本名(和名)はあまり聞いたことがないかと思います。まずこの食材が注目されるようになったのはスパイス会社が『コリアンダー』の商品名でカレーの香辛料として販売を始めたことがきっかけで、その後にタイやベトナムといった東南アジア料理が日本で流行り始めました。いろいろな人が『パクチー』として口にするようになり、日本では『パクチー』の名で広く知られるようになったのです。
カメムシ草の健康や美容に嬉しい成分
大昔から薬としても重宝された植物です。女性に嬉しいお肌をキレイに保つ栄養成分も豊富に含んでいます。体に期待できる効果や食べ方についてご紹介したいと思います。
気になる栄養成分や期待できる効果
パクチーに多く含まれる栄養素はビタミンC、ビタミンE、ビタミンKさらにカリウムや鉄、βカロテンなどです。ビタミンCは免疫力を助け風邪予防などに効果が期待でき、βカロテンは体の中でビタミンAに変換され、ビタミンEと同じく活性酸素の働きを抑えアンチエイジング効果に、ビタミンKは腸内環境を整える効果が期待できます。
栄養成分まとめ
- ビタミンC・・・活性酸素の働きを抑え免疫力を上げる
- ビタミンE ・・・活性酸素の働きを抑え血行を促進する
- ビタミンK ・・・腸内環境を整える
- カリウム ・・・余分な水分を排出する
- 鉄 ・・・赤血球を増やし全身に酸素を届ける
- βカロテン・・・体の中でビタミンAに変換される
美容成分がギュッと詰まったすごい植物
実はビタミンのA・C・Eがそろうとき、それぞれの効果をお互いが助け合うという働きをするので、美肌効果は別々に摂ったときよりも倍増します。その栄養素が3つそろっているパクチーを食べることで、美肌に近づくのがグッと早まることが期待できますね。カメムシ草なんて別名をつけられていますが、女性の強い味方なのです。
栄養素を吸収しやすい食べ方
ビタミン群は、油と一緒に摂ると体への吸収率がUPします。サラダのように生食する場合にはごま油などをかけて一緒に摂ると独特のニオイも和らぎ、食べやすくなりますよ。炒め物などにする場合は、香りが強くなるので最後にサッと火を通す程度にしましょう。
おすすめは、お肉などの炒め料理の上にたっぷりと載せる食べ方です。
まとめ
『カメムシ草』についてご紹介していきましたが、いかがだったでしょうか。パクチー、コリアンダー、シャンツァイなど呼び方はさまざまですが、これらは全て同じ植物のことだったのですね。いろいろな面白い歴史を持っているのもひとつの特徴です。カメムシ草という名前を聞くと抵抗があるかもしれませんが、とても栄養価が高く体に良い食材なので、ぜひ一度チャレンジしてみてくださいね。