もみじ(紅葉)とはどんな植物?
秋の代名詞、紅葉(こうよう)と書いて「もみじ」とも読みます。もみじといえば、山に生えている樹木のイメージですが、園芸品種も多く、鉢植えでも育てられます。ここでは、そんな秋の風物詩紅葉(もみじ)について、ご紹介いたします。
もみじの特徴
もみじの一番の特徴といえば、小さくかわいらしい形の葉が秋に赤く紅葉することです。そして、冬の寒さにも強く、庭などに地植えにしても、盆栽のように鉢植えにしても、手間のかからない育てやすい植物でもあります。
もみじの種類
もみじはムクロジ科(もしくはカエデ科)のカエデ属の植物で、カエデと同じ分類です。園芸品種では、イロハモミジなど日本原産品種に属する品種が200~400種あるとされています。
【豆知識】「もみじ」と「カエデ」園芸品種の違い
植物の分類としては、もみじとカエデは同じですが、園芸の世界では違いがあります。その違いポイントとは、【葉の切れ込み】です。葉の切れ込みの数が多く、深いものが「もみじ」、切れ込みの数が少なく、浅いものを「カエデ」と呼ばれています。
「もみじ」の名前の由来
元々、葉が赤や黄色に変わる、色づくことを意味する言葉だった「もみぢ」。カエデの葉の紅葉がその言葉とピッタリだったことから「もみじ」と呼ぶようになったといわれています。
分布
主に北半球の温帯地帯に分布しています。国としては、日本、中国、ヨーロッパ、北アメリカなど、幅広く生息しています。
もみじの栽培方法・育て方
北半球生まれのもみじは、元々日本原産の品種も多く、日本の気候は十分適しているといえます。ここでは、もみじの基本的な育て方やポイントをご紹介いたします。
鉢植えの育て方
水やり
土が乾燥しだしたタイミング、完全に土が乾燥する一歩手前ぐらいで水やりをします。1~2日に1回が基本ですが、夏の乾燥する時期は、朝と夕方の1日2回に水やり回数を増やすことが大切です。水不足になると、葉が曲がったり、しおれたりしてしまいます。
乾燥時期には葉水も効果的
- 葉水をすることで、葉がチリチリになってしまうこと(葉焼け)を防ぐことができます。植物は葉からも水分を吸収しますので、乾燥対策としておすすめです。
日当たり・栽培環境
基本、日当たりや風通しのよい場所を好みます。しかし、乾燥が苦手なため、夏場は直射日光に当たらないよう注意が必要です。夏の強い日差しは葉の薄いもみじには強すぎるため、葉焼けの原因となってしまいます。
肥料
肥料のタイミングは、落葉したあとすぐの2月ごろです。冬は休眠期に入りますが、休眠明け早々に栄養吸収を始めるため、遅れを取らないようこの時期に与えておきます。鉢植えの肥料は固形の緩効性肥料を使用します。
大きくしたくない時は
- 小さめサイズを維持したい場合は、肥料を減らす、またはやらないなど、肥料の量を調整することがポイントです。
地植えの育て方
水やり
地植えの場合、降雨で十分なため、水やりはいりません。ただし、夏の乾燥した日が続くような時は、水やりが必要になります。その時は、朝もしくは夕方がベストです。
日当たり・栽培環境
もみじは日当たりのよい場所を好みますが、強い日差しの直射日光は苦手です。そのため、庭などの地植えの場合、時間によっては日陰になるような場所に植えることが重要です。塀や建物で日陰ができる場所や、他の木との間などがおすすめです。
【豆知識】自然のもみじは水辺好き
自然のもみじは、山の川付近に生えていることが多いです。つまり、土が乾燥しにくい場所を好みます。日当たりがよすぎると、水切れを起こす危険性が高まるため注意が必要です。
肥料
庭などの地植えの場合も肥料のタイミングは鉢植えと同じ2月です。地植えの場合、もみじを囲むように円形に土を掘り、溝を作り、その溝に肥料を埋めていきます。肥料には油かすや堆肥を使います。
