金木犀(キンモクセイ)とは
キンモクセイは常緑の中木です。9、10月に花が咲きます。花はオレンジ色でよい香りがあり、芳香剤としても使われます。キンモクセイの香りで秋の季節のおとずれを感じる方も多いでしょう。江戸時代に中国から渡来し、ジンチョウゲ、クチナシとともに日本の三大芳香花木といわれています。丈夫で育てやすく、刈り込みに強いため、庭や公園によく植えられます。シンボルツリー、生垣、目かくしにも使われます。
金木犀(キンモクセイ)の剪定の時期
花の咲いた後に剪定
キンモクセイの剪定は、花の咲いたすぐ後におこなうとよいでしょう。キンモクセイの花芽がつくのは春から夏の季節ですので、この時期に剪定すると、来年の花芽を切ってしまい、花が咲かないことになります。花後すぐに剪定すると、花芽を切ってしまう心配がありません。花後10月頃から3月頃までが、花芽を切ってしまう心配なく剪定ができる時期です。ただし、次にご説明しますが、冬の寒い時期の剪定はおすすめではありません。
落葉樹と違って真冬に強剪定はしない
キンモクセイは真冬は葉が少なくなり、弱りやすいので強剪定(太い枝を切ること)はしてはいけません。場合によっては、剪定した枝が枯れてしまうことがあります。少し手入れをするような小さな剪定はできます。落葉樹の場合は、葉を落とした秋から冬にかけて剪定するのがよいといわれておりますが、常緑樹のキンモクセイは、冬は剪定に最適の時期ではありません。
初夏(6〜7月)に剪定
キンモクセイは6〜7月は花芽がつく時期ですので、この時期に剪定をおこなうと花芽を切ってしまうため花が咲かない状態になってしまいます。しかしこの時期は常緑樹の剪定に適した時期です。秋から冬におこなう剪定とは別に、夏に1回樹勢を弱めるという目的があります。養分をたくわえている時期に切って、木にかなり負担を与えるのですが、樹形を維持するためには悪いことではありません。大きさを小さくしたいときや樹形が大きく乱れてきた場合には、その年の花が少し少なくなっても剪定するとよいでしょう。
金木犀(キンモクセイ)の剪定が必要な理由
キンモクセイは1年で約15cm成長します。広大な場所であれば8mほどにも成長します。そのため庭などの限られたスペースですと、樹高を小さくし枝の広がりをおさえなければいけないのです。また手入れをしないで枝が混み合ってくると、見た目や風通しが悪くなり、病害虫にかかりやすくなります。古くなった枝を切ることで、新しい枝に更新するという目的もあります。
金木犀(キンモクセイ)の剪定の方法
上の写真のハサミは剪定バサミです。太さ2cm程度までの枝を切る剪定用のハサミです。生け垣や仕立てもので刈り込みをする場合は、刈り込みバサミを使うとよいでしょう(持ち手の長い大きなハサミです)。ハサミは極端に高価なものを買う必要はありませんが、あまりにも安いものではなく、切れ味のよいものを使いましょう。切れないハサミを使うと手が痛くなり負担がかかります。
透かし剪定をする
内側から枝の本数を減らす
透かし剪定とは、まびいて枝の本数を減らす剪定の仕方です。まず枯れた枝を切り落とし、不要な枝を落としていきます。ある程度機械的に剪定するだけで自然にきれいな樹形に仕上がっていきます。木の内側から不要な枝を切り落としていく剪定の仕方です。
不要な枝とは?
木のなかに向かって伸びている枝、まっすぐ上に向かって伸びている枝、交差した枝は不要な枝です。近い位置で並行している枝はバランスをみながらどちらか一方を切り取ります。同じ節から何本も枝が出ている部分は2〜3本の枝を残してほかの枝をつけ根から切ります。
刈り込み剪定をする
外側からハサミをいれる
刈り込み剪定とは木の外側からハサミをいれて、木の大きさをおさえたり全体的な樹形を整えたりする剪定の方法です。全体の輪郭をイメージして、刈り込みバサミで刈っていきます。
生け垣や仕立てものにする
生垣や仕立てもの(球形、楕円形、円錐形など)にする場合は、この刈り込み剪定をします。刈り込み剪定をする場合も先に透かし剪定をしてからおこなうとよいです。なかに光が入るようになり風通しもよくなるので、病害虫にかかりにくくなり手入れが楽になります。
切り戻し剪定とは?
