キャッサバとは
キャッサバは世界中の熱帯に栽培されている、トウダイグサ科の常緑低木です。葉は細長い形で6~7枚の扇状、イモノキという和名の通り、見た目は里芋・形はサツマイモに似た芋が数本なります。ここでは、キャッサバについて紹介していきます。
キャッサバの基本情報
科 | トウダイグサ科 |
属 | イモノキ属 |
学名 | Manihot esculenta |
英名 | Cassava |
和名 | イモノキ(芋の木) |
別名 | ユカ芋 |
キャッサバには、多数の呼び方があります。「ユカ芋」などの別名が多く、いろいろな国でさまざまな食べ方で楽しまれています。ここまで普及したのも、キャッサバが乾燥した土壌に強く、どのような荒れ地でも栽培できることが大きな要因でしょう。
ボタ爺
ボタニ子
世界中っていっても産地の半分は、アフリカなのよね。それだけで育って芋がとれるのに、なんで日本では出回ってないの?
ボタ爺
そうなんじゃ。それにはキャッサバならではの理由があるんじゃ。特徴について見てみようぞ!
キャッサバの特徴①根に毒がある
キャッサバの根っこには。シアン化合物が含まれています。品種によっては毒性の強さは異なりますが、致死量が含まれているものもあるため十分に注意しましょう。過去には、フィリピンでキャッサバ粉で作ったお菓子を食べた子ども29人が亡くなった事例もあるのです。
ボタニ子
えぇ~!キャッサバって怖いものなの?
ボタ爺
確かに怖いのう。生の状態では輸入は禁止されているんじゃ。ちゃんと毒抜きされて加工したキャッサバだけが輸入されているから、安心するのじゃ。
キャッサバの中毒症状
- 軽度の症状では、嘔吐・頭痛・めまい
- 重度の症状では、手足の痙攣・意識混濁・呼吸低下
- 最悪の場合、生命の危険もありうる
キャッサバの特徴②栄養が豊富
キャッサバは食物繊維や炭水化物、カルシウム、ビタミン類、鉄分、マグネシウムやナトリウムなどが豊富な植物です。80%近くの主成分がデンプン(炭水化物)で、エネルギーに変えやすい植物です。また、育毛効果は科学的に証明されているほどです。
キャッサバの効能
- 筋肉強化
- 便秘改善
- 高血圧の改善
- 免疫力アップ
- 育毛効果
- コレステロール値改善
思わぬ落とし穴も
本来、キャッサバに含まれる主成分のデンプンは腸まで届き、便秘改善効果があるとされています。一方、中国ではキャッサバのデンプン加工したものを大量に摂取し、排便困難になった事例があります。下剤服用で改善されたようですが、食べ方次第で効能の逆効果もあることを把握しておきましょう。
キャッサバの特徴③燃料にもなる
キャッサバの残渣物は、燃料になります。タイ国のPTGエナジーとデンプンを生産する企業が協力し、原料がキャッサバ残渣物のエタノール生産に成功、ガソリンと混ぜてPTGのガソリンスタンドで販売されています。キャッサバは新しいエネルギーとしても注目度の高い植物といえるでしょう。
ボタニ子
デンプンに加工してから、残りの残渣物でエネルギーを作るのに成功したのは世界初なんですって!
キャッサバに似ている植物・タロイモ
キャッサバと似ている植物に挙げられるのが、同様に産地の多い植物のタロイモです。キャッサバは常緑低木の根っこであり、タロイモは熱帯性植物の根っこという違いがあります。またタロイモには毒が無く加熱は必要ですが、そのまま食べられるのも大きな違いです。タロイモの加工商品は人気を集めています。
キャッサバ粉同様、タロイモを加工したタロイモボールも販売されています。日本の里芋の仲間で、ねっとりとした食感でとても馴染みやすいうえ、食べやすく料理にも取り入れやすいです。調理すると薄く紫色に染まるのも、魅力の1つといえるでしょう。
キャッサバの毒抜きの仕方とは
キャッサバを生の状態で扱うこと自体、現在の日本ではなかなかないでしょう。しかし、世界中で多く栽培・生産されるキャッサバは、旅行した際などに出会う機会も多いということですね。キャッサバの特徴を踏まえたうえで、毒抜きの仕方を把握しておきましょう。
日本でもキャッサバを専門に栽培している農家もいます。皮つきで販売されていたら要注意です!
