山椒とはどんな植物?
山椒とは日本原産の植物で、北は北海道から、南は沖縄まで幅広く分布しています。日本では昔から花や果実、葉、果皮に樹木まですべての部位を薬用や香辛料として利用してきました。また、観賞用に育てたり、香りを楽しむために育てたりすることもあり、日本人にはとてもなじみの深い植物です。古くは縄文時代の遺跡からも山椒の果実が出土しています。今回は、そんな山椒の植え方から育て方までの詳しい方法をご紹介します。
山椒の基本情報
科 | ミカン科 |
属 | サンショウ属 |
原産地 | 日本 |
種類 | 落葉低木 |
高さ | 3m~5m |
別名 | ハジカミ |
山椒は雌雄異株
山椒は雄株と雌株がある植物です。それぞれが最低でも1本ずつなくては実をならせることはできません。そのうえ、山椒の木で実をつけるのは雌株だけです。そのため、山椒の植え方としては最低でも雌株と雄株の2本植える必要があります。しかし、園芸用品種として古くから栽培されてきたアサクラサンショウだけは、雌雄同株であり、1本で実をつけることのできる自家結実性の植物です。
北海道では育てにくい?
山椒は北海道でも北部の方では自生していないため、寒すぎて北海道では育てられない植物なのかと思われがちです。しかし、冬越えにさえ気を付ければ、北海道でも育てることができます。実際に道南ではプランターなどの室内で育てる方法だけでなく、地植えでもかなり育てている人も多いようです。
室内で楽しむ
北海道の冬は長いため、もし道北で地植えはやはり冬越えが無理、ということであれば、プランターなどに植えて室内で楽しむ方法もあります。室内であれば冬の寒さもそこまで気にすることもなく、剪定で高さを調節すれば鉢植えでも楽しめるため、寒冷地で育てる方法としてはおすすめです。
北海道で育てるときの注意点
山椒はそこまで強い耐寒性を持っている植物ではありません。そのため、北海道で山椒を育てたい場合には、冬越えに注意しましょう。鉢植えや盆栽として育てているのであれば、冬は屋内へ入れるようにします。地植えで育てている場合には、藁や段ボール、新聞紙などで雪が降る前になるべく保温するように心がけます。山椒は北海道であっても道南では自生しているので、道北でもきちんと手入れをすれば育てることは可能な植物です。
山椒の種類
山椒の種類一覧
種類 | 特徴 |
アサクラサンショウ | 棘のない栽培品種であり、江戸時代から重宝されてきた品種 |
ヤマアサクラサンショウ | 山野に自生していて、棘が短い。普通のサンショウとアサクラサンショウの中間のような品種 |
リュウジンザンショウ | 葉が小さく卵型である。食用として利用されるが、薬用にはされない品種 |
ブドウザンショウ | アサクラサンショウから派生した。小さいが棘があり、豊産性で大粒の果実がブドウのようになることから名づけられた品種 |
タカハラサンショウ | 飛騨地方で栽培されていて、実はアサクラサンショウに比べると小粒ではあるが、香り高い品種 |
一般的に栽培されているアサクラサンショウ
棘のない栽培用の山椒をアサクラサンショウと呼びます。棘がないため育てやすく、実や葉などを収穫しやすいのが利点です。しかしアサクラサンショウの種から実生苗を栽培すると、雌雄不定の上に棘が出てきてしまいます。そのため、販売しているものは接ぎ木で栽培したものになります。
木の高さはまちまち
実は山椒の木は高さが5m近いものもあれば、場所によっては2mほどのものもあります。土壌や生育環境によって高さがかなり変わってきます。そのため、鉢植えやプランターにしてもうまくすれば、大きくなりすぎることなく程よい高さで育てることができます。
山椒の花言葉
山椒の花言葉は、「健康」「魅惑」「好意」
山椒は3月から5月に黄色や緑の小さな花を咲かせます。山椒の花言葉は、「健康」「魅惑」「好意」の3つです。健康は、薬効があることと、香辛料として使用できるところからつけられたといいます。そのほか、お正月に健康を祝って飲むお屠蘇に山椒が使われることにも由来するといわれています。また、魅惑は食欲不振の時でも、山椒の香りには引き付けられずにいられないところからきています。
山椒の育て方(実生苗の栽培)
植物によっては種まきをして芽吹かせ、育てる方法が難しいものもありますが、山椒は種まきでも実生しやすく、育てることができる植物です。実生苗は実がなるまで時間がかかるうえ、アサクラサンショウの種からでも棘が出てしまうため、増やし方としては挿し木か接ぎ木が主流です。
山椒の実生苗での栽培方法①種まき
種まきをする時期は3月ごろがおすすめです。植え方は、ポットの種用培養土をいれます。中央にくぼみを作り、種を入れて土を薄くかぶせましょう。芽が出て本葉が2,3枚になったらポットに植え替えます。植え方は他の植物苗と同じです。ここで鉢植えやプランターにするか地植えにするかを決めます。
山椒の実生苗での栽培方法②種まき直後の置き場所
種を蒔いて水をあげたら、半日陰の涼しく風がよく通る場所におきましょう。山椒は日当たりがよすぎても悪すぎても育ちが悪くなります。特に夏場、日当たりがよすぎ、空気と熱気が淀んでいるところにおいてしまうと、株が弱ってしまいます。また、適度な日当たりが必要なため、完全な日陰もやめておきましょう。
山椒の実生苗での栽培方法③注意点
地植えでも室内でも、植え方で注意するべきことは同じです。山椒は乾燥に弱いですが、過度の湿気にも弱いため、気を付ける必要があります。また、冬の寒さにもあまり強くないため、鉢植えや盆栽として室内で育てる場合には問題ないですが、地植えにするなら、北海道などの寒冷地の場合には、特に1年目の冬は防寒に気をつけましょう。
山椒の実生苗での栽培方法④実生苗の欠点
種まきから育てると、大きくなるまでに時間がかかります。種からは簡単に実生するのですが、実が収穫できるまでが長いです。苗木から育てた場合は2年ほどですが、種まきから実生させて育てる場合には4年ほどかかります。そのため、基本的に山椒を植えるときには種まきではなく苗木のことが多いです。
続いて、山椒の育て方(鉢植え後)をご紹介!
出典:写真AC