樹形を小さくする
切り戻し剪定とは剪定方法のひとつで、切り戻しともいいます。切り戻しは樹形を小さくするためにおこないます。枝を切る位置は、枝分かれした部分まで切ります。全体的なバランスをみながら切っていくとよいでしょう。
どこを切ったかわからないようにする
上手な手入れは、どこを切ったのかわからないことです。切った場所がわからないくらい、幹の際で切り落とすのが、よい手入れの仕方です。つけ根ギリギリで切ると、周囲から樹皮が切り口を包みこむので、しばらくするとどこを切ったかほとんどわからなくなります。また、太い枝を切った場合は、切り口に殺菌作用がある枯れ込み防止の融合材などを塗っておくと安心です。(下記、写真のようなものです。)
どの位置で切る?
左右対称の葉のすぐ上で切る
キンモクセイのほとんどの葉は枝に対して左右対称についています。上写真のハサミの先の位置(葉のすぐ上)で切ると切り口がわからなくなり、きれいに仕上がります。
つけ根ギリギリで切る
切り戻し剪定のところでも説明しましたが、つけ根ぎりぎりで切ると、しばらく経つとどこを切ったかわからなくなります。下の写真のように、少し枝を残してしまうと枯れて見た目が悪くなります。もしくは残した部分から一斉に枝が出て、樹形が乱れます。
葉のない枝は枯れる
キンモクセイは葉のなくなった枝は枯れてしまいます。枝を残したい場合は葉を残すように剪定しましょう。
強剪定と弱剪定のちがい
剪定では枝の切る長さを強弱であらわします。枝のつけ根の近いところで切ることを、強剪定といいます。逆に、枝の先に近いところで切ることを、弱剪定といいます。強めに剪定する、弱めに剪定するともいいます。不要な枝を切ったり、庭のスペースに合うように小さくする場合は強剪定します。樹形を整えるには強めに剪定したり、弱めに剪定したり状況に応じて方法を選びます。
金木犀(キンモクセイ)の理想の樹形
仕立てものにする
キンモクセイは枝数が多く葉がしげっているので、刈り込んで仕立てものにすることができます。仕立てものには球形、円錐形、円筒形、楕円形などがみられます。どっしりとした落ち着いた雰囲気に仕上がり、和風の庭によく調和します。樹形を維持するには、毎年伸びてきた部分を剪定します。内部の不要な枝を透かし剪定した後、表面を刈り込んでいくとよいでしょう。
生け垣にする
キンモクセイは生け垣にも適した樹木です。生け垣は目隠しの意味もあるので、葉がしげる常緑樹がつかわれます。生垣の剪定は、面をどれだけきちんと平らにするかが重要です。四角く平らに剪定し、毎年伸びた部分を同じ面まで刈り込みます。
自然樹形を楽しむ
キンモクセイは1本でも林の雰囲気を出しやすいので、自然樹形を楽しむこともできます。ゆるい円錐形で自然樹形に剪定したものは雑木の間のポイントになり、どんな庭にも馴染みます。
剪定に失敗したときは?
切りすぎたり、思うような形にならなかった場合は肥料をあげて、新しい芽を育ててあげましょう。失敗したということは、その部分は薄くなって日がよく当たるようになっているはずです。自然風に仕立てる場合は3〜4年もすれば、新しい枝を更新することができて、それなりの姿に育ってくれます。花芽を切ってしまって花が咲かないという場合も、肥料をあげて育てると小枝が増え、花数が増えることになります。
まとめ
金木犀(キンモクセイ)の剪定のポイント
- キンモクセイは花後に剪定
- 春夏の季節に剪定するとその年の花が咲かない
- 落葉樹と常用樹は剪定の時期が違う
- 真冬の時期に強剪定はしない
- 透かし剪定をしてから刈り込み剪定
- 仕立てものや生垣、自然樹形に剪定
これは5月の写真ですが、葉の根元に小さな花芽ができています。