棗(ナツメ)とは
漢方薬局で見かけるツヤツヤした赤い実は、棗(ナツメ)の実を乾燥させたものです。薬の生薬として使われ、また中国や韓国では古くから健康によい食べ物として親しまれてきました。棗とはどのような植物なのか、さっそく見ていきましょう。
基本情報
和名 | 棗(ナツメ) |
学名 | Jujube、Chinese date、Ziziphus、Zizyphus |
英名 | Ziziphus jujube var. inermis |
生薬名 | 大棗(タイソウ) |
科 | クロウメモドキ科 Rhamnaceae |
属 | ナツメ属 Ziziphus |
形態 | 落葉小高木 |
樹高 | 約10m |
原産地 | 南ヨーロッパからアジア南西部 |
名前の由来
名前の由来は「夏に芽がでる」ことからナツメとなったという説のほか、「夏の梅」からナツメ、「夏の実」からナツメなどいくつかの説があります。茶道具の1つである抹茶をいれるための道具を棗と呼びますが、これは道具の形が果物の棗に似ていることが由来です。英語ではJujube(ジュジュベ)、Chinese date(チャイニーズ デート)などと呼ばれます。
ナツメヤシとの違い
名前にナツメとつくため間違われることが多いのですが、棗とナツメヤシは全く別の植物です。棗はクロウメモドキ科、ナツメヤシはヤシ科の単子葉植物で別種の植物です。ナツメヤシは棗のようなヤシという意味でナツメヤシと呼ばれます。
棗の特徴
棗は南ヨーロッパからアジア南西部原産で、中国にも自生する植物です。日本へは奈良時代以前に中国からやってきたといわれ、かつては栽培されてきた歴史もありますが、現在では庭などに植えられている程度です。ここでは、棗の植物や果物としての特徴を見ていきましょう。
木の特徴
棗は樹高10mほどの落葉の小高木で、枝や幹には鋭い棘が対生します。葉は小枝に互生し、羽のような形に複数の葉をつけます。落葉樹としてはめずらしいツヤのある葉をもち、葉は卵型です。木質は硬く、使いこむことでツヤを増すため、木工芸に多く使用されます。
花の特徴
棗が開花する季節は初夏(5~7月)で、葉腋に数個ずつ淡い緑色の小さな花を密生させます。花が咲いた後、8~10月になると結実し、楕円形の緑色の実をつけはじめます。
果実の特徴
ツヤツヤした光沢のある棗の果実は、長さ2cmほどの卵型または長い楕円形で、外果皮が薄く中果皮は多肉質です。果実の内部には、硬い殻に覆われた種子が1つ入った核果です。若い実は薄緑で熟すにしたがって赤味が増し、完熟すると赤茶っぽくなり乾燥によるしわができます。
次のページでは、棗の効果と効能を解説します。