真柏(シンパク)とはどんな樹木?
真柏は盆栽では有名な樹種ですが、どんな樹木なのでしょうか。真柏の魅力や植物としての特徴、盆栽としての鑑賞ポイントや育て方、そして野生や植木の真柏が見られる場所をご紹介します。
ボタニ子
真柏は盆栽と言われて思い浮かべたとき、誰しもが想像する幹の曲がった緑の葉がモコモコした樹木です。でも松とは違う種類の樹木ですよ。
真柏の分類
真柏はヒノキ科ビャクシン属(ネズミサシ属)Juniperus chinensis の植物で常緑樹。イブキ(伊吹)の亜種といわれています。Juniperus=Juniperとはビャクシン属のネズ、杜松、ビャクシンなどの種類のことを指します。真柏とは主に盆栽での名前であり、深山柏槇(ミヤマビャクシン)を盆栽として育てたものを真柏と呼びます。
植木としてのビャクシン
ヒノキ科ビャクシン属の種類の1つ、カイヅカイブキは深山柏槇と似た特徴があります。枝は捻れるように上に伸長し、植木として生垣などに仕立てられます。公園や庭の植木として身近に見られるビャクシン属の種類です。ビャクシンは「なし赤星病」という梨に被害を出す病気の中間寄生樹となるため、植木を禁じている自治体も多くあります。
真柏の特徴
真柏は盆栽のなかでは有名な樹木の種類です。では真柏=深山柏槇は植物として、どんな樹木なのでしょうか。なぜ盆栽に仕立てられるのでしょうか。その特徴をご説明します。
特徴①葉
葉の形はとても特徴的です。円筒形で緑色の茎のようです。葉を切ると爽やかな香りが、かすかにします。樹形はブロッコリーのように緑色のモコモコしたものになりますが、樹勢の強い枝先は円錐状に尖ってソフトクリームの先端のようになります。
特徴②幹肌
幹は若い木でも縦方向に裂けるような荒々しい幹肌で、乾燥すると自然に剥がれ落ちます。樹齢のある樹木のように見えるため、古ければ古いほど良いとされる盆栽に最適の樹種です。ミニ盆栽でも同じように荒れた幹肌になります。
特徴③幹
盆栽に使われるミヤマビャクシンは幹が自然に曲がり捻転し、枝が斜めに伸長します。そのため力強さを感じさせる独特な樹形になります。成長は遅く、樹高も1mにならない木です。その特徴を生かして庭や公園のグランドカバーや盆栽に作ります。
真柏は雌雄異株の植物です。白く小さい花が4月に咲きます。盆栽で真柏は葉の緑色の美しさを愛でるため、花は摘み取られたりします。ミニ盆栽サイズだとほとんど花は咲きません。
真柏といえば盆栽
真柏は盆栽として一般的に知られている樹種です。病気・害虫に強く、乾燥や寒さ、暑さにも耐えられます。さらに枝が柔らかいので、人為的に曲げて形を作りやすいです。盆栽好きなら1つは持っていたい樹種ですね。ミニ盆栽としても迫力のある木を作ることができます。
真柏盆栽
真柏は盆栽の松柏(ショウハク)と言うカテゴリーに入ります。主に松と真柏のことで、盆栽で扱う樹木の中では一番、格の高い樹種とされます。昔は入学式の演台横やおめでたい席、最高のおもてなしとして床の間に飾られました。盆栽園に行くと立派な盆栽を鑑賞することができます。
ボタニ子
盆栽園の真柏は樹齢何百年、一鉢何百万もするようなものもあります!ため息が出るほど美しくて迫力がありますよ。
真柏盆栽の魅力➀常緑
盆栽として育てられる木の種類の中で1年を通じて常緑である真柏や松は、常に栄えることや長寿の象徴としての意味を持ち、価値のあるものとされました。
真柏盆栽の魅力②捻転する幹
真柏は自然に枝が捻転するため、古くは高山の岩場で幹の曲がった木を掘り起こし、鉢に飾ったものです。今ではこの方法は禁止されています。真柏は幹が柔らかい特徴があり、作為的に曲げて形を作ることができます。捻転した幹は力強さを意味し、価値のあるものとされました。
真柏盆栽の魅力③ジンとシャリ
真柏はとても丈夫な樹木なので、さまざまな加工ができます。ジンとは自然の中で折れた枝先が白くなり枯れたところを模したものです。シャリとは自然の中で幹が裂け、一部が枯れて白くなったものを模したものです。どちらも荒々しい自然を表現する手段です。自然の中の樹木のように作ることができるのです。
ボタニ子
盆栽でジンとは「神」のことを意味し、シャリとは仏舎利、仏様の骨と言う意味です。ジンやシャリのある真柏は神々しい木です!
真柏盆栽のしつらえ
真柏盆栽は屋外で育てることが基本です。日本では昔は盆栽を床の間に飾っていました。季節の掛け軸をかけ、掛け軸と盆栽をセットにして床の間に世界を作ります。掛け軸の絵によって小さな盆栽が大木に見えてきます。
室内に飾るときは3日を限度としてください。土が乾燥したら水を与え、エアコンの風が直接当たらない場所におきましょう。床の間にこだわらず、いつもお花を飾っているコーナーに季節の小物と飾ると雰囲気が出ます。
出典:写真AC