キャッサバの毒抜き前の下準備
キャッサバの皮むきはとても簡単です。まず、キャッサバに付いた泥を落とし両端を切り落とします。次に10cmほどに切り分け、皮と並行に包丁の刃を入れるとするすると皮がはがれるのです。毒の9割が皮にあるため、皮が残ることのないようしっかり確認しましょう。
ボタニ子
芽がある場合も、しっかり取り除いていきましょう!毒抜きには2通りの方法があるのよね。
キャッサバの毒抜き方法①茹でてから漬け置き
キャッサバの毒抜きには時間がかかります。キャッサバを2時間茹でた後水を捨て、さらに2時間茹でます。茹で終わったら、水を交換し16時間置いて毒抜き完了です。80%の毒が抜け、この状態で中毒症状は出ません。手間はかかりますが、比較的時間が短く済む方法です。
キャッサバの毒抜き方法②生の状態で漬け置き
方法②の場合、毒抜き時間がさらにかかりますが、手間はかかりません。皮をむいた後のキャッサバを真水に漬け、4~6日間放っておくだけです。毎日水を交換することだけは忘れずにすることがポイントです。水交換が終わったら、柔らかくなるまで煮ます。これで毒抜き完了です。
キャッサバはタピオカの原料
キャッサバの名が知られたのは、タピオカの原料だったためといえるでしょう。タピオカは、キャッサバから主成分であるデンプンを抽出、水で溶いた後専門の容器で遠心回転させ完成します。できあがったタピオカは白色です。白以外のタピオカは着色し、味付けされたものです。
キャッサバ粉とタピオカ粉の違いとは
タピオカ粉は、根を絞り水気を蒸発させ残ったもののことです。キャッサバ粉は、根を乾燥させ砕いたもののことです。比較するとキャッサバ粉には、より食物繊維が多く含まれています。同じ原料ですが、キャッサバ粉でタピオカは作れないため気を付けましょう。
ボタニ子
キャッサバ粉もタピオカ粉も、主成分はデンプンなので取り扱いやすいのね!
キャッサバを使った料理
キャッサバを生の状態から調理することは、手間も時間もかかります。ここではキャッサバ粉とタピオカ粉を使った料理を紹介します。キャッサバ粉は小麦粉の代用として利用でき、糖質制限ダイエットの効果が期待されているのです。
キャッサバ粉を使ったピザ
ピザの材料
- キャッサバ粉:80g
- 強力粉:320g
- ドライイースト:3g
- ぬるま湯:200mL
- オリーブオイル:大さじ1
- バジル:お好きな量
- トマト:1/2こ
- モッツァレラチーズ:50g
強力粉・キャッサバ粉・ドライイースト・オリーブオイルを混ぜ、粉っぽさがなくなるまで捏ねます。40℃で50分発酵させ、発酵後空気を抜き生地の完成です。生地を薄くしながら円形に広げ、バジル・トマト・チーズを乗せます。200℃で20分焼いたらできあがりです。
キャッサバ粉を使うことにより、もっちりした食感を楽しめます。
タピオカ粉で作ったポン・デ・ケージョ
ポンデケージョの材料
- タピオカ粉:80g
- 強力粉:20g
- ベーキングパウダー:小さじ1/4
- 水:80mL
- サラダ油またはオリーブ油:小さじ1
- たまご:1/2こ
- 粉チーズ:40g
粉類(キャッサバ粉では不可)をすべて混ぜておきます。水と油のレンジで温めたものと粉類を、粉っぽさが無くなるまで熱いうちに練りましょう。さらに卵とチーズを加え生地をまとめます。生地を3cm大に丸め、オーブンを180℃設定で20分焼き、きつね色に変わったら完成です。
ボタニ子
ポンデケージョ、大好き!もちもちしていて、チーズの香りまで美味しいのよね。タピオカ粉はいろいろな食べ方で活用できそう!
まとめ
キャッサバの毒性、新たなエネルギー生産、タピオカだけではない料理法を紹介しました。レシピはまだまだたくさんありるため、キャッサバの魅力を楽しめるでしょう。美味しいだけではなく、栄養素も豊富です。ぜひ、小麦粉の代用に利用されてはいかがでしょうか。
キャッサバの栽培は、意外に手間がかからないんじゃ。茎を土に挿すだけで根が張るんじゃよ。