ミヤマシキミとは?
ミヤマシキミは、ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木で、別名シキミア(スキミア)とも呼ばれており、見た目のかわいらしさから庭木として人気です。そこで今回、ミヤマシキミの特徴をご紹介するとともに、ツルシキミとの違いについてもご説明します。
ミヤマシキミの分布
ミヤマシキミは、比較的暖かい地域に自生する在来種です。直射日光を嫌うため、日陰の多い山地などでよく見られます。日本では関東地方より南側の本州と、四国、九州、沖縄に分布しており、海外では台湾の高山に分布しています。
ミヤマシキミの利用
園芸用として家庭で植栽することができ、蕾や花が長く楽しめます。強い毒性をもつアルカイドを含んでおり、かつては、アルカイドの成分を活用して、殺虫剤や頭痛薬、風邪薬などの民間薬として利用されていました。
ミヤマシキミの育て方
庭木としての育て方は、鉢植えでも地植えでもどちらでも可能です。水や肥料をこまめに与える必要はなく、剪定もいらないため、手間はほとんどかかりません。育て方の注意点は、直射日光と強い風が当たりにくい場所を選ぶことと、植え替えは極力控えることです。
ミヤマシキミの名前の由来
シキミ科シキミ属のシキミに枝葉のつき方や見た目がよく似ており、山地に自生することから、ミヤマ(深山)に育つシキミとしてミヤマシキミと呼ばれるようになりました。由来の元となったシキミの実にも毒性があり、「悪しき実」の意味からシキミと名付けられたと言われています。
花や葉の特徴は?香りや毒性はある?
ミヤマシキミは、花の香りのよさや蕾のかわいらしさから庭木として人気ですが、強い毒性を持っているため取り扱いには注意が必要です。葉、花、蕾、果実について、それぞれの特徴を詳しくご説明します。
葉の特徴
葉には、強い毒性が特に多く含まれています。肉厚で毛はなく、先の短くとがった楕円のかたちをしています。表面は光沢があり、裏面は油点と呼ばれるミカン科の葉特有の半透明な小さな点が多数見られます。
花の特徴と花言葉
3月~5月に小さな白色の花が丸く円をつくるように多数咲き、花からはミカン科特有の柑橘系のよい香りが楽しめます。雌雄異株の特徴があり、花をつけるのは雄株だけです。花言葉は、「寛大」、「清純」です。
蕾の特徴
10月頃になると、白色から赤紫色の小さく丸いかたちの蕾を多数つけはじめます。蕾をつけたまま冬を越すため、開花までの間の長期にわたり、彩のよいかわいらしい見た目の蕾を楽しむことができます。
果実の特徴
正月やクリスマスの飾りによく使われる、赤い小さな実を多数つけます。雌雄異株の特徴があり、実をつけるのは雌株だけです。植栽用に流通しているものは雄株が多いため、実を育てたい場合は雌株を購入する必要があります。実には毒性があり、食べると痙攣をおこすことがあります。
ツルシキミの違いとは?
ミヤマシキミとツルシキミの見た目はよく似ており、葉や花の特徴はほとんど同じです。ツルシキミとは、ミヤマシキミが寒い環境でも育つよう適応した変種で、ミヤマシキミの分布していない、北海道や東北でも分布しています。それぞれの見分け方と、違いの比較をご紹介します。
ミヤマシキミとツルシキミの見分け方
茎の伸び方に注目して見分ける
ミヤマシキミとツルシキミは、茎の伸び方に違いがあり、ミヤマシキミは茎が地面から垂直に高く伸びるように育ちます。一方、ツルシキミは茎が地面と平行に這うように伸びて育ちます。これは、ツルシキミが雪の降る地域でも育つよう適応したためだと考えられています。
ミヤマシキミとツルシキミの比較
名前 | ミヤマシキミ | ツルシキミ |
主な分布 | 本州(関東以南)、四国、九州、沖縄 | 北海道、本州(東北)、四国、九州 |
樹高 | 60~120cm | 30~100cm |
茎の伸び方 | 地面から垂直に高く伸びる | 地面から平行に這うよう伸びる |
開花時期 | 4~5月 | 5~6月 |
まとめ
手間のかからない育て方と見た目のかわいらしさから、庭木として人気のミヤマシキミですが、葉や実には強い毒性をもっています。毒があると感じさせない見た目ですが、日本の山地に多く自生していますので、山でミヤマシキミを見つけても実を食べないよう注意しましょう。
出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2175243?title=%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%9F%E3%82%A2