ミントとは
分類 | シソ科ハッカ属 |
学名 | Mentha L. |
和名 | ハッカ |
英名 | Mint |
種 | ニホンハッカ アップルミント ウォーターミント コーンミント アジアンミント オーストラリアンミント ベルガモットミント |
ミントはシソ科ハッカ(ミント属、メンタ属)の総称です。ユーラシア原産で、ほとんどは多年草ですが、一年草の種も少数あります。日本ではデザートのアクセントやお茶として親しまれています。
名前の由来
諸説ありますが、ミントの名前は、ギリシャ神話に登場する妖精「メンテー」に由来します。メンテーは冥王ハーデースに草に変えられてしまい、以来その草をミントと呼ぶようになったといわれています。日本では、目が疲れたときにまぶたにこすりつけると、疲れを緩和する効果があったことから、めぐさ、めはりぐさとも呼ばれていました。
ミントの特徴
ミントの大きな特徴は、鼻にスッと抜ける爽快感や清涼感です。その特徴が注目され、古くからハーブとしてさまざまな方法で利用されてきました。また、繁殖力が非常に強い点も特徴に挙げられます。育て方が難しくない分、どんどん増えてしまい、雑草扱いされることもあります。
特徴を活かした利用方法
ミントは、料理、カクテル、お菓子、薬用酒などの材料に用いられています。カクテルではラムをベースとしたモヒートというお酒が有名です。また、精油としても利用されています。ハッカ油として販売されていることも多いようです。日本では北海道北見市が世界的なミントの産地で有名で、ハッカ油はお土産の品としても取り扱われています。
ミントの収穫時期
収穫に適しているかの見分け方
ミントの収穫時期は4〜10月頃です。ミントの葉の段数が5〜6段になったら、収穫してもよい合図です。成長が早いため、日々よく観察しておき、ベストタイミングを待ちましょう。
初摘みミントとは
収穫の年、花が咲く前の最初に刈り取ったミントのことを「初摘みミント」といいます。花が咲くとエネルギーはそこに注力され、香りが弱くなってしまいます。初摘みミントは雑味が少なくフレッシュな香りが特徴的です。初摘みミントを使用したチューインガム、お酒、香りを楽しむオイル、餃子などが商品として販売されています。
ミントの収穫方法
適度に育ったら、先端から10〜20cmのところで茎を切り取ります。この摘み方を摘心といいます。収穫をかねて摘心することで、脇芽が伸びます。すると茎数が増え、葉数も比例して増えるでしょう。収穫しながら摘心して、ミントの株を育てていきます。すぐに成長し、繰り返し収穫ができるでしょう。
茶色いミント
茶色くなったミントは枯れていることがほとんどです。特に鉢で育てている場合は、根詰まりをしている可能性を疑いましょう。成長の早さから、根が鉢の中で行き場をなくしてしまうからです。鉢底から根が出ていた場合は、一回り大きな鉢に植え替えます。また、茶色くなった葉は残しておくと病気の原因にもなるため、きちんと摘んでおきましょう。
収穫したミントの保存方法
「ミントの葉を収穫したのはいいけど、多すぎて使いきれない…」ということもあるでしょう。そんなときに役立つ保存方法をご紹介します。
乾燥保存
乾燥させたミントは、ティーに使用したり、クッキーやケーキなどの風味付けに砕いて使用したりするのがおすすめです。乾燥ミントの保存期間の目安は、約1カ月です。
ミントの乾燥方法
風通しのよい日陰にミントの葉が重ならないように並べて、ミントの葉がカラカラになるまで1〜2日干せば完成します。風で飛ばされないように注意しましょう。
冷蔵保存
ミントを冷蔵保存する場合は、キッチンペーパーなどで包んで、ジップ付きの袋などに入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。冷蔵保存期間の目安は約1週間です。
冷凍保存
ミントを冷凍保存する場合は、小分けにしてからラップに包み、ジップ付きの保存袋に入れて冷凍庫で保存します。冷凍したミントは、凍ったままの状態で料理、ティーなどに使用できます。冷凍保存期間は約1カ月です。
