ヤブデマリ(藪手毬)とは?
基本情報
名前 | ヤブデマリ |
和名 | 藪手毬 |
学名 | Viburnum plicatum var. tomentosum |
分類 | スイカズラ科:ガマズミ属 落葉低木 |
高さ | 3m~4m |
開花時期 | 5月~6月 |
原産地と日本での分布
日本や中国、台湾を原産とする植物です。主に日本では本州・四国・九州に分布し、谷の岩場や沢辺、林道のふちの湿り気がある場所に自生しています。
ヤブデマリ(藪手毬)の特徴
特徴①葉
幹から伸びた細い枝にきれいな対となって葉柄がつきます。葉は先細の卵形ではっきりとした葉脈の筋が入り、縁はノコギリ刃のようなギザギザです。両面に短毛が生え、深緑色の葉表には光沢があります。
特徴②幹
樹皮は細かいシワがあり、年数が経つとシワの切れ目が裂けてめくれることがあります。幹の色は灰色や灰褐色で、ところどころ黒いまだらができます。
特徴③花
花茎は葉のあいだから生じ、先のほうで短い花茎が円形に枝分かれして花芽をつけます。円形の外側に咲く白い花は「装飾花(ソウショクカ)」と呼ばれる花びらのみが大きくなった特殊な花で、装飾花に囲まれた中央部の小さな花が生殖器官をもつヤブデマリの花です。
ヤブデマリ(藪手毬)の由来
「藪」と「手鞠」
育つ場所が林の中や草が茂った藪のなかであることと、花の形が手鞠に似ていることが由来になっています。
花の色にちなんで
ヤブデマリにはピンク色の花を咲かせる品種もあり、花の色にちなんで「恋花火」や「ピンクビューティー」といった、かわいらしい名前がつけられています。
ヤブデマリ(藪手毬)の育て方
ここでは、場所・水やり・肥料・植え付けといった基本的な育て方を解説していきます。
育て方①場所
日当たりや半日陰で育てることができます。湿り気には強い性質をもちますが、過度の乾燥に弱い植物です。
育て方②水やり
自然の雨でじゅうぶん育つため、水やりする必要はありません。ただし、夏期に地面がカラカラに乾く場合はたっぷりと水を与えます。
育て方③肥料
とくに肥料を与えなくても育つため、施肥をしなくても大丈夫です。ほどこす場合は花後と落葉の時期に固形タイプの油かすか骨粉、またはゆっくりと栄養が溶けだす緩効性の化成肥料(粒タイプが使いやすい)をお礼肥として与えましょう。
育て方④植え付け
植樹する場所に苗の根元が収まるほどの穴を掘り上げ、穴のなかで腐葉土と完熟堆肥をまぜてから植え付けします。
植え付けの時期
- 11月~12月
- 2月~3月
「ガマズミ属」の種類
種類①カンボク(肝木)
名前 | カンボク |
和名 | 肝木 |
学名 | Viburnum opulus var. sargentii |
分類 | レンプクソウ科:ガマズミ属 落葉小高木 |
高さ | 5m~7m |
開花時期 | 5月~7月 |
特徴
日本では沖縄以外の土地に生息し、山地でよくみられます。亀裂が入った樹皮は老木になるにつれ、裂け目からはがれてポロポロと取れやすくなり、葉は大きく3つの山に別れたガチョウの足のような形です。葉の表面にくっきりとした葉脈がはしり、つやよりもマット感が強い緑色で、花はヤブデマリそっくりの装飾花もつ花を咲かせます。
見分け方
種類②オオカメノキ(大亀の木)
名前 | オオカメノキ |
和名 | 大亀の木 |
学名 | Viburnum furcatum |
分類 | レンプクソウ科:ガマズミ属 落葉低木 |
高さ | 2m~4m |
開花時期 | 4月~6月 |
特徴
ヤブデマリと同じく日本・中国・台湾原産の樹木で、日本では北海道から九州の広い地域に分布しています。杉や松が生える針葉樹林内に多く自生し、標高の高い場所でも育ちます。光沢のない葉はサイズが大きく丸いのが特徴で、葉脈のようすが「亀の甲羅模様」に似ていることから「大亀の木」と名前がつけられました。虫の食害が多いことから別名「ムシカリ」とも呼ばれるオオカメノキ。白い装飾花に囲まれた細かな花を咲かせます。
見分け方
まとめ
日本や中国など「ヤブデマリ」はアジア原産の樹木です。樹高は3m~4mとそれほど高くない低木で、夏前に開花時期をむかえ秋に葉が色づいて落葉します。花は花弁だけが大きくなった「装飾花」と、生殖器官をもつ小さな花の2つを咲かせる不思議なつくりのヤブデマリ。栽培ではとくに水やりや肥料を与える必要のない育てやすい植物ですが、乾燥には弱いので暑い時期の管理には気をつけてくださいね。
出典:写真AC