三つ葉(ミツバ)の概要
三つ葉は日本で古くから食べられており、栽培は江戸時代から始まりました。1本の茎の先につく葉が3つあることから、三つ葉と呼ばれます。さわやかな香りで、日本のハーブといえる存在です。
基本情報
学名 | Cryptaenia japonica |
科属 | セリ科ミツバ属 |
原産国 | 日本、朝鮮半島、中国 |
好む土壌 | 中性~弱酸性、pH6~6.5 |
形態 | 多年草 |
草丈 | 40~50cm |
花 | 白~薄いピンク |
開花時期 | 6~8月 |
別名 | 三つ葉芹 |
ボタニ子
多年草で生命力が強く、種がこぼれた場所から自由に生えてくるので、花言葉は「奔放」だよ。
葉が3つに分かれているから、あるいは根を強く張ることから、「意地っ張り」という花言葉もあります!
三つ葉の効能
三つ葉には豊富なビタミンに加え、βカロテンやカリウムなどが含まれています。βカロテンには抗酸化作用があるとされ皮膚や粘膜を保護し、免疫力アップが期待できます。カリウムはむくみ予防に効果的です。また、香りの成分クリプトテーネン、ミツバエンは食欲増進、消化促進、高ぶった神経をやわらげ、ストレスからくる不眠を解消するといわれています。
三つ葉の種類と特徴
三つ葉は栽培方法が変わると、呼び名や食する部分も変わります。それぞれ異なる旬や特徴を持っています。
糸三つ葉
スーパーや青果店で並ぶ一般的な三つ葉は、糸三つ葉です。茎が青いため、青三つ葉とも呼ばれます。水耕栽培で日光に当てる育て方のため栄養価が高いのが特徴です。特に旬はなく一年中購入できます。半分くらいの大きさで収穫されて店頭に並んでいるのは、姫三つ葉というものです。
ボタニ子
おひたしもいいけれど、香りが高いからお茶漬けにのせたり、お吸い物にいれたりするのもおすすめ。
根三つ葉
地植えで育て、茎部分に土寄せをして軟白栽培したものが根三つ葉です。根が白く、風味が強いのが特徴です。ほかの三つ葉よりも歯ごたえがしっかりしています。根三つ葉の旬は、3~4月です。
切り三つ葉
切三つ葉は、日光を遮断して育てられた三つ葉です。軟白栽培されているため茎が白く、葉の色も薄く全体的に食感が柔らかいのが特徴です。旬は12~2月で、おせち料理でも活躍します。火を通し過ぎると食感がなくなってしまうため、生食がおすすめです。
ボタニ子
不揃いな糸三つ葉と違い、長さや大きさをそろえて販売されているよ。
三つ葉の栽培方法【栽培スケジュール】
三つ葉の栽培方法【種まき~植え付け】
三つ葉は家庭菜園で地植えでも、ベランダガーデンのプランターでも育てられます。住環境に応じて栽培方法を選びましょう。
用土
三つ葉の種をまく前に、土作りをしておきましょう。三つ葉は酸性の土が苦手です。地植えの場合は、1~2週間前に苦土石灰と元肥として緩効性の化成肥料を混ぜておきます。腐葉土をまぜるのもよいでしょう。その後、幅は50cm以上、高さ5~10cmの畝を立てます。プランター栽培の場合は、市販の野菜用の土を使うと簡単です。
種まき
三つ葉の種まきは、春と秋の2回です。発芽適温が20℃と高めのため、家庭菜園初心者は春まきがベターです。地植えで栽培するときは、セルトレイや育苗ポットに種まきして発芽させ、植え付けるのがおすすめです。1つのポットに4~5粒の種をまき、薄く土を被せます。
間引き
植え付け
三つ葉の栽培方法
三つ葉の育て方はとても簡単で、初心者でもあまり失敗せずに収穫できます。プランターや家庭菜園でもよいですが、室内で水栽培すると観葉植物のようなキッチンのインテリアとしても楽しめるでしょう。屋外で育てる場合は種まきや収穫の時期がありますが、水栽培の場合は室内で温度管理ができるのでほぼ1年中育てられます。湿った土壌と明るい日差しが好きな植物なのでコツをつかんで挑戦してみましょう。