その他保存方法
はちみつに漬ける
ミントの水気をしっかりと切り、ミントが完全に浸る分量のはちみつを注いで保存します。3〜4日するとミントの風味がはちみつに移り、使用できます。お菓子の風味付けや紅茶に入れても美味しいでしょう。保存期間は約3週間です。
オイルに漬ける
ミントの葉を粗く刻んで、オリーブオイルに漬けて保存します。しっかりと密閉して2週間程寝かせれば、爽やかな香りのするオイルの完成です。
おしゃれなミント氷
氷に用いるのも素敵な保存方法です。ミントの葉を1枚ずつ製氷皿に入れて、水を注いで冷凍庫で凍らせれば、ミントの香りを楽しめる氷のできあがりです。ミントの葉は水に浮いてしまうため、最初に半分水を入れて凍らせ、その後に残りの水を足すときれいに作れます。飲み物に入れて飲むと、爽やかなミントの香りが広がります。
ミントの種類
ミントは強い生命力で交雑しやすく、変種が多く生まれていました。その数は600種類を超えるといわれています。そんなミントは大きく以下の種類に分けらます。
・ペパーミント系
・スペアミント系
上記の2種類の名前を聞いたことがあるという人も多いでしょう。
ペパーミント系
ペパーミント系は香りが強く、メントールの含有量も豊富です。爽やかな清涼感と刺激的な風味が特徴です。東アジア原産のニホンハッカ(和種薄荷)もここに含まれ、香料はお菓子やハーブティーなどに用いられています。
ペパーミントの効果・効能①消化を助ける
ぺパーミントには、消化を促す作用があるといわれています。また、腹痛、胸焼け、胃けいれんなどの症状も和らげてくれるようです。胃の末端神経を麻痺させる効果があるとされ、吐き気、乗り物酔いの予防が可能です。
ペパーミントの効果・効能②リラックス効果
ペパーミントには鎮静効果があるとされ、精神的な緊張を和らげたり、イライラを鎮めたりすることに期待が持たれています。リラックスできれば不眠が解消され、快眠も叶うかもしれません。
ペパーミントの効果・効能③抗菌・殺菌作用
鼻炎や歯痛などを鎮める効果もあるといわれています。医療分野でもミントの薬効は期待され、軟膏や貼り薬の成分にも含まれることがあります。
ペパーミントの効果・効能④花粉症対策
ペパーミントには「ミントポリフェノール」が含まれています。ミントポリフェノールには、花粉症などのアレルギー症状を緩和する効果があるといわれています。ミントポリフェノールは水溶性のため、飲み物に溶かして摂取することも可能です。
スペアミント系
スペアミント系は香りが比較的弱く、甘い香りがあります。ペパーミント系に比べると清涼感は少なめです。葉を紅茶やお菓子などに添えるほか、チューインガムや歯磨き粉のフレーバーとしても用いられています。
スペアミントの効果・効能①リフレッシュ効果
スペアミントには、イライラや不安な気持ちを落ち着かせてくれる効果があるとされています。気分転換したいときに用いるのがよいでしょう。
スペアミントの効果・効能②消化促進作用
ペパーミント同様に、食べすぎ、飲みすぎた後の消化を助ける作用があるとされています。胃が重苦しいときに使用するのもよい方法です。
スペアミントの効果・効能③殺菌・風邪症状の緩和
スペアミントが歯磨き粉に使用されているのは、殺菌効果が期待できるからです。また、口内炎や歯痛で痛みが生じた際に、スペアミントの爽快感で一時的に麻痺状態にさせ、痛みを和らげることがあるようです。風邪をひいたときには、咳や喉の炎症を和らげる効果にも期待されています。
まとめ
ミントは生命力にあふれ、多少お世話をさぼったとしても元気に育ちます。初心者にも向く植物です。摘心や収穫の見分け方も難しくなく、特別な道具を用いることもありません。保存も方法もバリエーション豊富で、育てた後もさまざまな利用方法でミントの香りを味わえるでしょう。ぜひミントの栽培にチャレンジして、収穫を楽しんでください。
出典:写真AC