ぶどうの剪定方法を図解で解説!適切な時期や正しい切り方をご紹介!

ぶどうの剪定方法を図解で解説!適切な時期や正しい切り方をご紹介!

ぶどうの剪定は難しそうなので、いつも伸ばしっぱなしという方も多いのではないでしょうか?正しい剪定を覚えると、秋にはおいしいぶどうをたくさん収穫できるようになります。剪定はいつどのような方法で行うのか、詳しいやり方を図解でわかりやすくお伝えします。

記事の目次

  1. 1.なぜぶどうは剪定が必要なのか?
  2. 2.ぶどうの実のつき方
  3. 3.適切なぶどうの剪定時期はいつ?
  4. 4.ぶどうの剪定の種類
  5. 5.整枝剪定のやり方①棚仕立て
  6. 6.整枝剪定のやり方②垣根仕立て
  7. 7.ぶどうの剪定のコツ
  8. 8.夏季剪定の月別ポイント
  9. 9.まとめ

整枝剪定のやり方①棚仕立て

出典:写真AC 

広い場所があるならば、棚仕立てが最もぶどう栽培に向いているやり方です。葉全体に日が当たりやすく、収量も多くなります。

①1年目の夏

出典:筆者作成

春から伸びた枝の中から、最もよいものを1本選び、まっすぐ伸ばし主枝にします。それ以外の枝は付け根から間引くか、摘心をして主枝がしっかり育つようにします。主枝が棚面に届いたら、伸ばしたい方向へ誘引します。

②1年目の冬

出典:筆者作成

1年目の冬は主枝をしっかり育てます。誘引した主枝は、枝の長さの1/5くらいを目安に先端を切り戻します。それ以外の側枝はすべて付け根から切り落とします。

③2年目の冬

剪定前

出典:筆者作成

まっすぐに伸びた主枝の、反対側にでる枝を第2主枝にして先端を少し摘心します。主枝の分岐点から1m以内にでている側枝は間引き、それ以外の側枝は25~50cm間隔で間引いていきます。このとき、枝が同じ方向ばかりにならないよう、交互に間引くとよいでしょう。

剪定後

出典:筆者作成

枝の間引き後、残した側枝は2、3芽残して切り戻します。

③3年目の冬

剪定前

出典:筆者作成

側枝は幹に近い方では100~150cm間隔、先端近くでは50cm間隔で広めに間引きます。特に大粒品種や樹勢が強い株は広めにしましょう。

剪定後

出典:筆者作成

枝の間引き後、残した側枝は2、3芽残して切り戻します。

④4年目の冬

剪定前

出典:筆者作成

間引く枝の間隔は3年目と同じです。樹が育ち、勢いも強くなってくる4年目以降は、棚全体に枝がバランスよく行き渡ることを考えながら、長梢剪定と短梢剪定をうまく組み合わせて残す芽を調整します。

剪定後

出典:筆者作成

広げたい方向には長梢剪定で多めに芽を残し、枝数を確保します。

④5年目以降の冬

剪定前

出典:筆者作成

ほぼ樹形が完成しているので、それを維持するような管理を続けます。側枝からもさらに結果母枝が伸び、数が増えてくるので、各枝50cm間隔で間引き、樹勢を見ながら残す芽の量を調節します。

剪定後

出典:筆者作成

樹勢が強いものは10芽くらい残して、間引く枝の量を増やすとよいでしょう。

整枝剪定のやり方②垣根仕立て

出典:写真AC 

庭が狭くスペースがとれない場合は、垣根仕立てがおすすめです。フェンスに絡ませる場合も同じやり方でできます。

①1年目の冬

出典:筆者作成

その年伸びた最もよい枝を1本選び、横になるよう誘引して主枝にします。主枝の先端は少し切り戻します。それ以外の枝は付け根から間引くか、摘心をして主枝がしっかり育つようにします。