三つ葉の栽培方法①苗
苗は4~6月か10月に植えるとよいでしょう。三つ葉は連作が苦手な植物です。地植えは同じ場所をさけ、プランターは土を変えましょう。根が弱いので苗を買って来たら、土はほぐさず、そのまま地面やプランターに植えます。ポットよりもひとまわり大きめの穴をほりそっと苗をうつしましょう。湿度を好みますので、なるべく水は切らさないようします。苗が手入らない場合は糸三つ葉や根三つ葉を苗として育てる方法もあります。
三つ葉の栽培方法②プランター
プランターで育てる場合は野菜用の土を使います。種をまく時期は5~6月です。種は発芽率が低いので筋蒔きをし、発芽に日光が必要なので土はかぶせず、霧吹きなどで水をやります。芽が出てきたら集中する場所からは間引きしましょう。苗の場合は根を張りますので、プランターで2株、鉢なら1株にしておくとよいでしょう。乾燥が苦手なのでこまめに水やりをし、明るい日陰で管理します。
三つ葉の栽培方法③家庭菜園
日が当たりすぎると葉が固くなりますので、日陰ができる場所を選びます。収穫がさかんになる時期は8~9月ですが、それ以前にも20cmくらいに成長したら収穫しても大丈夫です。間引きしたものもおいしくいただけます。花が咲くと葉、茎ともに固くなってしまいますので、見つけたら摘みとりましょう。
三つ葉の増やし方
育てた三つ葉をもっとたくさん収穫できたらいいのにと、種まきや苗の植え付けの時期を過ぎて思うことがありませんか。そんなときは、今あるあるいは普通にスーパーで売っている三つ葉を利用して、簡単にできる増やし方をご紹介します。やり方によっては旬を考えず1年中三つ葉を収穫することができます。
土で増やす
三つ葉は繁殖力が強いので、種まきや苗を植えて育てる他に、意外な増やし方があります。それは購入してきた糸三つ葉や根三つ葉をそのまま植える増やし方です。使用するときにスポンジ部分から上、3~4cmを残しておきます。プランターや鉢では野菜用の土に、地植えでは苦土石灰や腐葉土を入れて耕した畑に、糸三つ葉についているスポンジ部分や根三つ葉の根をそのまま植えます。
水で増やす
三つ葉はセリ科でもともと水辺に生える草なので、水栽培でも簡単に育ちます。害虫の心配も少なくてすみますのでおすすめです。糸三つ葉をスポンジから3~4cm残してきり、水の入った入れ物に入れます。水はできれば毎日取り換えてあげましょう。室内で育てる場合は日差しのある窓際に置きます。窓のないキッチンにインテリアとしておきたい場合は昼間だけでも窓辺において育てます。
三つ葉の収穫方法
三つ葉は使う時に葉を根本からぽきっと折って収穫します。生命力が強いのでいつの間にかわさわさと生えてきますので、必要に応じて、食べる直前に摘むと香り高くいただけます。薬味としてではなく、おひたしなどでたくさん必要なときは、ねもとからはさみでばっさり切ってしまいましょう。それでも、しばらくすると新しい芽が出てきます。お店で買ってくるのもよいけれど、摘みたてを食べられるのは家庭菜園ならではのぜいたくです。
まとめ
身近なハーブ、三つ葉の育て方や収穫方法をご紹介しました。プランターや家庭菜園で冬場枯れてしまったように思えても、実は種がこぼれていて、春になるとどこからともなく生えてきて元気に育つ便利なハーブです。おすましや茶わん蒸しにひとひら乗っているのと、そうでないのとでは風味が全く変わってきます。少しだけあればいいのにな、と思う時に使えるようにプランターや家庭菜園の片隅に一株植えておくのもよいでしょう。
出典:写真AC