柿の花とは?その特徴や開花時期をご紹介!柿にも花が咲く?

柿の花とは?その特徴や開花時期をご紹介!柿にも花が咲く?

柿の花を見たことはありますか?柿は秋に食べる果物のイメージが大きいですが、もちろん花が咲きます。初夏の時期に開花する白くて小さくてコロコロとした柿の花は、とてもかわいらしく魅力的です。今回は柿の花に注目し、その特徴をご紹介します。

記事の目次

  1. 1.柿(カキ)について
  2. 2.柿の花とは?
  3. 3.柿の花の特徴
  4. 4.柿の花の開花時期
  5. 5.まとめ

柿(カキ)について

Photo byAPROTV

柿といえば、秋の果物の筆頭と言ってもよいほど身近な食べ物ではないでしょうか。日本原産で縄文時代の遺跡からも種が発見されており、奈良時代には既に栽培が行われていました。柿は「さるかに合戦」などの昔話やことわざ、新旧のさまざまな文学作品の中にも登場し、また栄養豊富なことでも知られています。今回はその柿の花にフォーカスして解説します。

柿の基本情報

名称 柿(カキ)または柿の木(カキノキ)
学名 Diospyros kaki
原産 日本・中国
分類 カキノキ科 カキノキ属
花期 5月~6月頃
収穫期 9月~11月頃

柿の花とは?

出典:写真AC 

柿には、もちろん花が咲きます。柿の花が咲くからこそ受粉して、秋になると柿の実が熟し、おいしい果物として食卓にのぼるのです。庭や山に柿の実がなっている様子はポピュラーですが、柿の花となると、細かいつくりまで詳細に見る機会は少ないかもしれません。柿の花の開花時期は初夏の5月~6月あたりですが、葉に比べて小さく色も白っぽいので、見逃してしまいがちです。

柿の花は刺し子の伝統柄

出典:写真AC 

柿の花は刺し子とよばれる刺繍の伝統柄として有名です。刺し子とは、布地を補強したり保温効果を高めたりするために日本で古来より行われてきた、いわば伝統的な手芸の技法です。その伝統的模様の一種として、四角くシンプルに図形化された形が特徴の「柿の花柄」があります。この柿の花柄には豊作や虫よけの意味が込められています。

柿の花には花言葉がある

出典:写真AC 

贈花として柿の花を選ぶことはないかもしれませんが、柿の花は多くの花言葉をもっています。優しさ、優美、自然美、恵み、恩恵など、明るく美しくあたたかい印象の花言葉がメインです。しかし、「広大な自然の中で私を永遠に眠らせて」という花言葉もあります。解釈に困惑しますが「bury me amid nature's beauties」という西洋の花言葉の翻訳と思われます。

柿の花の特徴

出典:写真AC 

柿の花の色は白、または黄色みをおびた白で、やや肉厚の4枚の花びらが反り返り咲きます。花の周りを囲むように、また4枚の緑色の大きな花びら状のものがありますが、これは萼(がく)の部分です。いわゆる柿のヘタで、秋には茶色く変色します。柿の花は葉に比べて小さいので、遠目にはあまり目立ちません。

雌花と雄花がある

柿の花には雌花と雄花があります。品種により、雌雄同株で同じ木に雌花と雄花が咲くものと、雌花のみをつけて、雄花をつけないものがあります。よく店頭に並んでいる次郎柿や富有柿は雌花しかつけない品種なので、受粉させるために雄花の咲く別の種類の柿をそばに植えたり、人工受粉させたりしています。柿の雌花と雄花の特徴をそれぞれ見ていきます。

雌花の特徴

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柿の花の雌花は一つ一つが離れて単独で咲きます。雄花より大きいのも特徴で、直径は2~3cmです。4枚の大きな萼に囲まれて開花した花は、先端部分が裂けた4枚の花びらが反り返るので、四角形に見えます。中央に雌しべがあり、その周辺には機能が退化した雄しべがありますが、この雄しべには、実を結ばせる能力はありません。

雄花の特徴

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柿の花の雄花は、花びらが4枚で反り返って咲くことは雌花と同じですが、雌花に比べて小さく、形が壺型をしている特徴があります。また、雌花が他の花と離れて単独で葉元についているのに対し、いくつか集まってついています。雄花の中には、雄しべが密生しており、この花粉が雌花につくことにより雌花が結実します。

花の萼は漢方薬に

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柿の花のつけ根には大きく目立つ萼がついており、果実になったときに茶色く硬いヘタと呼ばれる部分になります。硬く乾燥したヘタは、柿蒂(してい)という漢方薬として有名で、漢方を扱う薬局で市販もされています。効能については、煎じて飲むとしゃっくりを止める作用があるとされています。

柿の花の開花時期

出典:写真AC 

柿の花の時期は初夏の5月~6月頃です。薄い黄緑色の葉陰にぽつぽつと咲く白い柿の花は、大変さわやかな印象ではないでしょうか。壺型の雄花は、開花後は次第に茶色みをおび、数日で萼ごと落下してしまいます。雌花は、結実すれば次第に雌しべの部分をふくらませていきます。茶色く干からびた花びらはしばらく残りますが、果実の生長にしたがい、いずれ落下します。

柿の花は夏の季語

柿の花は俳句の季語になっています。果実の「柿」自体は晩秋の季語ですが、「柿の花」は夏の季語です。与謝蕪村、正岡子規、夏目漱石といった有名な俳人、文人によるものをはじめ、柿の花をとり入れた多くの俳句が作られています。古来より繊細な感性をもち風流む人々は、小さい柿の花に目をとめ、季節を感じて詠んできたのですね。

まとめ

出典:写真AC 

私たちの舌を楽しませてくれる秋の果物の柿ですが、その実を得るための元となる柿の花は、目を楽しませてくれます。柿の花を見たことがない方は、ぜひ初夏に柿の木を見上げてみてください。柿の木が散歩道や通勤途中にあれば、白い柿の花が咲いて落ち、青柿ができて夏の間にどんどん育ち、秋にオレンジ色の立派な果実になる様子を観察してみてはいかがでしょうか。

koke_dama
ライター

koke_dama

見る人の心を癒やす植物の力。偉大ですね!

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