スチューベンとは?
「ぶどう(葡萄)」と聞いたとき、思い浮かべる品種は何でしょうか?ぶどうは世界に1万種以上も存在するといわれており、種の有無や、味や色の違いなどさまざまな種類が栽培されています。今回は、その中から寒い地域で栽培されている「スチューベン(ぶどう)」について、品種としての特徴やおいしい食べ方、気になる価格と購入方法についてご紹介します。
基本情報
品名 | スチューベン(Steuben) |
親の組み合わせ | ウェイン・シェリダン |
原産地 | アメリカ(ニューヨーク州) |
国内の主な生産地 | 青森県・秋田県・山形県 |
糖度 | 20~22度 |
果皮 | 黒紫色 |
収穫時期 | 9月下旬~10月下旬 |
出回り時期 | 10月~2月頃 |
生産地
スチューベンは、アメリカのニューヨーク州で作られている「ウェイン」と「シュリンダン」という品種を交配して作られた品種です。日本には1952年(昭和27年)に導入されました。ぶどうは温暖な地域で栽培されることが多い果物ですが、スチューベンは寒冷な地域に向いている品種のため、ニューヨークと同じくらいの緯度にあたる青森県を中心とした東北地方で栽培されています。
シャインマスカットとの繋がり
皮ごと食べられるぶどうとして人気の「シャインマスカット」は、「安芸津21号」というぶどうの交配種です。この安芸津21号の種子親が「スチューベン」なので、シャインマスカットはスチューベンの近縁種ということになります。シャインマスカットは黄緑色の皮をしていて、スチューベンの皮の色とは全く異なりますが、おもしろい繋がりですね。
名前が似ている品種
アーリースチューベン
アーリースチューベンは「バッファロー」という種なしぶどうで、スチューベンによく似ていていますが別品種です。アメリカから日本にスチューベンが導入される際に混入していたため、熟期の早いスチューベンという意味の「アーリースチューベン」と名前がつけられました。糖度18~20度に加え適度に酸味があります。主に青森県で栽培され、スチューベンよりも早い8月下旬~12月頃に出回ります。
スチューベンの特徴
スチューベンは糖度が高く、柔らかい果肉が硬い皮に覆われていることが特徴です。さらに、ぶどうの多くは収穫してすぐに出荷されますが、スチューベンは貯蔵性が高いため、収穫した後に長い貯蔵期間を経てから出荷される珍しい特徴をもっています。
皮
皮は巨峰やピオーネのような黒紫色です。皮の色がより濃く表面にハリがあるもの、しっかり白い粉(ブルーム)がふいているものを選びましょう。濃い色のぶどうにはポリフェノールやクエン酸などが多く含まれています。スチューベンは皮が硬いため、基本的には口の中で皮をむいて食べますが、皮ごと絞ってジュースにしたり、冷凍して粒のまま食べたりすれば、体によい成分も一緒に摂ることができます。
ボタニ子
ポリフェノールの一種「アントシアニン」が多いほど皮の色が黒くなるよ。
糖度
スチューベンの糖度は20~22度もあり、甘みが強いことが最大の魅力です。日本で多く栽培されている巨峰は糖度が18度前後のため、比べると甘さの強さがわかります。とろりとしたハチミツのような甘さが特徴です。スチューベンには甘さと香りを持続させる「ショ糖」が多く含まれており、このショ糖が口の中に甘さを残し、さらに保存性を高くしています。
ボタニ子
ショ糖は、砂糖の主成分になっている糖質なんだよ。
収穫時期と旬
スチューベンの収穫時期は9月下旬~10月下旬頃です。糖度の高いスチューベンは貯蔵が可能で、完熟の状態で収穫したぶどうを2月まで貯蔵できます。このため10月下旬~2月までがスチューベンの旬の時期になり、年末から冬にかけておいしく食べられます。果物が少なくなる寒い時期に食べられる貴重なぶどうですね。
ボタニ子
青森県では、リンゴを湿度を95%、温度を0℃前後で低温貯蔵する技術をぶどうにも応用して、ぶどうの酸味を減らして甘みを濃縮しているんだよ。
次のページでスチューベンのおいしい食べ方と購入方法についてご紹介します。
出典:写真AC