マタタビとは
マタタビは落葉性のつる性低木です。古くから野生種が北海道~九州の山地に分布していました。「夏梅(ナツウメ)」「木天蓼(モクテンリョウ)」という別名があります。寒さに強く日陰でも育ちますが、乾燥や夏場の直射日光には弱いため、栽培する場合は半日陰で育てるのがおすすめです。果実にさまざまな効能があることから、古くから食用や薬用として用いられていました。
マタタビでおもに食用や薬用にするのは果実ですが、葉を食用することもあるんですよ。
マタタビの葉を食用する際は、おひたしにすることが多いんだ。でも人によってはアレルギーを起こす恐れがあるから注意してね。
基本情報
園芸部類 | 落葉樹、広葉樹、雌雄異株 |
形態 | つる性植物 |
樹高・草丈 | 15m以上 |
花の色 | 白色 |
耐寒性 | やや強い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 食用、薬用、猫用 |
栽培の可否 | 可能 |
名前の由来
マタタビの名前の由来は諸説あります。有力な説はアイヌ語の「マタタムブ」からきたという説です。「マタ」はアイヌ語で「冬」を意味し、「タムブ」は「亀の甲」または「苞(つと、手土産)」を意味しています。「亀の甲」や「苞」を意味する言葉は、マタタビにしばしば「虫こぶ」または「虫えい(ちゅうえい)」と呼ばれるデコボコした実がつくことから名づけられました。
民間伝承として、疲れきった旅人がマタタビの実を食べて旅を再開したことから「復旅(マタタビ)」と呼ぶようになった話があります。
この話はマタタビに強壮の効能があることから広まった話で、有名だけど信ぴょう性は低いんだ。
猫がマタタビを好む理由
マタタビは大好物のたとえで「猫にマタタビ」という言葉があるほど、猫が好む植物として有名です。その理由はマタタビに含まれている臭気成分「イリドミルメシン」「イソイリドミルメシン」「ネペタラクトン」の働きにあります。いずれも猫に興奮や恍惚感をもたらし、酔っぱらいに似た状態にさせる成分です。これらの成分は一般には「マタタビラクトン」と総称しています。
マタタビ以外にも、ネコ科の動物を酔った状態にできる植物があります。「イヌハッカ」というハーブです。
イヌハッカは英名の「キャットニップ」という名前で流通することも多いよ。
ネコ科の動物に有効
マタタビラクトンが効くのは、猫だけではありません。ライオンやトラなどといった大型種も含めたネコ科の動物全般に効果がありますが、個体により効果は変化します。また、マタタビラクトンは中枢神経に影響を及ぼします。与える量や与え方を間違えると悪影響を及ぼす恐れがあるため、安易な使用は止めましょう。
マタタビを猫やライオンに与えると酔っぱらうなど、植物が動物に何らかの影響を与える作用を「アレロケミカル」といいます。
でもマタタビがなぜネコ科の動物を酔っぱらい状態にする成分を持っているのかについては、現在も不明なんだ。
マタタビの特徴
特徴①葉が白くなる
マタタビの大きな特徴は、開花時期になると白くなる葉です。マタタビの葉は最初は緑色ですが、開花時期でもある初夏になると葉全体、または一部が白くなり、ある程度時間が過ぎると緑色に戻ります。この現象が起こる理由は、花粉を運ぶ虫たちに見つけてもらうためといわれています。葉の色を緑よりも目立つ白に変えているという説が有力です。
葉が白くなる特徴は、ハンゲショウ(半夏生)という植物にも見られるんですよ。
葉が白くなる特徴のおかげで、マタタビの野生種の見つけ方は簡単といえるね。緑の多い山地で、マタタビの白い葉はよく目立つんだ。
特徴②白梅に似た花
マタタビの花の開花時期は6月~7月です。雌雄異株のため、雄花と雌花がありますが、雄しべと雌しべの両方を持つ両性花を咲かせる株もあります。マタタビの花は約2cmと小さく、白い花びらが5枚ついた梅に似た可憐な花です。甘い香りもあります。マタタビの別名「夏梅(ナツウメ)」は、夏に梅の花によく似た花を咲かせることが由来です。
特徴③つる性植物である
マタタビの木はつる性です。山地に自生している野生種は、ほかの樹木にからみついて成長します。マタタビの木は初夏になると葉が白くなるため、初夏なら見つけ方も、近縁種との見分け方も簡単です。
特徴④雌雄異株
マタタビの木は雌雄異株です。開花時期になると雄株には雄花、雌株には雌花、場合によっては両性花が咲きます。雄花と両性花には花びらがありますが、雌花には花びらがありません。マタタビは8月~9月に結実しますが、雄株は結実しないため注意しましょう。
特徴⑤果実の味はまずい
マタタビの実はそのままでは食用になりません。非常に辛味が強く、まずくて食べられないからです。そのためマタタビの実を食用にする場合は、加工作業が必要になります。マタタビの実は塩漬けや味噌漬け、果実酒にするのが一般的です。葉を食用する場合は新芽や若葉を選んで摘み取りましょう。若葉は乾燥させて茶葉に、新芽はすり潰し、辛味をいかしてわさびの代用品にすると美味しく食べられますよ。
特徴⑥虫えい果は薬になる
マタタビの実には、虫が寄生することがあります。これを「虫えい果」といい、通常の実と比べるとデコボコしているのが特徴です。虫えい果は高い薬効を持つため、漢方では「木天蓼(モクテンリョウ)」という生薬になります。虫えい果は収穫した後、熱湯に浸してから天日乾燥させます。民間療法ではマタタビの虫えい果を乾燥粉末を煎じたり、果実酒にしたりして服用されてきました。
通常のマタタビの実も薬効はあるんだけど、虫えい果のほうが効果が高いんだよ。
特徴⑥さまざまな加工食品やグッズが販売されている
マタタビは高い効能と猫が好む性質から、いろいろな形で販売されてきました。薬用酒や茶などの加工食品、猫用のおもちゃなど、その種類は多岐にわたります。猫用のおもちゃは、猫を飼っている家庭なら一度は試してみるのもよいでしょう。
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出典:写真AC