②2年目の夏

出典:筆者作成

第1主枝と逆方向に第2主枝を誘引します。主枝から伸びる側枝は真上に向かうように誘引します。

③2年目の冬

出典:筆者作成

今年伸びた側枝(亜主枝)は、20~25cmほど間隔をあけて間引き、残した枝は付け根から2~3芽残す短梢剪定で切り戻します。両端の枝は少し先端を切り詰めます。

③3年目以降の冬

横に伸ばしながら、2年目と同様の方法で整枝剪定を繰り返していきます。

ぶどうの剪定のコツ

出典:写真AC 

何点かコツを抑えておくと、さらに剪定でよい結果を残すことができます。慣れてきたら、以下のコツを意識しながら枝の処理をしてみましょう。

コツ①よい枝を選ぶ

出典:写真AC

残す枝によっても生育が変わります。次のポイントをチェックしながら選ぶとよいでしょう。

  • 細すぎず、太すぎずの中間の太さ
  • 芽と芽の節間が狭い
  • ついている芽が大きい

コツ②徒長枝は短くしすぎない

勢いよく伸びた枝(徒長枝)を短く切りすぎると、反発してにさらに強い勢いを持った枝を出します。この枝は、花が咲いても実がつかない「花振るい」になることがあるので、多めに芽を残すとよいでしょう。特に巨峰ではその傾向が強いので注意します。樹全体に元気がありすぎる場合も、全体的に弱めに剪定します。

コツ③元気のない枝は短く切る

枝に元気がなかったり、樹全体にも勢いがなかったりする場合、短めに強く切ることで枝を若返らせることができます。弱い枝からは弱い枝しかでません。

コツ④古い枝を更新する

主枝以外の太い枝や側枝は、古くなるとよい枝を出さなくなります。実付きが悪くなった場合は、思い切って切り落としましょう。一時的に大きな空間が空いてしまいますが、新たに伸びるよい枝を誘引することで、1~2年で元に戻ります。

コツ⑤芽と芽の中間で切る

ぶどうは節のすぐ近くで切ると、大切な芽が枯れこみやすくなります。乾燥と寒さから芽を守るために、節と節の中間で切るようにしましょう。

コツ⑥残す枝や芽の量を知る

7~8芽残す長梢剪定の場合、残す枝数は一坪(3.3平方m)あたり5~6本くらいが標準の目安になります。仕立て方や品種、樹勢によってその量を加減します。また1枝あたりに残す芽の数は、中粒品種やデラウェアは10芽ほど、巨峰など大粒品種では4~5芽ほど残すと実付きがよくなります。

夏季剪定の月別ポイント

出典:写真AC

夏季剪定は季節ごとに樹の生長をみながら必要に応じて行います。月別の管理のポイントをお教えします。

ポイント①4月・5月

新しい枝を摘心する

春から新しく伸びた枝の中で、花の咲く前に1m以上も伸びている強い枝は、花付きが悪くなります。花の咲く1週間前(5月下旬)を目安に、先端を摘心して勢いを止めます。

ポイント②6月

混みあう枝を間引く

6月は枝が伸び葉がたくさん茂る季節です。枝が混みあいすぎて、葉が重なりあう場所があれば、枝を少し間引いて均一に日が当たるように調整します。

新梢から出る二番枝を整理する

元気な新梢からは、さらに二番枝とが出て枝分かれすることもあります。混みあう場合は、付け根近くに葉を1~2枚残して切り落とします。

ポイント③7月

出典:写真AC

伸び続ける枝は摘心する

どの新梢もこの季節になると伸びが止まります。1mほどの長さで止まるのが理想的です。しかし、その後もどんどん伸び続ける枝があれば、先端を摘心します。伸ばし続けると枝が充実せず、次の年の結実が少なくなる場合があります。

まとめ

出典:写真AC​​​​​

環境や育て方によってぶどうの生育は変化するため、マニュアル通りにはいかない場合もあります。ぶどうは強く回復も早いので、失敗をおそれずまず一度チャレンジしてみましょう。繰り返すことが上達への近道です。何度か行っていくうちに、ご自身の環境にあったきっとやり方が見つかりますよ。

bifuka
ライター

bifuka

植物アドバイザーの仕事をしつつ、自宅で様々な植物たちを育てています。最近は実家の畑で野菜作りにハマっています。

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