かかりやすい病害虫
病気
梅雨の時期には葉が白くなるうどんこ病、成長した葉には黒いすすがついたようになるすす病が発生する可能性があります。悪化すると枯れる原因になるため、注意が必要です。日当たりと風通しのよい環境で栽培することで予防になります。
害虫
アプラムシやカイガラムシ、テッポウムシ(ゴマダラカミキリムシ)などが発生する可能性があります。テッポウムシは幹を食べるため、大きなダメージをおい、最悪枯れる原因になりかねません。ひどくなる前に、殺虫剤などを使って対処することが大切です。
もみじの手入れ方法
枯れた葉の摘み取り
枯れて茶色くなった葉はまず復活しません。放置しておくと、風通しが悪くなり、病害虫の原因になってしまう可能性もあるため、手でちぎってこまめに摘み取ることが大切です。
剪定
もみじは成長のスピードが早く、よく育ちます。庭や鉢で育てる場合、大きくなりすぎる可能性もあるため、定期的に剪定して大きさを整えてあげることもお手入れのひとつです。
剪定の時期と意味
時期としては、11月下旬~2月の上旬の間、落葉した後に剪定します。伸びすぎた枝や、込み入った枝を切り風通しをよくすることで、病害虫の予防にもなります。
【注意】夏の剪定は危険
夏に枝をたくさん切るなどの剪定をしてしまうと、もみじが弱ってしまい、枯れる原因につながる危険性があります。夏はもみじにとって栄養を蓄える時期です。その時期に大きく剪定してしまうと、剪定場所から栄養が漏れ出てしまい、枯れる原因になってしまうことも。夏は様子を見ながら、控えめに剪定することが重要です。
もみじは刃物を嫌う
もみじはハサミなど刃物を嫌うため、細い枝ぐらいなら、できる限り手で剪定するのが理想的です。太い枝となると、手での剪定は難しいためハサミを使いますが、切り口から病気になってしまうことがあります。そのため、切り口に保護剤を塗るなどしてコーティングしてあげることが重要になります。
業者に剪定を依頼する
庭などの地植えで大きく育ち、剪定することが難しい場合は、プロの業者の方にお願いすることもできます。もみじは、剪定した切り口から病気になることがあるというデリケートな一面があるため、心配な方はプロにおまかせするのもおすすめです。
もみじの植え替え方法・植え方
ここでは、地植えの植え方や、鉢植えの植え替え方法をご紹介いたします。
鉢植えの植え替え
基本地植えは植え替えの必要はありませんが、鉢植えは2~3年に1度は植え替えが必要になります。成長の早いもみじは根もよく育つため、根詰まりを起こさないよう定期的な植え替えが必要になります。
時期
植え替えの時期は冬の1月~2月ごろが適しています。葉が落ちてしまってから、一回り大きな鉢に植え替えすることがポイントです。
葉があるうちの植え替えはNG
- 葉がまだついている状態で植え替え作業をしてしまうと、株が弱ってしまうことがあります。植え替えは葉が落ちてしまったのを合図に行うことが重要です。
用土
土には園芸用の土や小粒の赤玉土などを使います。植え替えの時、傷んでいる根は切ってあげるとスッキリします。
地植えの植え方
時期
庭などに地植えする場合、12月~3月ごろが適しています。こちらも鉢植え同様、しっかり葉が落ちた状態で植えることが大切です。
用土・植え方
植える前に、堆肥や腐葉土などを植える場所に混ぜ込んでおきます。水はけがよくなるよう、苗を真ん中に置き、少し高くなるように植えつけます。植え付けてしばらくは水やりが必要ですが、順調に根を張ると、水やりの必要はなくなります。
まとめ
秋に美しい姿を見せるもみじは、鉢植えで楽しむ小さなものから、お庭で楽しむダイナミックなものまで、幅広い種類があります。これなら、ライフスタイルに合わせて、自分だけの紅葉を楽しむことができそうですね。
出典:写真AC